2026年10月14日水曜日

10月14日 フェニーチェ文楽 vol.7 第一部 第二部

第一部は「壷坂観音霊験記」。 床は靖・友之助に清方のツレ。 力一杯の語り、三味線はいいのだが、感情が迸るような激しさ。世話ものなのでもう少し柔らかみがあってもいいのではと思った。 人形は簑太郎のお里、勘次郎の沢市、勘吉の観音。 お里が浮気の疑いを晴そうと毎夜の観音参りを告白するところ、沢市にしなだれかかるような動きに違和感。商売女が口説いているみたいに見えた。お里が歩くところは、足遣いのつまむ位置高いのか、膝のすぐ下に足があるみたい。勘次郎の沢市は行儀がいい。 アフタートークは勘十郎とゲストの吉坊。 沢市のウジウジしたところは共感できて演じやすかったそう。人形遣いの人となりが現れるというが、勘次郎はいかに? 吉坊の聞き取りによると、靖は前半のウジウジいたところがしんどいのだそう。 第二部は「ひらかな盛衰記」の神崎揚屋の段。 床は碩・燕二郎、清方のツレ。 碩は出だしは音程が不安定だったが、後半に行くにつれ声ののびがでてよかった。燕二郎も複雑な手をしっかり弾いていた。 人形は簑紫郎の梅ヶ枝、簑太郎の梶原源太、勘次郎のお筆。 簑紫郎は格の高い傾城の凛とした姿勢が美しい。梶原源太は男前なのだが、なんか残念。勘次郎は女方の方がしっくりくる感じ。 アフタートークによると、傾城の人形は重量的には松王丸よりは軽いのだが、左遣いにサポートしてもらったり、つっかえ棒(名前を失念)で支えたりできないので、主遣いの負担はより重いのだそう。打掛を脱いでからは、頭の重さとのバランスが悪く持ちづらいのだそう。

2026年10月8日木曜日

10月8日 霜乃会プラス

燕二郎が胡弓を解説。 阿古屋の曲(巣篭もり)を実演したり、珍しい大弓(藤蔵所有)も披露。太棹三味線の裏に穴が空いていて、胡弓と同じ弓で弾く。チェロのような音色で、西遊記やファルスタッフで使うそう。燕二郎は紋四郎らとのやりとりも流暢になり、頼もしい。 司会の紋四郎が落語の「景清」について、清水寺の観音が十一面観音で楊柳観世音になのは、一度途絶えて江戸落語から米朝が取り入れたためという説を披露。江戸の清水寺の本尊が楊柳観世音なのだとか。林家一門は十一面で演じているそう。

10月8日 若手素浄瑠璃の会

「菅原伝授手習鑑」 杖折檻より東天紅の段を織栄・清丈。 45分声を枯らすことなく語り切ったのは健闘だが、浄瑠璃というより、何か別のもののように聞こえた。元気よすぎるのか。あまりメジャーでない曲を選んだのはなぜだろう。腹に一物ある悪役や複数女性の語り分けはまだハードル高いのでは。 寺子屋の段は芳穂・錦吾。 ちゃんとした浄瑠璃を聞いたという安心感。首実験の場面では三味線との丁々発止が緊迫感を高め、錦吾の三味線も聞き応えあった。芳穂は緩急のある語り分けが見事で、後半はしっとりと。錦吾のいろは送りはもうちょっと柔らかくてもいいかと思った。

2026年10月4日日曜日

10月4日 錦秋十月大歌舞伎 第三部

「義経千本桜」 渡海屋から大物浦。 松緑の知盛はポスターのビジュアルがよく期待していたが、口跡の悪さは如何ともしがたく…。終盤の「生き変わり死に変わり…」のセリフが「生ききゃわり…」と聞こえた。芝居はてらいがなく、入水するときは潔かった。(2階席だったので、飛び込んだ後に跳ねた足が見えてしまったのはご愛嬌。飛び込みの勢いが良すぎたのかマットの反発力が高すぎたのか)時蔵の典侍の局は安徳帝を毛皮に座らせたところで、拵えはそのままなのに船問屋の女房から天皇の乳母にすっと様子が変わる。ちょっとした姿勢の違いなのだろうが、役者の力。銀平の天気読みを自慢するところはさらりとしていた。(このくだりは後日カットしたらしい。インタビューであまりやりたくないと言っていたが、時間短縮のためもありそう)安徳帝は一般の子役で、セリフはしっかりしていたが、終始首を右に傾げていたのが残念。幼くてもまっすぐしていないと高貴な人に見えない。 幕開きの船問屋の女中?に千寿と折之助。安徳帝付きの女御は他にりき彌、愛三郎、千太郎。千太郎はすっきりした化粧がきれいだった。立役も、船頭に仁三郎や松十郎、千次郎ら、上方の役者が活躍して嬉しい。 「屋敷娘」「近江のお兼」 壱太郎と眞秀の屋敷娘は可愛らしい。眞秀は脚が長いのは仕方ないにしても、だいぶ腰高に帯を結んでいるのはどうしてか。屋敷娘の終盤、壱太郎が紅葉の木の後ろに消え、花道で眞秀が踊っているうちに舞台装置を転換。早替わりでお兼が出てくる。 馬とのやり取り、奴が4人出てくるなど、華やか。長い晒の扱いも見事だった。 23時10分ごろ終演予定を、初日から21時にすべく壱太郎が工夫したと聞いていたが、千本桜が2分ほど押して終わったのでどうなることか思った。休憩時間をやや短縮して定刻スタートし、21時には終演した。

10月4日 国立劇場 歌舞伎公演

本朝廿四孝の筍堀りが珍しくかかるというので三等席で鑑賞。 主役の横蔵を又五郎。こういう骨太な役をするのは珍しいと思いつつ、全体的に配役が渋すぎ。錦之助の慈悲蔵は孝行息子と言いつつ気が利かないし、魁春の母越地の息子に対する仕打ちたるや、酷すぎないか? 魁春の婆は情が薄い感じ。受けの芝居が特に、無表情にじっとしてる。 桔梗が原の場で妻入江の齊入が立ち上がる時に派手に転んで、角隠しが半分ひっくり返ってた。夫越名弾正の松江が耳打ちして自分で少し直していたが、あまり変わらないまま。黒衣が何とかするとかできないものかと気になった。

2026年10月3日土曜日

10月3日 錦秋十月大歌舞伎 第二部

「盛綱陣屋」 仁左衛門の盛綱は5月の松竹座とはちょっと違う感じで、首実験での表情が抑えめに見えた。その分、腹に抱えた心情が重く伝わるような。 小四郎の梅枝は案外普通。セリフはしっかりしているし、やるべきことはやっているのだが、視線が泳ぐので心ここにあらずな感じに見える。成長して余裕ができ、こなしている風になってしまうのか。子役としては及第点以上なのだが、もっとできると期待するのは酷か。最後は瀬川の時蔵、微妙の萬寿と抱き合い親子孫の共演(役の上では祖母と伯母だが)。間近っで見ている父と祖父はどんな思いかといろいろ考えてしまった。 皐月は孝太郎。花道で立ち止まって極まる姿などちゃんとしてるのに、どこか残念なのはなぜだろう。和田兵衛の愛之助は二度目で余裕ができたのか、役が大きく見えた。 「山帰強桔梗」 巳之助の一人舞踊。軽快な動きで、演じ分けも見事。清元の延寿太夫が辛かった。

10月3日 錦秋十月大歌舞伎 第一部

「鯉つかみ」 ケレンあふれる(ケレンしかない)芝居ながら、愛之助がサービス精神を遺憾なく発揮して沸かせる。池の鯉が宙に浮いて、着ぐるみの中から夢の志賀之助が宙乗りで登場。本水には一回転して飛び込み、立ち回りでは鯉ともども大量に水を撒き散らす。バッタリでは鯉もツケに合わせて決まっていた。壱太郎の小桜姫は発声のくせが強く、ちょっと重い。幕開きの腰元に千次郎。姿はしっとりと美しく、声もいいが、慣れない着物の裾捌きにぎこちなさも。巳之助の篠村次郎がよき。 舞台転換中、大薩摩?が花道に出て演奏するのだが、三味線の調弦を緩めてまた引き締めるというアクロバティックな奏法にびっくり。 「義経千本桜 河連法眼館」 八代目菊五郎の忠信は本物の方が真面目なニンに合っている。前半の狐言葉に軽やかさがなく重たげで、心なしか織太夫みを感じた。狐であることを見破られ、床下に落ちて早替わりするところは、見慣れた縁の下でなく、上手の部屋から登場。欄干に飛び乗るところなど身のこなしが軽く、欄干に乗っての移動も危なげなかった。鼓を賜り喜ぶところなど、もっと可愛げがあってもいいかも。 義経は七代目で、幕の裏から出てきて10歩ほど歩く足取りはしっかりしていた。セリフは朗々として、気品があるのはさすが。静は雀右衛門で、気品とたおやかさがある。 最後は僧兵の襲撃はなく、鼓を抱えた忠信が花道を駆け去って幕。