「寿式三番叟」
又五郎の翁、雀右衛門の千歳、米吉の附千歳、松也の三番叟で幕開き。面箱があるのに素顔のままで舞う翁。三番叟に移ると、歌昇、萬太郎、右近、種之助がせりあがり五人に。黒、紫、緑、青、黄色と色鮮やかで楽しいが、少々長い。ドヤ顔の歌昇、ちょっとタイミングをずらす右近が目につく。
「勧進帳」
新・菊五郎の冨樫が清廉にして線が太く立派。梅玉の義経、男女蔵、松也、鷹之資、右近の四天王と襲名披露らしい配役だが、団十郎の弁慶が…。取り立てて悪いところがあるわけではないのだが、セリフが上滑りする感じで言葉の意味が響かない。オレ様な感じで義経への敬意が感じられないし、先代に似て見えたのはむしろ悪い意味で。表情が子供っぽいというか、新之助に似て見えた。山伏問答も、互いの緊張感が拮抗していないと迫力に欠けるのだなあ。
「三人吉三」
時蔵のお嬢、彦三郎のお坊、錦之助の和尚はいい配役。夜鷹の莟玉は町娘のよう。
「京鹿子娘道成寺」
新・菊之助、菊五郎に玉三郎が加わり三人花子に。
はじめ、花道のスッポンから菊之助と菊五郎が登場。息のあった踊り。所化とのやりとりは菊五郎1人で、烏帽子をもらって引っ込んだのち、紅白幕が落ちて3人が登場。3人の花子は時に影のように、時に鏡に映った像のように、姉妹のように、親子のように。踊り上手の2人に挟まれた菊之助が小さいながら立派な舞い手。誰よりも背中を反らせ、きっぱりと踊るのが好ましい。菊五郎は円熟味を増し、堂々と。玉三郎は﨟たけた風情があり、さすがの貫禄。鐘をきっと睨むところは、玉三郎は怒り、菊五郎は悲しみがあるように見えた。ただ、動きがミニマムになっていたのは体調が悪かったからか。背を反らすところはほぼ直立で、鞠つきは袖に捌けて菊之助・菊五郎のみに。座って鞨鼓を打つところは膝を曲げた状態をキープできずにドンと音が鳴ったように聞こえたのも心配。
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