2025年6月16日月曜日
6月16日 文楽鑑賞教室 Dプロ
2025年6月12日木曜日
0612 イキウメ「ずれる」
2025年6月7日土曜日
6月7日 文楽鑑賞教室 Bプロ
咲寿の牛若丸、靖の弁慶、ツレに小住、碩、薫、三味線は清丈、友之助、清公、清允、藤之亮。 出だしの清丈の三味線がよく響き、華やか。咲寿の牛若丸は爽やか。靖の弁慶は太さはあるが、体の芯がグラグラしている感じ。
人形は玉路の弁慶が力一杯で大きさもあり好印象。簑太郎の牛若丸は、薄衣が顔に被さってしまうなど冴えない。
「三十三間堂棟由来」
中を希・清馗。
噛み合ってない感じ。
奥は呂勢・宗助。 音曲を聴いているという華やかさ、安定感。宗助はミスタッチが多かったか。
柳の葉が降ってくるところで、お柳(勘弥)、平太郎(玉助)の人形と、平太郎母の紋秀の頭に葉が刺さるハプニングにちょっと笑ってしまった。平太郎の左がサッと取り除いていたのはよき働き。みどり丸は簑悠。
2025年6月6日金曜日
6月6日 サファリ・P「悪童日記」
まず、出演者が2人増えて5人になり、双子を取り巻く登場人物も増えてシーンがより複雑になった。舞台装置の平台は白っぽいグレーに変わっていたが、出演者が様々に動かして道になったり、瓦礫になったり。(終演後のロビーで、平台のキーホルダーのガチャを売っていたくらい、劇団を象徴する存在)今回舞台後ろのスクリーンにセリフの字幕(日英)やアニメーションのような背景が映し出されたのは、理解の助けにもなったが、見るべきところが増えて疲れる感じも。 双子役は達也ともり裕子。性別も違えば身長差も大きく、外見的には全く似ていない2人だが、シンクロした動きで一体感を見せる。森は短髪で小柄な体つきは少年のよう。
双子以外はそれぞれ複数の役を演じるのだが、モノトーンベースのシンプルな衣装のままで、役によって特徴的な仕草を加えて演じ分ける。圧巻だったのは、おばあちゃん役の佐々木ヤス子で、背中を丸めながら上着の背を引っ張って腰の曲がった様子を表し、鼻を擦る特徴的な動きでクセのある人物を体現。話ぶりも偏屈ババアそのものかと思ったら、兎っ子の母親になると疲れた女にガラリと変わり、また、刑事役では高圧的な感じと変幻自在。兎っ子と女中の2役は芦屋康介で、性的に虐待される若い娘を演じる背の高い男性が妙に艶かしい。司祭役の辻本桂は一見まともそうだが、底知れない雰囲気を醸す。 上演時間は1時間15分ほどだが、濃密な時間だった。
2025年6月5日木曜日
6月5日 文楽鑑賞教室 Aプロ
2025年5月31日土曜日
0531 いばらきバレエへの誘い
キトリとドルシネア姫は奥村唯。危なげない踊りで、バジル(松田大輝)の頼りなさをうまくカバーしていた。表情の、溌剌としたキトリとしっとりしたドルシネアをしっかり演じ分けていた。3幕のフェッテはダブルを入れつつ勢いに乗ってよかったが、最後にちょっとふらついたのが惜しい。
松田のバジルは線が細く、ちょっと頼りなげ。一幕のリフトはもっと長くと思ったし、フィッシュダイブは手順がこなれていない感じがした。
目を引いたのは、男性群舞の巽誠太郎。ソロが結構あって、回転もジャンプも大胆で魅せた。キトリの友人、松山みさき、我如古あゆり、メルセデスの山崎優子も良かった。
2025年5月24日土曜日
5月24日 糺能
神社に和歌を奉納する神事から始まり、作品世界は未来へ。
森に住むアオミズク(アイ、茂山逸平)が物語の経緯を紹介。遠国に住む男(ワキ、有松遼一)が和歌の由来を尋ねて下鴨神社を訪れ、女(シテ、林喜右衛門)と出会う。実は女は糺の森の女神で、後シテは神の姿を表しツレを従えて舞う。白い装束は柔らかく、神の恩恵を周囲に振り撒くような感じ。ツレは小梅と彩八子で、赤頭に龍や獅子のような冠を着用。
あいにくの雨だが、空が暮れていく様子には風情が感じられた。終盤は雨音が激しくなり、謡がよく聞こえないところもあったので、やはり晴天がいい。
5月24日 第五十回記念 テアトル・ノウ
2025年5月23日金曜日
5月23日 團菊祭五月大歌舞伎 夜の部
松緑の五斗兵衛が酔っ払って三番叟を踊るというが、あまり三番叟らしくない。雀踊りや武田奴が大勢出てきたり、最後に角樽を馬の頭に見立てて花道を引き上げたりするのが賑々しい?酔っ払っているとはいえ、松緑は相変わらず台詞回しが独特。
黒紋付の若武者、亀井六郎が出てきた時は誰かと思ったら左近。所作がきっぱりしていて、セリフも明瞭。錦戸太郎は亀蔵と分かったが、赤っ面の伊達次郎は誰か分からず、筋書きを見て種之助と知った。萬寿の義経、権十郎の泉三郎。
これといった内容がなく退屈。1時間40分もあってびっくり。
口上は七代目菊五郎が進行。松緑、團十郎、梅玉、玉三郎、楽善の順に述べるが、カメラが入っていたからかおとなしめ。一番長く喋ったのは團十郎で、新菊五郎とは同級生で、運動会では互いの父が巡業中のとき代わりに父と走ったことや、息子たちも同級生なので次世代の團菊までご贔屓にとか。玉三郎がくどいくらい「僭越ながら?私からも」と繰り返していた。
「弁天娘女男白波」
浜松屋見世先から滑川土橋までで、稲瀬川勢揃いを新菊五郎ら子ども世代が演じる趣向。
新菊五郎の弁天小僧はもう慣れたもので、危ういところがなく、全てが板についている感じ。セリフの間合いなど七代目によく似てきた。南郷は初役の松也。意外と言っては失礼ながら、弁天とのバランスがいい。松緑に習ったそうだが、松緑よりいいかも。團十郎の日本駄右衛門はいい意味でなく十二代目そっくり。
稲瀬川勢揃いは、新菊之助の弁天、亀三郎の忠信、梅枝の赤星、眞秀の南郷、新之助の日本駄右衛門。すでにそれぞれの父の色が透けて見えるのが面白い。菊之助は1人だけ大人が混ざってる⁉︎というくらいしっかりしているし、一際小柄な梅枝も柔らかみのある役のらしさをしっかり体現。亀三郎の口跡のよさ。子どもには傘を掲げているのは大変らしく、腕が震えたり、斜めになったりしていたのもご愛嬌。 二幕は極楽寺屋根上の大立ち回りを八代目がたっぷりと。最期の切腹まで、息をつかせぬ展開で手に汗握る。 龕灯返しで山門の場に移り、駄右衛門の捕物を見せた後、舞台がせり上がって滑川土橋の上には七台目菊五郎の青砥左右衛門と早替わりで伊皿子七郎に扮する八代目が登場。二人の菊五郎が並ぶ姿に世代交代の意義が重なり胸熱。山門の駄右衛門と三角形の形で決まるのも華々しくてよかった。
客席の上手後ろに補助椅子を置いて、藤純子、寺島しのぶが観てた。
2025年5月20日火曜日
5月20日 薫風歌舞伎特別公演 第三部
5月20日 ロイヤルシネマ「白鳥の湖」
リアム・スカーレットの振付はゆったりとしたボールドブラを多用し、オケもかなりスローテンポ。ベンノと王子の姉妹のパドトロワなど、主役以外の見せ場も多い。ベンノ役のジョンヒュク・ジュンは、長い手足、高い跳躍で見せる。
ヤスミンの踊りはシャープな印象。オデットよりオディールが生き生きとしていい。3幕のフェッテはトリプルから入り、ダブル、トリプルを多用。マシューは憂いをたたえた悩める王子。3幕の回転がスピーディで目を惹かれた。 ラストは白鳥たちの攻撃でロットバルトが倒れ、湖に身を投げたオデットの亡骸?を王子が抱き上げて幕。王子は後悔を抱えて生きていくということなのだろうか。
2025年5月18日日曜日
5月18日 南座歌舞伎鑑賞教室
2025年5月16日金曜日
5月16日 薫風歌舞伎 第二部
観てよかったのは澤瀉屋一門の芸達者ぶり。猿弥のランプの精は緩い感じでほっこり。「ぱっぱらぴーのぱ」みたいな呪文も脱力する。笑也の王妃の気高い美しさ。笑三郎の指輪の精のキツい感じもいいスパイスだった。老けたランプの精で鴈治郎が「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン」と笑いを誘う。ラストの紗武利矢王は威厳があってよき。
オープニングとエンディングの音楽が熊川哲也版クレオパトラと思って調べたら元のタイトルが「アラジン」だと知る。
2025年5月11日日曜日
5月11日 文楽公演 第3部
勘十郎初役の俊寛というのに、客入りはまばら。入門ということで冊子を配り、幕前に解説の録音が流れるが、あまり効果なさそう…。
床は若・清介。
いつも通りの超低空飛行。清介が荘厳な感じで、悟りを開いた琵琶法師みたい。
人形は一輔の千鳥がかわいい。とにかくかわいい。俊寛が岩場に登って船を見送るのは派手さはなく、深い諦念を感じさせる最後だった。
5月11日 團菊祭五月大歌舞伎 昼の部
又五郎の翁、雀右衛門の千歳、米吉の附千歳、松也の三番叟で幕開き。面箱があるのに素顔のままで舞う翁。三番叟に移ると、歌昇、萬太郎、右近、種之助がせりあがり五人に。黒、紫、緑、青、黄色と色鮮やかで楽しいが、少々長い。ドヤ顔の歌昇、ちょっとタイミングをずらす右近が目につく。
「勧進帳」
新・菊五郎の冨樫が清廉にして線が太く立派。梅玉の義経、男女蔵、松也、鷹之資、右近の四天王と襲名披露らしい配役だが、団十郎の弁慶が…。取り立てて悪いところがあるわけではないのだが、セリフが上滑りする感じで言葉の意味が響かない。オレ様な感じで義経への敬意が感じられないし、先代に似て見えたのはむしろ悪い意味で。表情が子供っぽいというか、新之助に似て見えた。山伏問答も、互いの緊張感が拮抗していないと迫力に欠けるのだなあ。
「三人吉三」
時蔵のお嬢、彦三郎のお坊、錦之助の和尚はいい配役。夜鷹の莟玉は町娘のよう。
「京鹿子娘道成寺」
新・菊之助、菊五郎に玉三郎が加わり三人花子に。
はじめ、花道のスッポンから菊之助と菊五郎が登場。息のあった踊り。所化とのやりとりは菊五郎1人で、烏帽子をもらって引っ込んだのち、紅白幕が落ちて3人が登場。3人の花子は時に影のように、時に鏡に映った像のように、姉妹のように、親子のように。踊り上手の2人に挟まれた菊之助が小さいながら立派な舞い手。誰よりも背中を反らせ、きっぱりと踊るのが好ましい。菊五郎は円熟味を増し、堂々と。玉三郎は﨟たけた風情があり、さすがの貫禄。鐘をきっと睨むところは、玉三郎は怒り、菊五郎は悲しみがあるように見えた。ただ、動きがミニマムになっていたのは体調が悪かったからか。背を反らすところはほぼ直立で、鞠つきは袖に捌けて菊之助・菊五郎のみに。座って鞨鼓を打つところは膝を曲げた状態をキープできずにドンと音が鳴ったように聞こえたのも心配。
2025年5月10日土曜日
5月10日 文楽公演 第2部
伏見稲荷の段は睦・勝平。 4月公演とは別配役。こちらの方が落ち着きがあったか。
渡海屋から大物浦は小住・清志郎→芳穂・錦糸→錣・宗介のリレー。
4月と同じ配役だけあって、語りが練られてきた感じ。
知盛は万博で休演の玉男に代わり勘十郎。知盛がポーズを決めるたびに拍手があるのは調子が狂う。最期は後ろ向きに飛び込む形。
和生の典侍局に品格がある。
道行は呂勢、靖、亘、碩、文字栄に清治、清馗、寛太郎、燕二郎、藤乃亮。
弾きだしから華やか。4月とは何が違うのだろう。
人形は簑二郎の静に玉助の忠信。見台抜けはなく、桜の書き割りの後ろから。狐の人形が上手を向く時、葛の葉と同様に右前脚が引っかかる。
5月10日 文楽公演 第1部
賀茂館からの半通しなので、葛の葉子別れに至る物語がよく分かる。
賀茂館の段の口は南都・団吾。 がちゃがちゃした印象。 奥は万博出演の藤・燕三に代わり、靖・燕二郎。
硬さは致し方なく、1日限りの代役としては大健闘では。途中、燕二郎が演奏をブツッと切ったので糸ご切れたのかと思ったら、繰っているだけだった。短い時間なので焦ったのか。靖は喉を絞ったような発声が苦しい。
保名物狂いの口は碩・清公。 のびやかな声が聞きやすい。 奥はは織、織栄に藤蔵、清冘。
織はいつも通り。太夫が2人いるのに語り分けするでなく、保名も葛の葉姫も織が語り、時折織栄。いっそ1人で語っては?と思う。 葛の葉子別れの中は三輪・団七。 切は千歳・富介。さすが切語りの安定感。 信太森二人奴は希、津国、咲寿、聖、薫に清友、清丈、友之助、錦吾、清方。
3枚目の友之助から弾きだしたのでびっくり。野干平を希、与勘平を津国だが、そっくりという設定なのに全然違う、、、。
保名の清十郎はほじめ姿勢が悪くてどうしたものかと思ったが、子別れのあたりからはよかった。玉延の童子がいたいけで可愛らしく、目を引かれた。葛の葉は勘彌。甲斐甲斐しい女房、母親の風情がいい。役者が二役を演じる歌舞伎と違って、文楽は狐と本物の葛の葉が別なのに、機織りを覗くときに障子を閉めたままなのはいかに。動物らしさはちゃっと薄いか。狐の人形で下手向きになる時に左の前足が引っかかってしまうのが気になった。
2025年5月4日日曜日
5月4日 宝塚星組「阿修羅城の瞳」
2025年5月3日土曜日
5月3日 第四回 みのり会
2025年4月29日火曜日
4月29日 文楽公演 第3部
織はいつもよりやや控えめな感じもするが、上を向いて歌い上げる。靖は喉が開いてない感じで、声が前に出ていない。三味線もどこか重く、ウキウキした華やかさはないか。
一方、人形は一輔の静に品があって良き。扇の扱いも優雅で、扇返しや扇投げも綺麗に決まった。勘十郎の狐忠信は念願?の見台抜け(織栄の見台が真ん中から真っ二つ)で登場。(ぼーっとして見逃したので、翌日幕見で確認)
川連法眼館の前は睦・勝平。
出だしはまずまずと思ったが、義経の高音が掠れて聞きづらい。
切は千歳・富助に燕二郎のツレ。狐言葉が控えめで、時々「コンッ」と言うのと、出だしを伸ばすくらい?
狐忠信は登場こそ下手からだが、障子を破ったり、壁から出てきたりも。最後は宙乗りで華々しく幕。
2025年4月28日月曜日
4月28日 文楽公演 第1部
大序は御簾内で織栄→碩→薫→聖、清方→清允→藤之亮→燕二郎のリレー。 織栄が思っていたより調子はずれ。碩の安定感。聖はのびのび。 堀川御所の奥は藤・燕三。 のびのび語る藤に燕三の三味線の的確さ。 アトは亘・友之助。 亘の語りは力んだ感じがなくなってだいぶいい。友之助の表情に気合いがみなぎる。 伏見稲荷の段は希・団七。 力みすぎなのか、声の調子が合っていない感じ。 渡海屋・大物浦の口は小住・清馗。 のびのびとしたいい声で語ってよき。三味線がもっと良ければ。 中は芳穂・錦糸。 ちゃんとしてる。 切は錣・宗助。 時代ものの切場はちょっと辛い。 人形は一輔の静に品があってよき。勘十郎の狐忠信は当たり役。弁慶の玉佳はどこか愛嬌がある。 玉男の知盛。最後は沖の岩場まで船で乗り付け、頂上から飛び込まず後方へ沈んでいく演出。典侍局 の和生は抑制された演技。
2025年4月27日日曜日
4月27日 深川秀夫バレエの世界
中村祥子の風格ある優雅さ。真ん中にいる存在感が違う。米沢唯も気品ある踊りで存在感を発揮。池田理沙子はフレッシュな踊りでちょっと若く見える。そして奥村康祐のパートナーシップよ。これという見せ場がないのは残念ながら、アイコンタクトや微笑みの優しさにうっとり。
2025年4月26日土曜日
4月26日 文楽公演 第2部
椎木の段の前は咲寿・団吾。
織の預かりとなり、師匠に借りたという肩衣で登場。落ち着いた語りぶりだったが、まだまだ若手から抜けられない感じも。団吾はいつも通り。
後は三輪・清友。
どうということもなく。小仙は権太が悪いことをしていると分かっていながらなぜ見逃すのかと思うなど。歌舞伎と違って善太の一文笛を吹く場面がないのは、この後に生きないと思った。
小金吾討ち死には、津国、南都、薫、文字栄に清丈。 床が揃ってないというか、それぞれ役に合っていない感じでガチャガチャしている。 すしやの前は呂勢・清治。 安定感のある語りでホッとする。お里や権太、母、維盛、弥左衛門らの人物造形が明確で、物語がくっきり。原作通り、弥左衛門が元盗賊の設定で、「親の因果が子に報い」の因果関係がはっきりする。 三味線はかつてのような精彩はもはや望めないのか。 切は若・清介。 うーん。安定の慎重運転で、速度遅すぎませんか? 急に別の物語世界に移行したみたい。 取り巻きが「待ってました」の声かけもいかがなものか。 人形は玉勢の小金吾が大立ち回りを力強く。権太は玉助で、人形より人形遣いが前へ出て感じる。玉也の弥左衛門に深みがある。
2025年4月17日木曜日
4月17日 マスタークラス
2025年4月13日日曜日
5月13日 四月大歌舞伎
仁左衛門の六助のチャーミングさ、凛々しさに感服。子ども相手の優しいおじさんから、騙されたと知った怒りへの変化率が凄まじい。弥三松をあやすところは少し短めで、「お獅子パクパク」がなかったのが残念。
孝太郎お園も女武者の凛々しさから、許嫁と知ってからの可愛さへのギャップが大きいが、ちょっとシナシナしすぎかもと思った。
歌六の弾正は憎々しい敵役で、仁左衛門に対峙するのに十分な貫禄。弥三松は秀之助。回を重ねているので落ち着いている。
斧右衛門が誰かと思ったら歌昇でびっくりした。
5月13日 新国立劇場バレエ団「ジゼル」
1幕のジゼルは純朴な村娘。恥じらいながらもアルブレヒトの熱演なアプローチにぽーっとなった初心な少女そのもの。狂乱のシーンはちょっと物足りないか。
奥村のアルブレヒトは少年のようで、無邪気に可愛い女の子に好き好きと言っていたらとんでもないことになってしまい、慌てている風。バチルドの手にキスしながらも、ジゼルを気にしている様子があり、このアルブレヒトなら、心から後悔していそうだし、許せるかもと思わせる。
木下嘉人のヒラリオンは説得力あり。心からジゼルを愛しているのに、むくつけきルックス故にジゼルには伝わらず、やることなすこと裏目に出てしまう残念なひと。 ペザントは東真帆と石山蓮。2人ともロールデビューだそうで、フレッシュな踊り。
2幕の池田ジゼルは人ならぬもの感が薄く、1幕に比べ凡庸な印象。右足を上げるバランスでもたついたり、リフトでぐらつくなど、ミスも気になった。奥村のアルブレヒトは後悔の念がひしひしと伝わる。感情を優先するあまりバランスを崩すようなところもあり、テクニックより役を生きている感じがした。
ミルタは山本涼杏。初役のせいか、まだこなれてない感じで、もっと音をはみ出すくらいの大きさが欲しいと思った。回を重ねて威厳が増すのを期待したい。モイナとズルマは東真帆と飯野萌子。東はペザントと2役。下手前方の席だったので、ミルタを先頭に襲いかかるウィリー軍団が迫って来るようで怖かった。
2025年4月12日土曜日
4月12日 新国立劇場バレエ団「ジゼル」
井澤駿のアルブレヒトは軽薄な感じ。バチルドの前では知らんふり。ジゼルが死んだ時も、悲しみよりもヒラリオンへの怒りが強い。
ヒラリオンは中家正博。悪い人ではないのに、浮かばれない悲哀がある。2幕の冒頭、舞台中央で佇む姿にも誠意が感じられる。 ペザントは飯野萌子と山田悠貴。山田の跳躍が高くキレがある。村人たちを率いて踊るのが勢いがあってワクワクする。
ミルタの根岸祐衣は登場時のパドブレの細かさと速さが異世界の雰囲気を醸し出す。ちょっと厳ついくらい威厳があり、不思議な力を秘めていそうで恐ろしい。
モイナの東真帆は滑らかなライン。ズルマの直塚美穂はシャープな踊りゆえか生命力が感じられ、生身の強い女みたい。ヒラリオンを引っ立てて崖から突き落とすところなど、喧嘩強そう。
カーテンコールは満場の拍手。米沢は涙ぐんでいるように見えた。
2025年4月6日日曜日
4月6日 四国こんぴら歌舞伎大芝居 第一部
2025年4月5日土曜日
4月5日 林喜右衛門襲名披露能
舞囃子「高砂」は観世三郎太。手足が長いせいか、静止している間が長く感じる。 蓮吟「日蝕詣」
能「卒都婆小町」
宗一郎改め喜右衛門のシテ。襲名にあたって観世宗家が上演を許したそうだが、40代で老女ものはやはり映らないというか。一度之次第の小書きで、小町が橋がかりを歩いてくるところから始まるのだが、舞台にたどり着くまでの長いこと。その後、ワキの福王茂十郎、ワキツレ知登が登場して卒都婆問答になる。問答はどうということもなかったが、深草少将の霊が乗り移ってからは表情がグッと増した感じがした。ひとしきり、恨みつらみを述べたのち、小町が出家すると言って終わるのは唐突な感じだけれど、不思議な爽快感がある。
裏千家業躰・林松響階会長の金澤宗達氏の挨拶を挟んで、
狂言「末広かり」は千五郎の主人、千之丞の太郎冠者、忠三郎のすっぱ。千五郎の大物感、千之丞の軽妙さ、忠三郎は策士な感じ? 主人が怒って、飛び上がって勢いよく座り込むところに迫力がある。忠三郎の装束がタイガースカラーに見えた。
仕舞「老松」山本章弘、「通盛」上野朝義、「西行桜」大槻文蔵、「二人静 キリ」吉井基晴・上田貴弘、「山姥」大西礼久。 一調「張良」有松遼一・前川光範。「笠之段」藤井完治・大倉源次郎。 小舞「子の日」茂山七五三。 仕舞「嵐山」片山信吾、「屋島」浦田保浩、「誓願寺 キリ」井上裕久、「網之段」杉浦豊彦、「野守」大江伸行。
仕舞、一調がこんなに並ぶと壮観。
能「石橋」は観世清和のシテ、喜右衛門、彩八子、小梅のツレ。子方は赤い鬘に鼻から下を覆うマスク。親獅子の白頭に対し、赤頭の子獅子3頭のところ、所作台から子獅子を蹴落とすくだりで喜右衛門も一緒に蹴落としているように見えるなど、親2頭、子2頭に感じるところも。。喜右衛門は卒都婆小町と打って変わってキビキビとした所作に勢いがあり、喰らいつく娘たちの懸命さも相まって、とても見応えあり。
2025年3月22日土曜日
3月22日 三月大歌舞伎 夜の部 Bプロ
3月22日 三月大歌舞伎 昼の部 Bプロ
若狭之助の右近もなんか違う。型通りに踊っているみたいで、マンガっぽいというか師直への怒りがあまり感じられない。長袴の裾捌きは鮮やかだったが。
伴内は橘太郎。軽妙洒脱でスッキリした三枚目。本蔵からの賄賂を受け取るところのやりとりは、先日の松之助とは違うバージョン。手下らに本蔵を襲わせる合図が咳払いだったり、「何もかも打ち捨てて襲え」と言ったら刀からなにから放り出したり。
四段目は松緑の由良之助の駆けつけるところが、本当に走ってきたみたいだったが、セリフが今ひとつなので緊張感が途切れる。菊之助の判官は意外にも勘平腹切りのほうが良かった。 石堂は弥十郎。扇の要を外した。
道行は愛之助の勘平、萬寿のおかる。愛之助勘平は優男。金と力はなかりけりといった感じ。萬寿は姉さん女房。伴内は亀蔵。滑稽みが薄いか。
2025年3月20日木曜日
3月20日 三月大歌舞伎 Aプロ 夜の部
時蔵のお軽は六段目では腰元の行儀良さ、七段目では女房らしさがある。いざ出発しようとして勘平に呼び止められ抱き合うところは気持ちが高まる。吉弥のおかやは娘可愛い情のある母親。あまり物事を分かっていなくてうろうろする感じ。
巳之助の平右衛門がとても良き。格好いいし、セリフも良い。十一段目の最後、花道を引っ込むところは三津五郎に似て見えた。
十一段目はやはり蛇足だと思うが、今回は最後に菊五郎が出てきて豪華な感じ。馬に乗って鳥屋から出てきたのでびっくりした。袴と足が不自然な感じだったので、本当には跨っていないのかも。
松緑が小林平八郎で竹森喜多八の坂東亀蔵と大立ち回り。
iPhoneから送信
3月20日 三月大歌舞伎 Aプロ 昼の部
大序は俯いて静止している役者たちが、竹本が名前を挙げるに従って息を吹き込まれたように動き出す。松緑の師直はすでに憎らしげ。ただ、セリフを喋ると軽くなるようで、三段目の鮒侍のくだりなど意地悪なのだが町人ぽいというか、品格が薄いと感じた。
松也の若狭之助は血気あふれる青年らしい。勘九郎の判官はいびり倒されてだんだん怒りを蓄積していく様が鮮やかで、刃傷に及んだところの緊張感もよき。ただ、本蔵らに抱き止められた無念さを示す仕草が、幕が閉まる直前、キュンポーズみたいになっていた。
2025年3月18日火曜日
3月17日 三月花形歌舞伎 松プロ
口上は虎之助。ペラペラとよく喋り、落語家のよう。遅れて入ってきた客をいじるなど、感じ良くない。
「妹背山婦女庭訓」三笠山御殿
お三輪を米吉。娘らしい可愛らしさで、官女らにいじめられるところは消え入りそうな声で哀れ。疑着の相の迫力は薄かったか。鱶七の福之助はやや線が細い感じもあるが、堂々としていて良い。橘姫の吉太朗はもはや安定感さえある。いじめ官女に千次郎、翫政ら。壱太郎が豆腐買いで盛り上げる。
「於染久松色讀賣」
壱太郎が5役を早替わり。そつなくこなしていたが、今一つ響かないのは何故だろう。
2025年3月16日日曜日
3月16日 文楽京都公演 Aプロ
「二人三番叟」
靖、碩に団吾、友之助、燕二郎、藤之亮。
三味線、人形、鳴り物のリズムがバラバラで、気持ち悪い。辛うじて2枚目が繋ぎ止めていたように感じた。 人形は紋吉と玉誉。
「絵本太功記」
夕顔棚を睦・団七。
時代もののせいか、ちゃんと聞けた。
尼崎の前半を千歳・富助。
なぜだか初菊と十次郎が互いを思いやるやり取りが耳に留まった。さつきもいい。切語りが前半なのはいいが、30分ほどで交代したのはいかに?
後を靖・勝平。
45分ほどのクライマックスを熱演。錦糸と素浄瑠璃で語った時より力が入っているように感じた。見台に乗り出すような姿勢も含め。現れ出でたる武智光秀のところで、「靖太夫、勝平、玉男」の掛け声があったが、キレが悪く間も悪い。
人形は簑二郎の操が簑助を彷彿とさせる細やかな動き。だがこの役にはうるさいかも。一輔の十次郎は爽やかな若武者ぶりがいいが、手負になって戦況を語るところは活発に動きすぎではと思った。
3月16日 文楽公演 Bプロ
人形浄瑠璃の発祥は京都とか、ご当地ネタはよいけれどちょっと説明不足では。文楽の発祥は大阪とも言っているので、義太夫節以前の古浄瑠璃があったことを知らない観客は混乱する。
「近頃河原の達引」
四条河原の段は睦、咲寿、織栄、碩に清丈。
伝兵衛の睦は掠れ声が辛い。男性キャラでこれではしんどい。咲寿は官左衛門にしてはりっぱすぎ。織栄は若手らしく元気良い語りでいいのだが、全体としてうーん…。碩が出てきて聞きやすさにホッとする。
堀川猿回しの前は織・藤蔵に友之助のツレ。
稽古娘と与次郎母の浄瑠璃稽古の場面もはっきり語り分けていた。娘がちょっと子ども過ぎという感じがしなくもないが。織自身が基本格好いい人なので、与次郎が猿回しにしては男前な口調。
後は呂勢・燕三に燕二郎のツレ。
浄瑠璃の楽しさを堪能。与次郎に3枚目のおかしみがあり、チャリ場がちゃんと面白いからこそ、悲劇が引き立つ。与次郎、おしゅん、伝兵衛、母との四者四様の引き細々。三味線も鮮やか。ツレに燕二郎の師弟共演も嬉しい。
人形は紋秀の官左衛門の形の良さが目を引いた。伝兵衛に金を要求する時に右手を差し出す様や、立ち回りの極まりの姿勢が良い。 和生のおしゅん、伝兵衛の玉佳、玉也の与次郎と配役もよく、充実の舞台だった。
3月15日 新国立劇場バレエ団「バレエ・コフレ」ソワレ
小野絢子の火の鳥は野生味と気高さを併せ持ち、神秘的な存在。イワン王子の奥村康祐は少年らしい好奇心で火の鳥を捕らえた感じ。逃げようとする火の鳥と王子の間に通じ合うものがあるようで、パドドゥがどこか官能的。魔王カスチャイの小柴富久修は背中の曲がった老人のようで、あまり強そうではない。
魔物たちが未知の民族舞踊のような衣装、踊り。卵を割ったら魔王が死ぬとか、シュール。
「精確さによる目眩くスリル」
米沢唯、直塚美穂、根岸祐衣、速水渉吾、渡邊峻郁によるパドサンク。早いテンポで踊れる人たちがこれでもかと踊りまくるスリリングさよ。そして、同じ振りをしていても米沢のしなやかさが際立つ。直塚は力強さ、根岸は端正な印象。男性陣は力強い跳躍で、速水のポーズの美しさ、渡邊のスピード感が圧巻。
拍手が鳴り止まず、幕が降りた後も再度カーテンコールした。
「エチュード」
プリンシパルが揃うとこうも変わるのか。プリマの木村優里に華があり、ステージを支配するような威厳も感じる。福岡雄大、井澤駿の風格は言わずもがな。
5月15日 新国立劇場バレエ団「バレエ・コフレ」マチネ
魔王カスチュイの中家正博は不気味さあふれる怪演。カーテンコールで火の鳥にちょっかいを出してやり込められる一芝居も。
「精確さによる目眩くスリル」
花形悠月、山本涼杏、東真帆、森本亮介、上中佑樹。
速く、精確に高度なテクニックが次々と繰り広げられ、息つく暇もないほど。スリリング。
「エチュード」
基本のバーレッスンから始まり、流石日本のトッププロなのでよく揃っていて美しいのだが、凝ったことをしているわけではないのでだんだん退屈になってきた。
プリマの柴山沙穂に華がないのも辛い。プリンシパル役の若手2人、永井駿介、山田悠貴は頑張っていたが。
2025年3月8日土曜日
3月8日 素浄瑠璃の会
芳穂・錦糸で「奥州安達原」の袖萩祭文。
芳穂は語りわけもしっかり。情感もよく、1時間あまりの長い段だが、意識が途切れることなく集中して聞けた。お君がちょっと可愛くなかったが。錦糸の三味線は的確。
2025年3月1日土曜日
3月1日 フェニーチェ文楽「魂がゆくえ」
2025年2月23日日曜日
0223 貞松・浜田バレエ団「ラ・バヤデール」
60周年記念の新制作。振付の貞松正一郎は幻の場面で終わらせず、最後の崩壊まで描くことにこだわったそう。
ニキヤ役の名村空の慎ましい雰囲気に対し、ガムザッティの井上ひなたは華があ李、とても役に合っていた。ソロルの水城卓哉は優柔不断なキャラを見事に表現していた。
ラジャの川村康二はひょろりとした姿が少し頼りない感じ。ハイ・ブラーミンの武藤天華、マグタヴェヤの幸村恢麟はステレオタイプなルックスのままなのはどうだろう。新制作なので少し配慮が欲しかった。ブロンズアイドルの小森慶介はキレのあるジャンプや回転で見せた。
2025年2月16日日曜日
2月16日 文楽公演 第2部
猿沢池の段を亘・寛太郎。
女の声ががちゃがちゃしているほかは、板についてきた感じ。寛太郎はきっちり、楷書の演奏。
鹿殺しは御簾内で薫・清方。
語り出しは悪くなかったが、だんだん2制御が聞かなくなる感じ。
掛乞の段は小住・清丈。
落ち着きがあって良い語り。
万歳の段は芳穂・錦糸に清允のツレ。
こうやって聞いてくると、芳穂ってうまい。音楽性もあるし。錦糸はなんか不機嫌そうだったが的確な音。
芝六忠義は千歳・富助。
これぞ切場の語り。子どもの声が可愛くないのは相変わらずだが、三作と杉松の語り分けもしっかり。
人形は玉助の芝六が豪胆。三作は玉彦で、万歳の踊りを頑張っていた。お梶の清十郎が母親の悲しみをくっきり描く。
2月16日 文楽公演 第1部
小松原の段
三輪、咲寿、南都、文字栄、津国に団吾。
咲寿はいつもより落ち着いた声でよく響いていたが、雛鳥ならもっと可憐さがほしい。
太宰館の段は希・団七。
よく声が出ていたし、入鹿の大笑いはゆったりと時間をかけて大きさを出そうとしていたが、拍手がない。どこか空虚な感じがするからか。団七は大笑いの終盤、抑えた掛け声がよき。
妹山背山の段は若、藤に清志郎、清介の背山に、呂勢、錣に清治、藤蔵の妹山。
清志郎の弾き出しの力強さ、これぞ背山という重厚感。藤はやたら顎を使った語り?対して妹山の柔らかさ、華やかさが際立つ。清治の三味線、呂勢の語りの音楽性に聞き惚れる。
若の大判事は慎重な語りのせいで小物に感じる。顎を使った分骨太感がある久我之助のほうが大物な感じ。錣は情があるのはいいのだがウェットな感じが定高ではないかも。
人形は勘彌の久我之助が凛々しくて良き。玉佳の入鹿が公家悪の禍々しさ。
2025年2月15日土曜日
2月15日 踊れ、その身体がドラマになるまで〜矢上惠子メモリアルガラ2025 in TOKYO〜
「Witz」
「Multiplex Personality(多重人格)」
心が壊れてしまった少女の米沢は糸の切れた人形のように脱力するのがすごい。パイプ椅子の上で踊っているときにバランスを崩して倒れかけてヒヤッとしたけど、流石の身体能力で持ち直し、大事にはならなかったよう。
「Bourbier(ブルビエール)」
福岡雄大はコンテだと力強く生き生きして見える。身体能力の高さよ!足の甲をつけて座った姿勢から手を使わずに上に伸びるようにぐんっと立ち上がるの、どうやってるんだろう。
「Cheminer(シュミネ)」
「Toi Toi」
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2025年2月14日金曜日
2月14日 人間を脱出したモノたちへ
「ペトルーシュカとロベルト・モンテネグロ」はバレエ・リュスの再創造とあり、関典子の振付・出演。ピアノで奏でるストラビンスキーの曲に乗って、人間が人形を演じる。タイトルにあるロベルト・モンテネグロの絵をモチーフにした衣装と舞台装置で、90cm四方の黒い箱が人形を飾るケースのよう。
「ペドロ親方の人形芝居」はいいむろなおき演出で、マイムと浄瑠璃人形、オペラ歌手が共演する雑多さ。能勢の鹿角座が協力していて、人形の貸与や指導をしたようだが、素人の遣う人形なので、動きのぎこちなさは否めず。スペイン語オペラで物語が進むのだが、舞台のあちこちで同時に進行するため字幕が追いきれず、話がよくわからなかった。
アフタートークでいいむろが、人形遣いには体の角度など、マイムで気をつけるところを注意したそう。そういうとこらに共通項があるのかも。
2025年2月11日火曜日
2月11日 立春歌舞伎特別公演 夜の部
怪我で降板の愛之助に代わり、道行は虎之介、四の切は獅童が代演。
獅童は声の調子が悪そうで、狐言葉が辛い。初音のチュジュミとか、タ行の発音が…。体が重そうで、欄干に飛び乗るところなどキレがない。以前演じた時はそんなことなかったと思うのだが。 2階席最前列で休憩明けに係の人が「はしごを架けるけど乗り出さないで」とネタバレ。梯子を登ってきた獅童は降りる時にウインクして、客なら歓声を浴びていた喜ばせていた。
2025年2月10日月曜日
2月10日 文楽公演 第3部
杉酒屋は睦・清友。
中音部はいいと思う。
道行恋苧環は呂勢、織、小住、織栄に宗助、清馗、錦吾、藤之亮。
バランスのよい配役。呂勢は声の良さはもちろん、お三輪の町娘らしい勝気な愛らしさを描出。織はもったぶった語りが高貴な姫君らしく、お三輪と好対照だった。小住の求女も含めて、耳に心地よい。宗助を中心に華やかな三味線も聞きよかった。
人形は勘十郎のお三輪がいじらしく可愛らしく、一輔の橘姫は高貴な姫君らしく、こちらも好対照。求女の玉勢も2人の娘どちらにも いい顔をする優柔不断さが秀逸。
鱶七上使の口は御簾内で聖・燕二郎。素直な発声で嫌味がないのがいい。
奥は靖・勝平。
靖はこのところ頑張りが上滑りしているような感じ。入鹿の大笑いはやり過ぎ?とも思ったが、人形を見ながら聞くとスケールの大きさがちょうど良かった。(玉佳の芸のおかげ?)勝平は鋭い掛け声がよき。
姫戻りは碩・友之助。
いい声だし、高音も無理なく出ているが、姫の高貴さが足りないか。町娘ならこれでいいのだが。桃色の裃が場面に合っていた。友之助は淡々と。
金殿は織・燕三。
朗々と歌い上げて、美声自慢。何故かお三輪が可愛くないので可哀想に思えない。いじめの官女は老女のようであまり意地悪な感じでないし。鱶七は堂々として似合ってた。そして燕三の三味線の的確なこと! 語りの不足を補う。
人形は勘十郎、一輔の女方2人が素晴らしい。お三輪は橘姫と恋の鞘当てを演じる可愛らしさ、金殿で虐められる哀れさ、擬着の相への変化、刺されてからの悲喜交々がひしひし。耳では?のところも、視覚では伝わった。玉佳の入鹿が公家悪の大きさ。荒牧弥藤次の紋秀は右に傾いでいるように見えた。
2025年2月9日日曜日
2月9日 東京バレエ団 ベジャールの「くるみ割り人形」
主人公はマーシャならぬピムという男の子(山下湧吾)。飼い猫のフェリックス(宮川新大)、父親的存在のM(柄本弾)、母(政本絵美)を中心に、クリスマスの夢の世界が描かれる。自伝的物語とあって、幼い頃に死に別れた母への思慕や別れの悲しさが描かれる。いい歳した男が母親に甘えたり、パドドゥを踊ったりするのはちょっとマザーコンプレックス的感じがして引いたが、最後の別れが近づくとうるっときた。
Mは時に父親、時にマリウス・プティパ、時にメフィストフェレスのようにと場面ごとに役割も雰囲気も違って、笑っていても何考えているかわからないような不思議な存在。柄本は少し役者不足か。
同時にあちこちで芝居が進んでいるので、どこを見ていいのか、目が足りない。
花のワルツでプティ・ペール役のジル・ロマンが登場。ちょっとした動きでも惹きつけられるのはさすが。クライマックスで、黒燕尾の男性ダンサーが一斉にジャンプしたのが音楽に合って効いていた。
グランパドドゥは「プティパの振り付けに忠実に」とアナウンスがあったように、振り付け自体は初演時に忠実なのだろうが、パドドゥが終わったところで燕尾服の男たちが現れて女性だけを絶賛。うち1人が女性をエスコートして袖に引っ込み、男性ダンサーが取り残されたり、男性のソロを腕を組んで見ていたりと、笑いの要素も盛り込んでいた。黒のチュチュに男性も黒の上下という衣装はちょっと違和感。 雪のワルツでも何故か少女たちが黒のケープを纏っていた。
2025年2月8日土曜日
2月8日 noism「円環」
金森穣演じるゆっくりと歩む男をnoism1の若者たちが次々に追い越してゆく。男が引き留めようとしても止められず、やがて男も一緒に踊り始める。疾走感のある踊り(実際走っている)で、noism1の若いダンサーたちは体にフィットするレオタードなのに対し、金森の衣装は全体にギャザーを施した黒のスーツで、老いを象徴するかのよう。ハットを被っていたこともあって、初め誰だかわからなかったくらい、しょぼくれて見えた。背筋が伸びたまま走る姿勢が美しく、ダンサーの身体性を見た気分。
「にんげんしかく」
近藤良平振付の箱を使った楽しい踊り。大小の段ボールの中にダンサーが隠れていて、箱のキャラクターのようにちょこまかと動く様が微笑ましい。箱を出てからも近藤らしい楽しさが満載で、段ボールを叩いたり擦ったりしてリズムを取るのも面白かった。音楽は色々な曲のオムニバスで、キラークイーンやwhat a wonderful world などのカバー曲ものどかな感じ。
「Suspended Garden−宙吊りの庭」
井関佐和子、山田勇気に加え、退団した2人noism1のメンバーを加えての新作。天井に斜めに下がった白いパネルがスクリーンになって、赤い花や紅葉などの映像が投影され、季節の移り変わりを示す。赤いドレスの井関と色違いの茶系?のドレスを着せられたトルソーがもう1人のダンサーのように4人のダンサーが戯れる。男性ダンサーがドレスを着たり、トルソーと組んだ井関にひっくり返したドレスを着せ、また戻したりとドレスの使い方も面白かった。40代のnoismは流石に若さのキレはないなと思うなど。
2025年2月1日土曜日
2月1日 第51回バレエ芸術劇場「ドン・キホーテ」
2025年1月28日火曜日
1月28日 大槻裕一 咲くやこの花賞受賞記念の会
舞囃子「高砂」と半能「融 舞返之伝」を披露し、間にトーク。
小鼓の大倉源次郎、ワキの福王和幸が、咲くやこの花賞受賞の先輩として出演する贅沢さ。だが、近鉄アート館の黒いステージをそのまま使っての上演。橋がかりや目付柱がないのは致し方ないが、黒の背景では風情がないと感じた。最前列だったので、床の汚れで足袋の裏が真っ黒になっていくのが気になって…。
客席は9割方埋まっている感じだったが、質問コーナーでは誰も手を挙げず。子どもの頃から能面を手づくりし、「能ごっこ」をして遊ぶなどの能オタクぶりにたじろいだか。
2025年1月26日日曜日
1月26日 新春浅草歌舞伎 夜の部
ずっと憧れていた浅草歌舞伎、勘九郎、七之助が卒業して、自分の番だと思っていたのに、1年目之正月は父と大阪で悔しい思い。2年目から出演できたが、大きな役は兄さんたちで、自分は1ヶ月が長かった。今年は座頭となり、一ヶ月があっという間。29年前に生まれた時、父が浅草歌舞伎に出ていた。29年後に座頭として出演できて嬉しい。父は30歳で初座頭だったが、自分は1年早い29歳。
解説は鷹之資。
「春調娘七草」
左近の五郎、玉太郎の十郎、鶴松の静御前。
線の細い左近だが、体をいっぱいに使って力漲る立派な五郎。
2025年1月25日土曜日
1月25日 初春歌舞伎公演 第2部
通しだとお園の活躍が多くて嬉しい。鎖鎌など立ち回りの見せ場も多く、時蔵の女丈夫ぶりが凛々しい。毛谷村で虚無僧姿で出てくるところは、男っぽい所作で声色から違い、許嫁の六助と知ってころっと可愛らしくなる変わり身の早さも微笑ましい。
菊之助の六助は実直な好青年。彦三郎の京極内匠は敵役としては太々しさ足りない感じもしたが、存在感を見せた。
大詰で久吉方の若武者として子供たちが勢揃い。亀三郎、丑之助、眞秀、梅枝、種之助が並んで微笑ましい様子を見せたが、丑之助のうまさが際立った。立っているだけで他の子と違う。
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2025年1月13日月曜日
1月13日 新春特別公演
「於染久松色読販」
玉三郎の土手のお六、仁左衛門の鬼門の喜兵衛は息の合った夫婦ぶり。
2025年1月5日日曜日
1月5日 初春文楽公演 第1部
2025年1月4日土曜日
1月4日 初春文楽公演 第3部
道行はともかく、景勝上使からだと話がわかりやすい。客席は半分も埋まっていない感じで、正月なのに客入りが悪いのが何とも…。
十種香は錣・宗助。
奥庭は芳穂・錦糸に友之助のツレ、清允の琴。
芳穂は期待したほどでなく。「翼が欲しい〜」の件があっさりしてて、他のところとあまり変わらない感じ。もっと盛り上げて欲しい。錦糸の三味線は引き出しがバチっとしてて、びっくり。眉間の皺…。
人形は簑二郎の八重垣姫。下手ではないのに何となくパッとしないのは何故だろうと考えた。人形使いの華って何だろう。奥庭の左は簑紫郎、足は簑悠。激しい動きにも付いていっていて感心。主遣いより目がいってしまう。
2025年1月3日金曜日
1月3日 初春文楽公演 第2部
八段目は呂勢の小浪、靖の戸無瀬、ツレに聖、織栄、三味線は清治、清馗、友之助、清允。
華やかに、なのだが、呂勢が三味線の方を気にして顰め面していたのが気になった。
人形は和生の戸無瀬、簑紫郎の小浪。戸無瀬は人形拵えのせいか、首をすくめているように見える。簑紫郎の小浪がすっとしていたので余計に。
九段目の雪こかしは睦・ 清丈。
山科閑居の切は千歳・富助。
期待通り。安定感と風格があり、この段にふさわしい。
後は藤・燕三。
意外に良かったのは燕三の功績か。三味線の音色が深みがあって。
人形は玉男の由良之助と一輔のお石の夫婦がよき。雪こかしでちょっとイチャつくところがあるなんて今まで気に留めてもいなかった。