2026年4月19日日曜日
4月19日 文楽公演 第2部
北嵯峨の段は碩・寛太郎。
キッパリとした三味線に、伸びやかな声がいい。
人形遣いは頭巾をかぶって。山伏に化けた松王丸の正体を明かしてはいけないからね。
寺入りは亘・友之助。
うーん。チャリな場面もあるけど、砕けた語り。三味線はシャープ。
寺子屋は前半の切を若・清介。
地を這うようなじっとりとした語り。
後を呂勢・清治。
盆が回って語り出した途端、色彩が鮮やかになった気がした。いろは送りも美しく。
人形は和生の源蔵の抑えが芝居がいい。勘寿の戸波は珍しい配役。
勘昇の小太郎が健気。
2026年4月18日土曜日
4月18日 OSK日本歌劇団「春のおどり」
1部の「たまきはる命の雫」は和物なの? 幕開きのチョンパの総踊りは扇を使った日本舞踊で、よく揃っている。衣装がチープなのと、打ち込みの音楽の安っぽさはどうにかして欲しい。
本編はロミオとジュリエットを古代ヤマト風に翻案したもの。とはいえ、登場人物の名前はそのままだし、衣装も中途半端。仮面舞踏会、バルコニー、マキューシオの死など、名場面は概ね取り入れられているが、70分ほどに収めているので展開が早すぎて、感情の振り幅についていけない感じ。
翼和希のロミオはちょっと幼い感じもするが、素直な少年。千崎えみのジュリエットも少女らしい。
マキューシオ(椿りょう)がロミオに片恋していて、ロミオを庇って命を落とすという設定はどういう意図なのだろう。
キャピュレット夫人の城月れいが曲者そうでよき。
2部の「Silenphonyーサイレンフォニーー」は洋物のダンス。何もない真っ暗な舞台で男役が無音の中踊り始めるオープニングからコンテ色が強い。作品として成立させているのは劇団のダンス力。中盤にも、公園のベンチで踊るシーンなど、コンテっぽい振り付けが散見。
ロケットで初舞台生を紹介するのはいいね。5人だからできることだけど。そして、やっぱりOSKのロケットの団結力には感動してしまう。
サテンドレス、タキシードの男女が踊るレビューらしい振りや、インド風、ファンク風、タップダンスなど、バラエティに富んで楽しい。
2026年4月17日金曜日
4月18日 文楽公演 第1部
「菅原伝授手習鑑」
道行詞の甘替
桜丸の希、斉世親王を南都、刈谷姫を咲寿、織栄のツレ。三味線は勝平、清丈、錦吾、清方。
飴売りに身をやつした桜丸が親王と橘姫を匿っているのだが、飴の岡持ちの中に隠しているというのは無理ありすぎでは。
終盤に出てくる里の母娘。母の衣装が緑の紋付きみたいな感じで八重と勘違いしてしまった。娘(簑悠)は首の顔がビミョーに不美人だったのは、田舎の子だから?
車曳の段
靖の松王、小住の梅王、亘の桜丸、薫の杉王、津国の時平に燕三。
松王と梅王は共に声がよく出ていて、がっぷり四つの対峙ぶりがよき。亘は桜丸にしては柔らかみがなく、ガチャガチャした印象。薫は杉王としては許容範囲か。顔つきは惚けた感じだが、いつもより声の調子は外れてなかった。燕三の指導のおかげ?
茶筅酒は藤・団七。
喧嘩の段は小住・清志郎。
ハリのある声が良く、松王と梅王の取っ組み合いに迫力がある。
人形は玉佳の梅王が俵を受け取るときに落としそうになったのか苦笑い。
訴訟の段は織・宗助。
朗々と歌っている感じ。
桜丸切腹は錣・藤蔵。
なぜか、泣けなかった。こういうの、錣は得意なはずだが、三味線が派手すぎたのか。南無阿弥陀もしみじみとしなくて。
人形は玉助の桜丸。こういう柔らかい役はあまりニンでないような。玉佳の梅王丸、玉志の松王丸。
白太夫は玉男で、珍しい老け役だが、情のあるいい親父ぶり。
春の清十郎は首が時折震えているのが気になる。意図してやってないように見えるので。あと、脚が左にずれて見えるのはよろしくない。
2026年4月12日日曜日
4月12日 四月大歌舞伎 夜の部
「十種香」
時蔵の八重垣姫が秀逸。後ろ姿での登場シーンから隙がなく、所作とセリフで一途な恋心が滲み出る。健気でいじらしくて、かつ深窓の姫君らしい箱入り娘感と品格があって、勝頼への一途な恋心がリアル。こんな女の子は現実にはいないのでどこか嘘っぽくなりがちだが、この八重垣姫は共感できる。応援したいというか。七之助の濡衣もとても良く、年上のお姉さん感があった。もっと落ち着いていてもいいかも。萬寿の勝頼も気品があって、よい貴公子ぶり。芝翫の上杉謙信も大きさが合ってよき。
「連獅子」
右近の親獅子と眞秀の子獅子。
トータル50分ほどで、毛張りもあっさり目。右近はドヤっと高速回転していたが、眞秀は腰が高く、首で回してる感じが少し心配。
後シテで花道を出てくるところ、子獅子、親獅子の順で出てきて共に後ろ向きに引っ込むのだが、ここって子獅子だけではなかったっけ?その後は、親獅子に続いて子獅子が舞台まで進む。右近はベテランが肩の力を抜いて踊っているような感じが逆に鼻につく。30代はまだ懸命であっていい。
客席に寺島しのぶがいて、宗論(福之助・歌之助)は笑って見ていたのに、終演後は浮かない表情。ロビーでお客さんと話しているのが漏れ聞こえたのだが、親の言うことを聞かないとか。
「浮かれ心中」
井上ひさしらしい、よく練られたコメディで、適材適所の役者も揃って、観客は笑いっぱなし。勘九郎の栄次郎と⑧菊五郎のおすずの仲睦まじい夫婦ぶりが微笑ましい。(ただ、菊五郎は意外に腰回りが太い)
吉原を訪ねた栄次郎が七之助の箒木に一目惚れして、微笑みに腰を抜かすなど籠釣瓶を思わせる場面も楽しい。
橋之助演じる箒木の恋人、清六に向かって「従兄弟と言ってるが本当か」とか、クスリとさせるところも。
4月11日 四月大歌舞伎 昼の部
「廓三番叟」
梅玉、魁春をはじめ、福助、芝翫、東蔵ら中村姓の役者が総勢13人と、揃い踏みみたいな一幕。新造が莟玉と玉太郎で、並んで踊ると莟玉に一日の長あり。莟玉のほうが所作が滑らかで、柔らかく見える。年齢はあまり変わらないと思うのだが、経験値の差か。福助が病後の舞台では一番動いていた。後見に支えられながらも歩いたり、回ったり、動く左手だけながら手振りもあったり。打掛を脱ぐところは複数人で囲んでたり、その場で回るだけでも、着物の裾は後見が処理していたりと、まだまだ不自由なのだということも分かって切ない。
「裏表先代萩」
⑧菊五郎が政岡、弾正、小助の三役を勤める。一番ニンに合っているのは政岡で、義太夫の台詞、毅然とした姿に説得力がある。千松の亡骸に縋り付いてのクドキは緊張感が途切れず、拍手の隙を与えないほど。弾正は悪の凄みが足りず、小助は世話の軽やかさがもう少しほしい。
下女お竹の七之助、沖の井の時蔵が適材適所。芝のぶが出ていたのも嬉しい。
弥十郎の八汐も憎たらしく好演。
千松の秀乃介はセリフはちゃんとしていたし、やるべきこともこなしていたが、気持ちが乗っているというほどではなく、名子役には至らず。鶴千代の尾上琴也は菊之丞の長男。千松の秀乃介より身体は大きいが、舞台経験は少なそう。
勘九郎の細川勝元が颯爽とした捌き役でよき。
2026年4月5日日曜日
4月5日 御名残四月大歌舞伎 夜の部 Aプロ
「寺子屋」
仁左衛門の松王丸が胸を打つ。源蔵が裏に入って小太郎の首を打つ音に反応して哀しみを咳払いで誤魔化すところ、首実験ではわずかに揺らぐ表情に我が子への想いが滲んだ。源蔵に小太郎の最期の様子を聞いて「笑いましたか」からの泣き笑いには涙腺が崩壊。孝太郎の千代とも息のあった芝居で、充実していた。終幕、極まったあとで顔を俯け、最後まで涙を誘われた。
幸四郎の源蔵、壱太郎の戸波も悪くない。小太郎は陽喜。3階から見たせいかすごく小柄に見えた。
寺入りでは吉太朗の涎くり。周りの子役がとりわけ小柄なので、大人が混じっている感じ。いたずらを叱られて机の上に立たされる。土産の饅頭を頬張ったり、下男三助の松之助と、戸波と千代のやりとりをパロディでなぞったりと見どころたっぷり。
「五条橋」
獅童の弁慶に陽喜の牛若丸。体調不良(骨折?)で休演した夏幹の代役で急遽登板したことを考慮すればまずますか。弟の方だったかと思うほど小柄なので自分の刀ですら持て余してる感じで、弁慶の長刀を奪うところなどは不安になる程だった。それにしても、松竹座のお名残でなぜこの親子の舞踊を見せられるのかとは感じた。
「河庄」
鴈治郎の治兵衛に扇雀の小春。2人ともセリフが辛く、1時間半の芝居がとても長く感じた。藤十郎七回忌の追善ということで、藤十郎の台詞回しを思わせるところも多々あるのだが、ねちっこいというか、ねばっこいというか。歌六の孫右衛門のセリフが一番耳に心地よく、救われる思いだった。扇雀の小春は貫禄があって、娘というより年増女に見える。おさんを思って耐えている健気さより、恨み節な感じで、重たくしんどい。治兵衛、孫右衛門、小春が並んで、小春が一番大きく見えるのはやはりバランスが悪い。身体が大きかったとしても、華奢に見せるのが芸でしょ。
幕開きで吉太朗の女郎が綺麗。河内屋お庄の吉弥が凛として、小春より若々しく見えた。
4月5日 欲望という名の電車
篠井英介のブランチに胸が締め付けられた。特に2幕の、追い詰められて正気を失っていく様が痛々しい。女性が演じるよりもより、胸に迫るように感じるのはなぜだろう。最後、見知らぬ男女につれられて去っていくブランチは、白い衣装が花嫁衣装のようにも見え、より哀れさが際立った。ステラの松岡依都美がベランダからブランチの名前を叫ぶ幕切れに余韻が残る。松岡は明るく朗らかで、悲壮な話の中で心休まる存在。
スタンリーは田中哲二。粗野で乱暴な男を好演。ミッチの坂本慶介も、礼儀正しい好青年から、ブランチの正体を知ってからの自暴自棄な様子への変化ぶりがすごかった。大屋夫婦の夫にイキウメの森下創。労働者階級の世界観を作り出していた。
近鉄アート館の3面客席の舞台で、舞台奥に玄関とキッチン、手前が寝室、上手側の通路奥にバスルームという設定。A席
から見たので、正面からとは違う面から見られたのも興味深かった。
ブランチは篠井が女方を志すきっかけになった役だそうで、これが最後だというのを観に行って本当によかった。ブッキングミスですぐに移動しなければならず、カーテンコールを後目に会場を後にしたのが心残り。
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