2026年3月7日土曜日
3月7日 花形歌舞伎特別公演 曽根崎心中物語 桜プログラム
壱太郎のお初、右近の徳兵衛は前回の大阪松竹座でも観ており、期待通りというか想定内。2人とも綺麗なのだが、作り物のような美しさとも感じる。壱太郎のお初は徳兵衛に一途でそれ以外のことには思いが至らなそう。右近の徳兵衛はどこかシュッとしていて、上方のつっころばし感が足りないので、同情しにくい。縁の下でお初の足を取るところ、なんかもたもたしていたのも気になった。
「物語」がつくのは、初めての人にも分かりやすいよう、演出を変更したためとのことで、観音巡りや梅田橋の道行の場面が加わる一方、場面転換がスムーズでテンポ良く物語が進む。1時間30分弱にまとめた本編は、ストレスなくみられる長さだろう。ただ、新演出は色々疑問で、観音巡りが付くのはいいとして、お大尽に連れられたお初と徳兵衛がすれ違って互いに気付かないのは意図不明。その後の生玉神社で久しぶりに再会するのだから、その前にニアミスしていると久しぶり感が薄れるのでは? 梅田橋の場面も、舞台中央に橋があるだけのシンプルなセットで結構な時間をかけているのだが、森の中をゆく道行の方がいいと思った。一番意味不明だったのは、白い花が咲き乱れる中で心中するのかと思いきや、その後手を取り合って花道をゆく引っ込み。2人が倒れて幕の方がシンプルで分かりやすいと思うのだが。
上方歌舞伎の面々が重要な役に抜擢されていたのは嬉しい限り。九平次の松十郎は二枚目で色気があり、正直、徳兵衛より格好いいくらい。もっと意地悪くいけずな感じにもできるのではと思ったが、主演の2人(というか徳兵衛)に遠慮していたのか。熊左衛門は千次郎。お初を連れ回す豪商の役をおおらかに。丁稚とお玉は吉太朗と翫政のダブルキャストで、桜プロは丁稚・吉太朗、お玉・翫政。吉太朗の丁稚はちょっととぼけた感じがほのぼのとしてよき。翫政の下女はちょこまかとよく働く。
アフタートークはゲストなしで、壱太郎と右近のみ。1日3公演の疲労からか、2人ともハイテンションでよく喋る。南座の花形歌舞伎の初回を振り返っての話題が多かったが、同じことを繰り返しているところもあったり。15時の回の時点では残席があったが、宣伝したかいあってチケットは完売だったそう。映画「国宝」を観て初めて歌舞伎を観たという人も多かった。
2026年3月5日木曜日
3月5日 エリザベート TAKARAZUKA 30th スペシャル・ガラコンサート
念願の望海風斗のトートは歌唱力といい、存在感といい、これまでみた最高のトート。深みのある歌声が会場を包み込み、黄泉の帝王としての妖しさや威厳を感じさせる。宝塚版なので、ルドルフとの「闇が広がる」のデュエットで手を繋いで引っ張り合う振り、体操中に倒れたエリザベートに「死ねばいい」と宣うのもよい。惜しむらくは、退団して年月が経ち、キーが高めだったこと。男役の低い声で聴けたらなおよかっった。
エリザベートは夢咲ねね。少女期のかわいらしい感じは悪くないが、やはり歌唱に難ありで、裏声に頼りすぎ。しかも、音程が微妙、、、。せっかくのトートとのデュエットも興が削がれること甚だしい。フランツの北翔海莉は優しく、穏やかな皇帝ぶり。晩年の老いた演技もさすが。青年ルドルフは柚香光。ビジュアルは申し分ないが、歌唱はいまひとつ。死の直前、苦悩を表現するコンテっぽいダンスシーンがたっぷりあったのは、得意のダンスを生かす演出か。ルキーニの宇月颯はやさぐれた感じがよく、歌唱力もあり。狂言回しとしてしっかり物語を率いた。
2026年3月1日日曜日
3月1日 フェニーチェ文楽 燃ゆ〜桐竹勘十郎が描く愛の物語〜
「壷坂観音霊験記」と「生写朝顔話」の2本立て。トークの木ノ下裕一によると、どちらも比較的新しい作品で、男女のすれ違いという共通点がある。盲目の登場人物が出てくるのも共通している。
「壷坂観音霊験記」
錣・宗助の床に錦吾がツレ。ウエットな語りが御涙頂戴にピッタリ。沢市のうじうじした感じがよく出ていた。
人形は勘十郎のお里が細々とよく働く女房ぶりで、細かな所作が雄弁。沢市は簑紫郎。
「生写朝顔話」
宿屋の段は織・藤蔵に清公の琴。目の覚めるような演奏。大井川は芳穂・勝平。芳穂の語りに情があってよかった。
人形は勘十郎の朝顔に一輔の次郎左衛門。朝顔は次郎左衛門が阿曽次郎とわかって追いかけるところは、立役のように遣うとのことで、鬼気迫るほどの躍動感があった。
いつもの小ホールでなく大ホールだったが、客は主に前半分。船底がないので、前方の席は観にくいのではと思った。
2026年2月28日土曜日
2月28日 清流劇場「曽根崎心中」
曽根崎心中を現代に翻案し、一人芝居で描く。現代の心中は何かと考え、介護疲れや生活苦から死を選ぶことにしたそう。
老老介護の男の日常を描きつつ、ラジオ?で古典の曽根崎心中の語り(現代語訳)を流したり、一人芝居で一場面を演じたりするシーンが挟み込まれる。岸本は九平次は凄みのある声色だったり、徳兵衛の狼狽えた様子、お初の健気さなどを達者に演じ分けるが、一人芝居は落語のようにも見えた。現代パートはほとんどセリフがなく、慎ましい食事や通帳の残高を確認する様子で生活苦を想像させる。「もう迷惑かけられへん」というセリフを繰り返し、心中へ至るのだが、淡々とした様子で、最後に妻の首を締め、自らも包丁で首を切った表情はうっとりしているようにも見えた。ミニマルな舞台で、妻の姿はなく、テーブルに置いた浴衣?で表現するのは、能のようでもある。
2026年2月22日日曜日
2月22日 文楽公演第3部
「勧進帳」
花道を設置し、弁慶の引っ込みが眼目。弁慶は3人出遣いで、玉助の主遣いに玉勢が右、足は前半は玉征、後半は玉路だったか。大きさがあり立派な弁慶だった。
床は錣の弁慶、藤の富樫、小住の義経、聖、薫、織栄、文字栄に藤蔵、清志郎、清馗、清丈、清公、錦吾、藤之亮。
錣は弁慶に似合わないのでは。藤蔵以下の三味線が鮮やか。
2月22日 文楽公演第2部
妙心寺の口を南都・団吾。
奥は織・燕三。
織はいつもの自信に溢れた語り。鮮やかに情景を描く燕三の三味線とのケミストリーを感じたかった。
瓜献上は睦・勝平。
百姓に扮した田島頭が策を労するもちょっと浅はかでは。
夕顔棚は希・団七。
尼ヶ崎の前を呂勢・清治。
清治は力が入りきらないように感じるところもあったが、細かいニュアンスの描出はさすが。
切は若・清介。
「現れ出でたる武智光秀」はまあまあの声量だったので、上村氏の評論が効いたかと思ったが、その後はいつもの低速運転。「こは母人か、しなしたり」を淡々と語るので、感情と表現が食い違って違和感がすごい。床を諦めて人形に集中しようと思うのに、気を削がれること。
人形は玉男の光秀に勘十郎の久吉、和生のさつきが揃って充実。
2月22日 文楽公演 第1部
「絵本太功記」の半通し。
大序は御簾内で薫→織栄→聖→碩、清允→清方→藤之亮→燕二郎のリレー(順番は多分)
人形は頭巾を被っていて、本役とは違う人が遣っていた。
二条城配膳は三輪の光秀、津国の春長、咲寿の蘭丸、亘の中納言・十次郎に清友。
本能寺の口は碩・寛太郎。
蘭丸と腰元しのぶの恋人同士のやり取りがいい節で聞かせた。
奥は芳穂・錦糸。
局注進の口は亘・友之助。
弾き出しのテンポが速かったような。前段までで2分ほど押していたから?
奥は靖・宗助。
まだ
顔を真っ赤にして声を張り上げるのは、聞いていて辛そう。
長左衛門切腹は千歳・富介。
堂々とした語りは切り語りの貫禄。
人形は簑二郎の春長に大物感が足りず、玉男の光秀に位負けして見えた。
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