2026年8月1日土曜日

8月1日 貞松・浜田バレエ団「バレエ・ドラゴンクエスト」

ゲーム原作と軽く見ていたが、ストーリーも、振付も、バレエ作品としてとてもよくできていた。中世ヨーロッパ風のファンタジー世界とバレエの相性はいいのだろう。音楽も、オーケストラで奏でられるメインテーマは盛り上がりるし、ほかも木琴を使った軽やかな曲やフルートを効果的に使うなど、バラエティにとんだシンフォニー。一部、戦隊モノみたいな劇伴音楽もあり、いい感じでゲームとのコラボだった。 白の勇者の後藤俊星が主役だが、踊りの見せ場は黒の勇者の小森慶介により多く、高い跳躍、回転の速さなど、テクニックを遺憾無く発揮。王女の宮本萌は可憐なだけでなく、敵に立ち向かう強さも魅せた。何より、賢者役の山本隆之は立っているだけで存在感があり、物語に説得力を加えた。重いローブを纏っているので、動きは大きくないのだが、手を挙げたり回ったりするだけでも、際立つ美しさ。魔王役の法村圭緒は禍々しい感じだがラスボス感が薄く、最初出てきた時は黒の勇者のお付きみたいに見えた。 2幕で出てくる聖母(竹中優花)は重要な役どころながら、王女(正木志保)と衣装が似ていて、同一人物かと混乱した。(カーテンコールで並ぶと王女は金、聖母は銀だと分かるのだが、別々に出てくると見分けがつかない。せめて王冠の形はもっとはっきり違いを出す方がいいと思う) 伝説の勇者(水城卓哉)は案外弱い。ラスト、黒の勇者が魔王を道連れに死ぬところは、魔王が理由なく後ろの方へ移動するのに段取り感があって残念。黒の勇者と揉み合いながら動くなど、もっと自然な形だとなおよかった。

2026年7月31日金曜日

7月31日 第十一回あべの歌舞伎 晴の会

「瀧汗舞踊顔見晴」の外題通り、大汗かいての舞踊づくし。 幕開きは「ようこそ晴の会へ」と題して、第一回の映像から過去公演を振り返るトークへ。晴の会の名前の由来(ハルカスにちなんで「晴」の字を使いたい、「はれのかい」ではつまらないと秀太郎が難色、かつて自主公演の際に「そらのかい」の名前を提案され実現しなかったことを思い出し「晴」を「そら」と読むことにしたとか)。途中、友五郎も登壇し、還暦祝いで3人からもらった辰模様の赤いネクタイを披露。 舞踊三題は長唄の「傾城」から。 千寿の傾城とりき弥の新造。美しいが重たい衣装のためあまり動かず、舞踊としては見応えにかける。 常磐津「粟餅」は翫政の杵造に千次郎のお臼。千次郎の女方は珍しく、緊張した面持ちながら可愛らしい。朗らかな翫政との掛け合いも軽妙。 長唄「橋弁慶」は松十郎の弁慶に千太郎の牛若丸。松十郎は第一回でも踊っていたが、重厚感が増し、弁慶の貫禄があった。千太郎は若々しさ。 上方笑作事と題した新作「三人ほら吹き」は古典舞踊「三人片端」の翻案。用心棒募集の立て札を見た3人の盗賊が、力持ち、鼻がきく、俊足と大嘘をついて、殿様の屋敷に入り込む。狂言仕立てで、晴岡主馬の佑次郎に使える翫政の吾郎太が主人と太郎冠者のような感じ。松十郎の剛の権蔵、千寿のおきゃんのお花、千次郎のはしこい半平がそれぞれ踊りを披露し、千次郎は三つ面の踊りで大奮闘。最後は、盗賊を捕まえようと主従入り乱れてのドタバタで、賑やかな踊りに。最後は3人が財宝を手に逃げおおせるのもおおらかでいい。吾郎太の翫政が三人の嘘を見抜く、抜け目のない従者を好演。 晴の会名物?の屏風の演出が活用され、表面は松の絵が描かれ松葉目の代わりに、途中、裏返すと宝物蔵になる。 りき弥と千太郎が屋敷に使える腰元、鴈大が立て札の内容を誤解して飯を貰いにくる浮浪者ぐう太郎。屋敷ないをうろうろしていてもおかしくない役柄を、小道具を手渡すなど後見役としても生かすのはうまい演出と思った。 長唄、常磐津に鳴物も加わり、演奏面も贅沢だった。 上方笑作事と題した新作「三人ほら吹き」は古典舞踊「三人片端」の翻案。3人の盗賊が、力持ち、鼻がきく、俊足と大嘘をついて、殿様の屋敷の用心棒として入り込む。狂言仕立てで、晴岡主馬の佑次郎に使える翫政の吾郎太が主人と太郎冠者のような感じ。松十郎の剛の権蔵、千寿のおきゃんのお花、千次郎のはしこい半平がそれぞれ踊りを披露し、千次郎は三つ面の踊りで大奮闘。最後は、盗賊を捕まえようと主従入り乱れてのドタバタで、賑やかな踊りに。最後は3人が財宝を手に逃げおおせるのもおおらかでいい。

2026年7月30日木曜日

7月30日 地主薫バレエ団 ダブルビル

「パキータ」 パキータとリュシアンの結婚の場を、グランパドドゥやパドトロワ、群舞で華やかに。 パキータ役の山崎優子は華があり、アームスがパキッと決まって美しい。リュシアンは怪我で降板の松田大輝に変わって石神航一。着地でグラつくなどヒヤッとするところもあったが、大過なく大役を勤めた。 パドトロワは葭岡未帆、宗近匠、三谷ゆり。葭岡が存外冴えず、三谷の端正な踊りに目を惹かれた。 貴族など、大人数の群舞もよくまとまって、見応えがあった。 「ラ・シルフィード」 倉永美沙のシルフィードは妖精の軽やかさ、神秘性を体現。序盤のピルエットでポワントが落ちたように見えたが、他は危なげなく、ヴェールを掛けられて苦しむ様も美しい。奥村康祐のジェームズも期待通りで、浮気な青年の揺れ動く心情を生き生きと描き、幕切れの悲嘆に暮れる後ろ姿が哀れ。(マッジに怒って両拳を振り上げる仕草はなんか可愛いかった) マッジは元スコティッシュ・バレエ団の下村由理恵。得体の知れない老女を快演。ラスト、高らかに笑う姿は清々しいほど。エフィの奥村唯、グァーンの巽誠太郎も役に合っていた。 エフィやジェームズの友人、子供たちなど、舞台上にたくさんの人がいて賑やか。

2026年7月25日土曜日

7月25日 Noism0+Noism1「私は海をだきしめていたい」改訂版「春の祭典」

「私は海をだきしめていたい」 坂口安吾の小説がモチーフ。サティの曲なのか、開演前から客席には静かなピアノが流れ、全身黒の衣装にシルクハット、傘をさした金森が下手側な客席後方から歩いてくる。舞台に上がると同じ出立ちの男性ダンサー、舞台の上手奥に真っ赤なドレスを纏った井関の後ろ姿…と、シックでスタイリッシュな雰囲気。金森・井関を含め、5人ずつの男女がすれ違ったり、絡んだり、様々に交わる。女性の衣装は裾を引き摺るくらいのロングドレスで、前に大きくスリットが入っていて、時に挑発的に大きく広げたり、腰に巻きつけたり、男性ダンサーを包み込んだり、多様な表情を見せる。 終盤、井関と金森のパドドゥが 2回繰り返され、循環を感じた。アクロバティックなリフトも多く、金森の桃の付け根あたりに両手を置いた井関の腕を金森が掴んでそのまま回転する(井関の足が宙に浮いた状態)など。 「春の祭典」 裾の長い白いシャツに短パンの衣装、背景や小道具の椅子も白っぽくどこか最新病院を思わせる。椅子と共に倒れたダンサーの真ん中で井関が震えている幕開きから、起き上がったダンサーらも何か大きなものが襲ってくるのに怯えるよう。途中、椅子取りゲームのようになり、仲間はずれを排除したり、椅子をバリケードのように積み上げたり。最後は最初のシーンに戻り、永遠に繰り返されそう。

2026年7月24日金曜日

7月24日 「虹のかけら〜もう一人のジュディ」

三谷幸喜作のジュディ・ガーランドの付き人で親友というジュディ・シルバーマンを通してガーランドの反省を描く音楽劇。シルバーマンな「オズの魔法使い」のドロシー役のオーディションでガーランドに敗れ、一方的に親友扱いされ、愛憎入り混じりつつも生涯そばにいたという設定がよくできている。彼女の書いた日記のタイトルが「a piece of rainbow」で、ニューヨークの本屋で戸田が見つけ、三谷に紹介して日本語出版、脚本化したとか(出版社がカドワキショテンとかいうのでおやとは思った)だとか。 何よりエンターテナーとしての戸田が素晴らしい。登場しただけで観客を惹きつける華がある。ガーランドの出演作を追いつつ、代表曲を歌うのだが、曲によって表情を変える歌唱が素晴らしい。 ラストは、三谷のナレーションでジュディ・シルバーマンは架空の人物であることが明かされ、きれいにオチもついた。 還暦記念で作品を作ったことから、どうして4回目を上演することになったか(3回目のニューヨーク公演が大幅な円安で赤字になったため、赤字を回収するため)を話す前フリ(?)から、終演後のパンフレットやグッズの宣伝まで含めて90分ほど。短い時間なのに、倍くらいの充実感があった。

2026年7月23日木曜日

7月23日 落語と文楽の会

こころや140周年のイベントを大槻能楽堂で。出演者が揃いの浴衣を着ているのはさすが呉服屋さん。 落語「地獄八景亡者戯」をアレンジして、吉坊の落語に合わせて人形が演じる「地獄八景人形戯」。主人公?は曲芸師のたぬきで、綱渡りから落ちて地獄に落ち、狐と珍道中という展開。狐好きの勘十郎が狐をイキイキと違い、お園に化けて閻魔の前で手品を披露するも上手くいかず尻尾を表してしまったり、たぬきと狐が綱渡りを披露したり。最後は赤鬼青鬼(お面を付けた勘介と勘吉)に追い立てられて幕。吉坊はちょっと早口な感じもあったが(この後道頓堀で別の仕事があったらしい)、閻魔の顔など、地獄八景の見せ場を取り入れつつうまいことまとめていた。 枝鶴は落語「遊山船」を披露。言うまでもないことだが、やはり上手い。夕涼みの船の様子や粋筋の芸者、阿保なやりとりがこれぞ落語という感じ。 最後は文楽で「義経千本桜」から知盛幽出立。小住・清公の床に勘十郎の知盛がどれも素晴らしく、充実の舞台。小住のおおらかさ、謡がかりはあまり能に寄せず。清公も気迫のこもったバチ捌き。勘十郎が知盛を違うことはあまりないが、知盛の決めきめのポーズが大きく勇ましく、本公演以上に力が入っているようにすら見えた。

2026年7月20日月曜日

7月20日 夏休み文楽特別公演 名作劇場

「源平布引滝」 九郎助住家の段の口を碩・勝平。 九郎助女房の語りがよく、仁惣太の小物ぶりとの語り分けもしっかり。勝平の三味線はおおらか。 次は藤・燕三。 瀬尾の怒鳴り声に迫力があり、ビクッとした。九郎助、太郎吉のやり取りがほのぼの。燕三は情景描写が鮮やか。 切は分割して、前半を千歳・富助、後半を錣・宗助。 切り語りの無駄遣いという感じがしなくもないが、聞き応え十分の贅沢。 人形は玉彦の太郎助が愛らしい。和生の九郎助は情があり、姿が決まっているのに改めて感心した。玉男の実盛に風格。 「恋娘昔八丈」 城木屋の段の前を靖・藤蔵。 三味線のおかげか、いい語り。番頭丈八のいやらしさがうまい。 奥は呂勢・清治のところ、後半は清志郎に入れ替わる配役変更。清治は体調が悪いのか心配だが、自分で立って退場していたのでそれほどでもないのか。呂勢は華があって聴きごたえ十分。 鈴ヶ森の段は芳穂・錦糸。 娘を気遣う庄兵衛と女房がいい。文楽にしては珍しくハッピーエンドだが、直前までは悲劇。 お駒が喜三を手にかけるシーンを飛ばしているので、少し分かりにくい。 人形は一輔のお駒が丈八のアプローチ?を耐え忍ぶ様が美しく、帯屋を見たいと思った。簑紫郎の才三郎はすっきりとした男前。玉也の丈八もいい感じでしつこいいやらしさを好演。 26日に再見。夏公演で一番の見応え、聞き応え。