キミホ・ハルバート振付はコンテよりのロミジュリ。冒頭、プロローグ的にキャピュレット家の様子や 恋するも振られるロミオが描かれ、本編は死屍累々の如く横たわる群衆からのスタートが不穏な空気を醸す。
休憩を含め2時間ほどなのでストーリーはサクサク進むも、要所要所はしっかり描く感じ。一目惚れのシーンは、踊るジュリエットな目を奪われ、見つめ続けるロミオの視線がジュリエットの気を引く。視線だけで芝居をしてしまう奥村康祐の役者ぶりよ…。バルコニーのパドドゥや寝室のパドドゥはやや短めながら、幸福感にあふれ美しい。駆け寄ったジュリエットが背中からロミオの肩にのるリフトが素敵だった。一番印象的なのは、秘密結婚式で、長いヴェールの端をロミオが手にして、ふわりと浮かせた下をジュリエットが駆け寄るとそのまま花嫁のヴェールになる演出。墓場のシーンはジュリエットの亡骸を抱いたロミオが毒を煽った後、短いパドドゥがあったのだが、これはどういう意味なのだろう?瀕死の状態で愛を交わしたのか、それともジュリエットの妄想か。
奥村康祐のロミオはこれぞというロミオだが、もうちょっと少年ぽさがあってもよかったかも。芝居の手振りばかりだったのも気になった。今ひとつ、物語に入り込めなかったのは、時間が短かったのと、マキューシオ殺害の描かれ方に違和感があったから。ティボルトとの諍いの早い段階で胸を刺されたのに、その後も長い時間闘いを続けるので、十分止める時間があったのにロミオが放置していたように見え、マキューシオが殺されて逆上するのが不自然に思えた。
キホミはジュリエットには歳がいきすぎているかと思ったが、小柄なのと初々しい演技で違和感はなかった。ティボルトの吉崎裕哉はシャープな踊り。細身の身体つきのせいか爬虫類を思わせ、危険な感じがする。マキューシオの上野天志は振付も兼ねる。ロミオ、ベンヴォーリオの菊地研とともに、男性ダンサーの躍動感のある踊りが楽しかった。
アートダンスカナガワの主催なので、子どもたちや、アマチュアダンサーが多数出演して、アンサンブルが厚く、情景描写として面白かった。ロミオが追放され、パリスとの結婚を強いられたジュリエットが神父に助けを求めに行くところで、波のようなアンサンブルがジュリエットを巻き込んで神父のもとへ連れて行ったり。両家の争いを仲良く遊んでいた子どもたちを引き裂くことで表すなど、制約のある中で工夫されていた。
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