「御摂勧進帳」
巳之助の弁慶が立派。終盤の芋洗いのところは馬鹿馬鹿しさに気が緩みそうなところ、堂々として大歌舞伎の格を保っていたのが好もしい。新悟の義経、笠を被って俯いて座る姿勢も凛として手先まで神経が行き届いている感じがした。
「道行雪故郷」
清元による梅川忠兵衛。雀右衛門の梅川は幸薄い感じが良き。忠兵衛の扇雀も悪くない、というか、この人は立役のほうが似合うと思う。孫右衛門は出て来ず、通りがかった万才(錦之助)が一差し舞うのははなむけか。
「鳥獣戯画絵巻」
鳥獣戯画を題材に、猿や蛙、狐や兎が戯れる楽しい舞踊。新作かと思いきや、河竹黙阿弥作で、振付の二世藤間勘斎とは二世松緑だった。
猿(巳之助、虎之介)と蛙(橋之助)相撲をとると、何故か猿が二連敗。腹いせにか、猿僧正(松緑)が弓矢で蛙の親玉夫婦(芝翫・萬寿)を射殺すという謎展開は??だが、振付は動物の特徴を捉えて面白く、大勢出てくるので華やか。
しかし、同じ役で並んで踊ると踊りの良し悪しがよく分かる。女狐の時蔵、新悟、米吉、左近が並ぶと、米吉がちょっと浮いて見えるのは何が違うのか。
作者の鳥羽僧正の菊五郎が冒頭と最後に出て来たのも嬉しい。
「御所五郎蔵」
愛之助の五郎蔵に松緑の土右衛門が好配役。何度も勤めている愛之助の五郎蔵は危なげなく格好いいし、松緑の土右衛門はセリフの癖が抑えられ、いい憎まれ役。傾城皐月の時蔵は古風な美人で、五郎蔵のために心ならずも愛想尽かしする苦悩をよく描く。逢州の米吉は綺麗だが、もう少し風格が欲しいか。
五郎蔵の子分に一際小柄で子どもみたいなのがいると思ったら左近。(愛三郎よりも小さい)ただ、姿勢が良く、キリッとしているので見劣りはしなかった。セリフも太い声でしっかり。むしろ隣の染五郎が猫背気味で格好悪かった。
復讐に燃える五郎蔵が、皐月と誤って逢州を殺してしまうのは何度見ても理不尽だし、壁から出て来た土右衛門と闘い出したところで幕切れなのはモヤモヤする。
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