2026年5月9日土曜日

5月9日 御名残五月大歌舞伎 夜の部

「盛綱陣屋」 仁左衛門の至芸を堪能。初め出てきた時は少ししんどそう?と心配したが、芝居が進むにつれ杞憂に。何より、首実験が見もので、セリフなしで心情の移り変わりを詳細に描出するのは他では観られない。小四郎の種太郎は歌昇をそのまま小さくしたよう。芝居もよくこなしていたが、比べるのは酷だがこの前に観たのが丑之助だったので物足りなく感じてしまう。小三郎の秀乃介は幼さが残り可愛らしい。 愛之助が和田兵衛秀盛で、久しぶりの仁左衛門との共演が嬉しい。歌六の北条時政が舞台を締める。魁春の微妙は秀太郎を思い出させた。孝太郎の篝火、壱太郎の早瀬。 「心中月夜星野屋」 おたかを演じる七之助のコメディエンヌぶりが魅力。扇雀の星野屋は何か嫌みっぽくて、面白さが損なわれる。虎之助の和泉屋藤助もなんかなあ。母お熊の鴈治郎はいい風情。 「當繋藝招西姿繪」 仁左衛門監修の舞踊。紋付き袴姿ながら、上方の芝居のハイライトが嬉しい、吉田屋はは孝太郎の夕霧に愛之助の伊左衛門。孝太郎の夕霧が初役ではないかと思うが思いのほか良い。封印切は孝太郎に梅川に扇雀の忠兵衛。車引は虎之助の梅王丸に壱太郎の桜丸、進之介の杉王に鴈治郎の松王。櫓のお七で壱太郎が人形振り。雁のたよりは鴈治郎と壱太郎?引窓は愛之助と扇雀。 冒頭、進之介が愛之助に向かって「久しぶり」というのはネタなの? ラスト、出演者そう並びで、孝太郎より進之介の方が真ん中に近くて、色々思うなど。

2026年5月6日水曜日

5月6日 團菊祭五月大歌舞伎 昼の部

「南総里見八犬伝」 巳之助の犬飼権八、右近の犬塚信乃など。芳流園と利根川の上演だが、何度か観た八犬伝ってあまり面白いと思ったことがないと気づいた。誰もが物語やキャラクターを知っている時代ならいざ知らず、今の観客(含む私)には背景や人物の説明なしの見取りでは楽しめないのでは。立ち回りは見応えあった。 「六歌仙容彩」 八代目菊五郎が5役を踊り分ける趣向で、僧正遍照、文屋康秀、有原業平、喜撰法師、大伴黒主と姿を変えるが、1時間40分の舞踊はキツい。時蔵の小野小町が品があり美しい。所化が9人並ぶ中、鷹之資の体幹のよさが際立つ。 「寿曽我対面」 新辰之助の五郎は血気あふれる若武者の意気が清々しい。姿勢が良いので、力一杯のポーズが美しい。後見の松緑は自身は顔もはっきりとは見せず、後見に徹する姿勢に息子の襲名を全力で支える思いが見えて胸熱。八代目菊五郎の十郎が柔らかみのある姿で、五郎と好対照。七代目菊五郎舞台が工藤祐経を務め、舞台の格を上げる。 一通り芝居が終わった後に劇中口上で、2人の菊五郎のほか、團十郎、雀右衛門、萬寿が並ぶ。松緑は「先輩方と同輩」と述べ、平成の三之助は戦友ではないのねと思うなど。團十郎は「歳は離れているけど、令和の三之助としてよろしく」と息子をアピール。

2026年5月5日火曜日

5月5日 團菊祭五月大歌舞伎 夜の部

「鬼一法眼三略巻 菊畑」 左近改め辰之助の襲名披露。 狂言としては面白みに欠けるが、虎蔵実は牛若丸という役は辰之助によく似合う。清々しく、品のある佇まい。時蔵の皆鶴姫は赤姫として不足はないのに、小柄な辰之助と並ぶと釣り合いが悪く、相当背を盗んでいた。松緑の奴知恵内はセリフが辛い。 劇中口上には松緑が「戦友」という彦三郎、亀蔵、時蔵が並ぶ。「○○でございます」の名乗りなしで、新辰之助への餞の言葉だけを述べるのは古風な感じで良き。時蔵は「新辰之助は女方もするので期待している」と。 「助六所縁江戸桜」 十三代目團十郎の助六に八代目菊五郎の揚巻と、当代の看板役者が並ぶと華やか。團十郎は横顔やセリフの声や言い回しが父の十二代目に似てきたが、表面的な感じは否めない。幕開き口上は新之助で、スラスラと淀みなく口上を述べるのは立派だが、癖のある抑揚が聞きづらく、親子して悪いところがよく似ている。 菊五郎の揚巻は美しいのはもちろん、吉原一の花魁としての風格がある。白玉の時蔵も、赤姫と打って変わっった佇まいd位取りの確かさ。並び傾城に新悟、玉太郎ら。 髭の意休は男女蔵。左團次を彷彿とさせる。くわんぺらの松緑、福山かつぎの辰之助の親子共演が楽しく、白酒売の梅玉がほのぼのと可愛らしい。通人の右近は初めての連獅子が團十郎の親獅子だったとか、自分に引き付けたエピソードを交える。股潜りの前に連獅子の振りを入れたり、梅玉が好きなYOASOBIの曲に乗ったりと、趣向を凝らした。

2026年5月4日月曜日

5月4日 「獨道中五十三驛」

幕開きの口上で言った通り、團子が13役早替わりで大奮闘。花道やすっぽんのない舞台なので、パターンの変化はないものの、老若男女に次々と姿を変え、飽きさせない。後半は汗だくで、首の白粉がはげていたほど。大奮闘ではあったが、形は変わっても声や所作で見せるところまでは至らず、変化舞踊として面白いかというと、そうでもない。丁稚長吉の声が女方並みに高かったのは何でか分からないが、信濃屋お半や長吉許嫁お絹など女の声にも変化がなく、女方の拵えなのに時折男の体つきになったりするところも。 おさん実は猫の怪を演じた中車は不気味な婆を好演。時折猿翁に似て見えたり、セリフが四代目みたいに聞こえたりしたところもあってドキッとした。最後は宙乗りで盛り上げ、大詰の赤堀水右衛門の敵役ぶりも良かった。 笑也の重の井姫は團子と並んでも姫に見えるのがすごい。笑三郎のお袖は久しぶりの娘役で本領発揮。 こえかぶとのコラボで、声優による朗読劇。置鮎龍太郎は初めて聞いたが、さすがの美声で、声色を使い分けての語りも見事。ただ、いかにもアニメ声優という語り口がだんだん耳についてきたのと、長時間の一人語りに飽きてきたのとで、終盤はしんどかった。声優が変わると印象が変わりそう。

2026年5月3日日曜日

5月3日 新国立劇場バレエ団「ライモンダ」

直塚美穂・速水省吾ペアの千秋楽。 主役デビューの直塚は身体性が高く、確かなテクニックを見せつけるよう。終盤は少しバテたのか、ふらつくところもあったが、脚を上げれば一段高く、回転は軸がぶれず、姿勢の良さが際立つ。上中佑樹のアブデラクマンに言い寄られると、眉間を寄せて本当に嫌そう。速水は線が太くなった印象で、武人らしい逞しさがあった。 周りのキャストは前日と同じで、印象も変わらず。4階席から見ると、衣装のキラキラがよく見え、コールドがより華やか。フォーメーションも鮮やか。

2026年5月2日土曜日

5月2日 新国立劇場バレエ団「ライモンダ」

小野絢子・李明賢ペア。 李はタイトルデビューで、初々しさのあるジャン・ド・ブリエンヌ。スラリとした容姿で、高い跳躍、長い手足が映える。リフトは心持ち余裕がない感じで、片手リフトはもうちょっと長くてもと思った。小野のライモンダは危なげなく、ポワントワークの美しさはピカイチ。アブデラクマンは上中佑樹で、野獣のようなワイルドな魅力。クレメンス東真帆とヘンリエット飯野萌子のバリエーションは東に一日の長あり。2幕のスペインと3幕のパドカトルで中島瑞稀の姿の良さが目を引いた。 牧阿佐美版は舞台装置と衣装が美しいので、群舞が映える。

2026年4月29日水曜日

4月29日 第五回 みのり会

「桂川連理柵」 芳穂も燕二郎も健闘していたが、世話物の難しさも感じた。幕開き前に燕三が言っていたが、筒いっぱいでやるだけではダメで、もう少し余裕というか、柔らかさが必要なのだろう。芳穂は意地悪婆や儀兵衛が憎らしく、長右衛門の優男ぶり、お絹の出来過ぎた女房、お半の可愛さをよく語っていた。燕二郎はキッパリしすぎかなと思うところも。 本公演で役がつかないからやるのではなく、時間に余裕のある時に経験しておくことが大事と燕三。誰かのことを念頭にしているのだろうか。