2026年4月5日日曜日
4月5日 御名残四月大歌舞伎 夜の部 Aプロ
「寺子屋」
仁左衛門の松王丸が胸を打つ。源蔵が裏に入って小太郎の首を打つ音に反応して哀しみを咳払いで誤魔化すところ、首実験ではわずかに揺らぐ表情に我が子への想いが滲んだ。源蔵に小太郎の最期の様子を聞いて「笑いましたか」からの泣き笑いには涙腺が崩壊。孝太郎の千代とも息のあった芝居で、充実していた。終幕、極まったあとで顔を俯け、最後まで涙を誘われた。
幸四郎の源蔵、壱太郎の戸波も悪くない。小太郎は陽喜。3階から見たせいかすごく小柄に見えた。
寺入りでは吉太朗の涎くり。周りの子役がとりわけ小柄なので、大人が混じっている感じ。いたずらを叱られて机の上に立たされる。土産の饅頭を頬張ったり、下男三助の松之助と、戸波と千代のやりとりをパロディでなぞったりと見どころたっぷり。
「五条橋」
獅童の弁慶に陽喜の牛若丸。体調不良(骨折?)で休演した夏幹の代役で急遽登板したことを考慮すればまずますか。小柄なので自分の刀ですら持て余してる感じで、弁慶の長刀を奪うところなどは不安になる程だった。それにしても、松竹座のお名残でなぜこの親子の舞踊を見せられるのかとは感じた。
「河庄」
鴈治郎の治兵衛に扇雀の小春。2人ともセリフが辛く、1時間半の芝居がとても長く感じた。藤十郎七回忌の追善ということで、藤十郎の台詞回しを思わせるところも多々あるのだが、ねちっこいというか、ねばっこいというか。歌六の孫右衛門のセリフが一番耳に心地よく、救われる思いだった。扇雀の小春は貫禄があって、娘というより年増女に見える。おさんを思って耐えている健気さより、恨み節な感じで、重たくしんどい。治兵衛、孫右衛門、小春が並んで、小春が一番大きく見えるのはやはりバランスが悪い。身体が大きかったとしても、華奢に見せるのが芸でしょ。
幕開きで吉太朗の女郎が綺麗。河内屋お庄の吉弥が凛として、小春より若々しく見えた。
4月5日 欲望という名の電車
篠井英介のブランチに胸が締め付けられた。特に2幕の、追い詰められて正気を失っていく様が痛々しい。女性が演じるよりもより、胸に迫るように感じるのはなぜだろう。最後、見知らぬ男女につれられて去っていくブランチは、白い衣装が花嫁衣装のようにも見え、より哀れさが際立った。ステラの松岡依都美がベランダからブランチの名前を叫ぶ幕切れに余韻が残る。松岡は明るく朗らかで、悲壮な話の中で心休まる存在。
スタンリーは田中哲二。粗野で乱暴な男を好演。ミッチの坂本慶介も、礼儀正しい好青年から、ブランチの正体を知ってからの自暴自棄な様子への変化ぶりがすごかった。大屋夫婦の夫にイキウメの森下創。労働者階級の世界観を作り出していた。
近鉄アート館の3面客席の舞台で、舞台奥に玄関とキッチン、手前が寝室、上手側の通路奥にバスルームという設定。A席
から見たので、正面からとは違う面から見られたのも興味深かった。
ブランチは篠井が女方を志すきっかけになった役だそうで、これが最後だというのを観に行って本当によかった。ブッキングミスですぐに移動しなければならず、カーテンコールを後目に会場を後にしたのが心残り。
2026年3月27日金曜日
3月27日 令和大序会
織太夫主催の若手会の2回目。松竹座閉館のニュースを見てすぐはり重社長に電話し、本店の3階を無料で貸してくれることになったそう。
「由良湊千軒長者 山の段」を靖・清公。
安寿とつし王のお話。珍しい浄瑠璃に挑む心意気はよき。姉弟の健気さが聞きどころだと思うが、我流が出ちゃっている感じで、耳に触る浄瑠璃。
「一谷嫩軍記 熊谷桜の段」は聖・清志郎。
のびのびと素直な発声で好感が持てる。女2人の語りわけはまだまだだが。清志郎は切先鋭い三味線で、後輩を引き立てていた。
「仮名手本忠臣蔵 殿中刃傷の段」は小住・友之助。 堂々とした語り。師直は威厳のある様子で、意地悪ぶりが憎々しい。友之助も小気味のいい演奏。
「由良湊千軒長者 山の段」を靖・清公。
安寿とつし王のお話。珍しい浄瑠璃に挑む心意気はよき。姉弟の健気さが聞きどころだと思うが、我流が出ちゃっている感じで、耳に触る浄瑠璃。
「一谷嫩軍記 熊谷桜の段」は聖・清志郎。
のびのびと素直な発声で好感が持てる。女2人の語りわけはまだまだだが。清志郎は切先鋭い三味線で、後輩を引き立てていた。
「仮名手本忠臣蔵 殿中刃傷の段」は小住・友之助。 堂々とした語り。師直は威厳のある様子で、意地悪ぶりが憎々しい。友之助も小気味のいい演奏。
2026年3月26日木曜日
3月26日 霜乃会プラス
燕二郎が櫓太鼓の曲弾きを披露。
糸の間にバチを通したり、撥の持ち手側で弾いたり、三味線を逆さに置いて弾いたり、果ては棹に置いた撥を右手側に飛ばしたり(ちょっと遠くに飛びすぎて伸び上がっていた)と、見せ所たっぷり。太鼓を思わせる力強い叩き撥など力強い演奏で、本舞台でもぜひやってほしい。ただ、一度弾くと棹が傷だらけになるそうで、あまり頻繁にはかからないかも。燕三が20年前に勤めていて、やってみたい曲だったそう。
2026年3月24日火曜日
3月24日 素浄瑠璃の会
豊中市の桜の庄兵衛で浄瑠璃を聞く趣向。木造だが、天井の高い空間は音の響きもよく近くだったこともあって迫力十分。
かつて錦糸が五代目呂太夫と復曲した「軍法富士見西行 江口揚屋の段」を千歳と。
盛りだくさんの浄瑠璃で、山場に次ぐ山場という感じ。人物関係も複雑で理解しきれないところも合ったが、勢いに飲まれて充実感が残った。錦糸の三味線もアグレッシブで、勢いのある演奏だった。
2026年3月22日日曜日
3月22日 三月大歌舞伎 夜の部 Bプロ
「寿春鳳凰祭」
舞踊をつけるのはいいのだが、出演者多すぎない? 梅玉の帝に魁春、雀右衛門の女御を筆頭に、総勢15人の幹部役者が出演する華やかさ。
「三人吉三巴白波」
時蔵のお嬢、隼人のお坊、巳之助の和尚のバランスがとてもよく、今まで観た中で一番スリリングな三人吉三だった。なにより、時蔵のお嬢が格好いい。女の形をしていても男だという性根がしっかりしている。大川端のツラネは聞き惚れたし、娘と男の変わり身が鮮やか。100両を手にして寺を出た行くところなど、颯爽として、ヒーローの趣き。最期も振袖を着ていても仕草は男で立ち回りも力強い。隼人のお坊は以前はどこか頼りなかったけど、今回はたくましくなって、お嬢との並びも美しい。巳之助の和尚は骨太な感じが頼もしく、兄貴分の風格がある。
おとせを左近、十三郎を染五郎が勤めたためか、この2人のくだりがじっくり描かれた感じ。左近のおとせは顔が真面目すぎな感じで、もっとしどけなくてもよさそう。歌六の伝吉は長い独白を聞かせた。
舞踊をつけるのはいいのだが、出演者多すぎない? 梅玉の帝に魁春、雀右衛門の女御を筆頭に、総勢15人の幹部役者が出演する華やかさ。
「三人吉三巴白波」
時蔵のお嬢、隼人のお坊、巳之助の和尚のバランスがとてもよく、今まで観た中で一番スリリングな三人吉三だった。なにより、時蔵のお嬢が格好いい。女の形をしていても男だという性根がしっかりしている。大川端のツラネは聞き惚れたし、娘と男の変わり身が鮮やか。100両を手にして寺を出た行くところなど、颯爽として、ヒーローの趣き。最期も振袖を着ていても仕草は男で立ち回りも力強い。隼人のお坊は以前はどこか頼りなかったけど、今回はたくましくなって、お嬢との並びも美しい。巳之助の和尚は骨太な感じが頼もしく、兄貴分の風格がある。
おとせを左近、十三郎を染五郎が勤めたためか、この2人のくだりがじっくり描かれた感じ。左近のおとせは顔が真面目すぎな感じで、もっとしどけなくてもよさそう。歌六の伝吉は長い独白を聞かせた。
2026年3月21日土曜日
3月21日 新国立劇場バレエ団「マノン」
奥村康祐のレスコーが秀逸。幕開きにマントにくるまってうずくまっている姿に漂う虚無感。マノンとは裏表の関係で、マノンの美を利用してのしあがろうとする野心が固く引き締まった表情に見える。常に奥歯に力が入っている感じ。なのに、力及ばす無惨に撃ち殺される哀れさ。終始悪そうな感じで、利用できるものは妹も使う強かさ。木村優里の愛人とは長いキスから始まるも、態度は冷たい。所有物としての執着はあるが、愛情はないよう。2幕の酔態は本当に酔っ払っているみたいにフラフラしてて、倒れ方も大胆。
小野絢子のマノンは役そのもの。デ・グラューへの愛も、贅沢や宝石に惹かれるのも、心の赴くまま。悪気ないのは深く考えていないからで、男たちを破滅に導く。
福岡雄大のデ・グリューは優男みがなく、ニンとしては奥村と逆ではと思うが、超絶技巧リフトの安定感たるやさすが。
木村優里の愛人は虐げられる立場ながら、うまく立ち回る賢さがある。踊りはもっとアダっぽくても
小野絢子のマノンは役そのもの。デ・グラューへの愛も、贅沢や宝石に惹かれるのも、心の赴くまま。悪気ないのは深く考えていないからで、男たちを破滅に導く。
福岡雄大のデ・グリューは優男みがなく、ニンとしては奥村と逆ではと思うが、超絶技巧リフトの安定感たるやさすが。
木村優里の愛人は虐げられる立場ながら、うまく立ち回る賢さがある。踊りはもっとアダっぽくても
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