2026年6月8日月曜日

6月8日 文楽鑑賞教室 Bプロ

「団子売」 靖のお臼、咲寿の杵造、碩、聖、三味線は団吾、友之助、錦吾、燕二郎、清方。 揃っていなくてガチャガチャして聞こえた。 人形は勘介の杵造、玉延のお臼。 玉延は生き生きとしてよき。 解説は玉路。 淡々とした話ぶりはそこはかとなくおかしいが、長尺だとちょっと退屈かも。 人形の扱いも、口針から着物の袖を外すところが今ひとつ。 「引窓」 呂勢・藤蔵の奥が面白く、目が覚めた。テンポのいい語りと、盛り上がる三味線の相乗効果で、感情の波が押し寄せるよう。濡髪の大きさ、母の素朴な情、十次兵衛の実直さなど、語り分けが的確で、物語がすんなり入ってきた。 中は希・寛太郎。 寛太郎の弾き出しは気合いが感じられて、期待が高まったが、希の語りはいまひとつ。顔が痩せたようだけど、調子悪いのか。 人形は十次兵衛の玉志が颯爽と。濡髪の玉翔は階段を駆け降りるところの勢いが良かった。 長五郎母の勘市、おはやの紋臣。

2026年6月7日日曜日

6月7日 六月大歌舞伎 夜の部 Bプロ

「盟三五大切」 松也の源五平衛、勘九郎の三五郎。役者の違いだけでなく、演出の違いも多く、別の芝居だった。 虐殺の場面は、首を落とされたり、衝立を掴んだ手を切り落とされたりと、歌舞伎らしい演出。2階から突き落とされたのもびっくりした。血飛沫はなく、本水もなく、雨音のなか破れ傘をさして花道を去る源五平衛は胸に抱いた小万の首を愛おしそうに見つめ、頬を寄せるのも美しい。 演出の違いは飯を小万に食べさせようとして、首の目と口が開くとびっくりして茶碗と箸を取り落とす(勘九郎は冷静)、小判の堤を開いて刻印を確かめたのちは後ろへ放る(勘九郎は封印切のようにバラバラとこぼす)など。 勘九郎の三五郎は、小舟に乗って小万といちゃつくところがR18だった。際どいセリフではだけた浴衣を直すのがなんとも言えない。江戸時代の観客のドキドキもこんな感じだったのかと思ったり。 全体的に殺しも含めて美を感じられたのは松也で、勘九郎は恐ろしさが優った。

6月7日 六月大歌舞伎 昼の部

「金閣寺」 時蔵の雪姫が素晴らしい。役作りが的確で、三姫ではあるが、楚々とした風情の中に人妻らしい落ち着きがある。何より、義太夫に乗っての所作、決まり決まりの姿が美しい。 松永大膳の獅童、鬼藤太の種之助、此下藤吉の隼人、軍平の歌昇もそれぞれ適材適所な配役。慶寿院の錦之助は珍しい。 「戻駕色相肩」 萬寿の久吉、萬太郎の五右衛門、梅枝の禿。 祖父と叔父の共演をえて、梅枝が可愛らしいこと。 「子連れ狼」 冒頭のナレーションから、30人くらい切ったのではという大立ち回りなど、テレビドラマの舞台化といった感じ。暗転の舞台転換の時に流していたのは主題歌だろうか。子どもの声で「父ちゃんの仕事は刺客」という歌詞はなかなかインパクトああり。 拝一刀の獅童は、テレビのキャラクターそのもの。小柄な夏幹が大五郎をできるのも今のうちだろう。 堅物の勘九郎は典型的なゲスな敵役を好演。妾?の米吉も悪い女がいい。拝に敵討を依頼する七之助も哀れな女が良かった。 拝の仇、柳生一族に松也。一頻り敵討が終わったところで再登場するのだが、一瞬なんで?と思ってしまった。子連れ狼の主題ではあるのだろうが、1話限りの上演では蛇足では。

2026年6月6日土曜日

6月6日 六月大歌舞伎 夜の部Aプロ

「俄獅子」 「華舞於河賑」の外題で、小川姓の役者17人が集まる小川家祭り。 幕開きは梅玉、松緑の鳶頭、辰之助の芸者が迎え入れる趣向で、華やかさを添える。 歌六・米吉の2人踊りに始まり、松緑と時蔵が踊っているところへ萬寿が割って入るなど、様々な組み合わせの踊りが繰り広げられる。ちびっ子6人も頑張った。中では梅枝が一番年長なのかな。しっかりしてた。 鳶頭で出演予定の7代目菊五郎が体調不良で休演。 「盟三五大切」 勘九郎の源五平衛、松也の三五郎のAプロ。 勘九郎の源五平衛は殺しの残酷さに震えた。小万をなぶり殺すところは、手のひらに刀を握らせて切り付けたり、刺青をえぐったり、さらには刀に手を添えさせて子どもを刺し殺したりと、これでもかという酷さ。なのに表情が虚ろで、強い感情に突き動かされている感じでないのが不気味。小万にとどめを刺すところで血飛沫を浴びるのも衝撃的で、本水の雨で洗い流す。 七之助の小万は色気と可愛らしさのあるいい女。殺されるところは痛そう、辛そう。源五平衛にすまないという気持ちもあるが、一番は三五郎で、最期まで三五郎と子どもの無事を祈るのが哀れ。 松也の三五郎は色気があり、小万とのいちゃいちゃにはドキドキした。 改めて見ると、酷い話だ。主犯格ではない者たちをとばっちりで惨殺した深川の事件は歌昇演じる八右衛門が被るし、罪を悔いて腹を切ろうとするも、先に切腹した三五郎でうやむやに。最後、しれっと四十七士に加わってしまうのが何とも。そもそも、源五平衛を討ち入りに加えるために三五郎や小万は動いていたのだし、お互いを知らなかったことによるボタンのかけ違いでここまでの悲劇という理不尽さに暗澹とした気持ちになった。

2026年6月5日金曜日

6月5日 新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」

小野絢子・奥村康祐ペア。前回からさらに進化してとてもとても良かったのに、小野が体調不良で4幕を降板し最後まで見届けられなかったのが残念至極。代役に立った吉田朱里・井沢駿は難しいところを立派に務めていたが、小野・奥村の物語は終わっていない感じで、不完全燃焼な思いが拭えない。 小野は3幕のソロ、ピケターンの終わりでぐらついたり、グランフェッテでバランスを崩して曲の終わりまでもたなかったりと調子が悪そうではあったが、役としての表現は素晴らしかった。2幕のオデットは儚さの中に芯の強さが感じられ、初めは警戒していた王子に少しずつ心を開いていく様子を繊細に描いた。3幕のオディールは打って変わった悪女ぶり。蠱惑的な表情、仕草で王子を誘惑する。 奥村王子は、1幕の作り笑いで繕いつつも物憂げな表情を隠せない様子から、2幕でオデットと出会ったことで命が吹き込まれたように輝き出す。3幕ては各国の姫君には全く興味がない様子があからさますぎて笑ってしまうほどだったのに、オディールが現れるや、喜びの頂点に。そこから、騙されたと知って絶望に突き落とされ、さて4幕は…ととても楽しみだった。 ベンノの木下嘉人は終始王子を気遣っていて、色々とわかっている感じ。王子との信頼関係が、踊りにも現れている感じ。 王子の友人では姿の良さで中島瑞生が一際目を引いた。クルティザンヌの飯野萌子、五月女遥はしっかりしたテクニックの踊りで、玄人っぽい落ち着きが子どもっぽい王子をあやすようにも見えた。 花嫁候補はハンガリー王女の飯野、ポーランドの根岸祐衣、イタリアの花形悠月。品格の中にライバル意識がのぞき、それぞれの個性も踊りに現れた。4羽の白鳥は赤井綾乃、東真帆、小田那奈、川本果侑。全員がロールデビューだったせいか、揃っていないわけではないのに違って見えた。 ロットバルトの中家正博は盤石。3幕のオディールとの共犯関係がスリリング。4幕は白鳥たちに追い詰められ、無様な最後。

2026年5月24日日曜日

5月24日 御名残五月大歌舞伎

「寿式三番叟」 又五郎の翁、米吉の千歳が厳かに。翁は面をつけないので、千歳が持ってくる面箱は何のため? 2人が引っ込んだあとに後見が持ち去るので余計に意味不明。 歌昇、虎之助の三番叟は全く合わせる気がなさそうなバラバラぶり。同じ振りでも音の取り方が違う感じで、違う踊りをそれぞれ踊っているみたい(そのくせ、出だし虎之介は歌昇の方を見ながら踊っていたのだが)。歌昇は足の運びはともかく(足踏みを蹴り上げるなど)腰を落としているので日本舞踊らしい身のこなしだが、虎之介は腰が高く踊りの体使いになっていないと感じた。 「義賢最期」 愛之助は顔面を大怪我してから封印しようとしていたそうだが、御名残公演なのでとあえて選んだそう。2年前に同じ松竹座で観たばかりだったのでまた⁉︎と思ってすまぬ。 適材適所の配役で、前半部分の物語が際立った。隼人演じる折平実は行綱とのやり取りで心底を明かすくだりの駆け引き、葵御前の吉弥との夫婦の別れ、生まれてくる子どもへの思いなど、立ち回り以外のところも丁寧に描かれ、物語がよく伝わった。迫力ある立ち回りはやはり見応えあり。戸板倒しでは、戸板の位置を微調整する様子もあり、周囲の役者たちも気を使っているのが感じられた。 子役がとても小柄で(多分、九郎助の松之助が背負えるよう)セリフも辿々しいのだが、しっかり演じていた。九郎助が振り返るたびに振り回されているくらい、小柄なのだが、しっかり剣を振るう姿が微笑ましい。 虎之介の進野次郎。義賢を引き上げるところで腰が引けているように見え(むしろ、愛之助が自力で上がっていたよう)、迫力が削がれた。 申し次ぎの侍に愛治郎、詮議の使者に松十郎、當吉郎、腰元に竹之助、折之助、りき弥、千太郎と、上方の役者がいい役で出ているのも御名残ならでは。 「鰯売恋曳網」 勘九郎の猿源氏、七之助の蛍火というゴールデンコンビで、面白くないはずがない。1時間5分ほどはショートバージョン?勘九郎は愛嬌が増した感じで、ほのぼのと笑いを誘う。 博労六郎左衛門に歌昇。こういう田舎者っぽい役はあんまり似合わないかも。

2026年5月23日土曜日

5月23日 第十一回 糺勧進能

弓神事の後、能の「邯鄲」 アイの宿の女主人公(茂山逸平)が舞台に上がって、枕の言われを話すところからは始まる。アイから始まる曲は珍しいのでは。 シテの林喜右衛門は良い声が糺の森に響く。冒頭、橋がかりで長い独白があるのだが、舞台の裏になっていたためしばらくシテの姿が見えず、誰が喋っているのかわからなかった。寝台に休むと夢の場面に移り、栄華の日々を舞で描くと思ったら、急に寝台に飛びこむように横たわり、目を覚ます。色々イレギュラーな舞台なので、通常の能楽堂で再見したい。 ワキは勅使の原大と輿昇の岡充、原陸、廷臣の有松遼一と4人も出演。舞童に子方の樹下應介。 曇り空だったので、夕焼けが見られなかったのは残念だが、日が暮れていくにつれて舞台が浮き上がるようで幻想的だった。