「五斗三番叟」
松緑の五斗兵衛が酔っ払って三番叟を踊るというが、あまり三番叟らしくない。雀踊りや武田奴が大勢出てきたり、最後に角樽を馬の頭に見立てて花道を引き上げたりするのが賑々しい?酔っ払っているとはいえ、松緑は相変わらず台詞回しが独特。
黒紋付の若武者、亀井六郎が出てきた時は誰かと思ったら左近。所作がきっぱりしていて、セリフも明瞭。錦戸太郎は亀蔵と分かったが、赤っ面の伊達次郎は誰か分からず、筋書きを見て種之助と知った。萬寿の義経、権十郎の泉三郎。
これといった内容がなく退屈。1時間40分もあってびっくり。
口上は七代目菊五郎が進行。松緑、團十郎、梅玉、玉三郎、楽善の順に述べるが、カメラが入っていたからかおとなしめ。一番長く喋ったのは團十郎で、新菊五郎とは同級生で、運動会では互いの父が巡業中のとき代わりに父と走ったことや、息子たちも同級生なので次世代の團菊までご贔屓にとか。玉三郎がくどいくらい「僭越ながら?私からも」と繰り返していた。
「弁天娘女男白波」
浜松屋見世先から滑川土橋までで、稲瀬川勢揃いを新菊五郎ら子ども世代が演じる趣向。
新菊五郎の弁天小僧はもう慣れたもので、危ういところがなく、全てが板についている感じ。セリフの間合いなど七代目によく似てきた。南郷は初役の松也。意外と言っては失礼ながら、弁天とのバランスがいい。松緑に習ったそうだが、松緑よりいいかも。團十郎の日本駄右衛門はいい意味でなく十二代目そっくり。
稲瀬川勢揃いは、新菊之助の弁天、亀三郎の忠信、梅枝の赤星、眞秀の南郷、新之助の日本駄右衛門。すでにそれぞれの父の色が透けて見えるのが面白い。菊之助は1人だけ大人が混ざってる⁉︎というくらいしっかりしているし、一際小柄な梅枝も柔らかみのある役のらしさをしっかり体現。亀三郎の口跡のよさ。子どもには傘を掲げているのは大変らしく、腕が震えたり、斜めになったりしていたのもご愛嬌。
二幕は極楽寺屋根上の大立ち回りを八代目がたっぷりと。最期の切腹まで、息をつかせぬ展開で手に汗握る。
龕灯返しで山門の場に移り、駄右衛門の捕物を見せた後、舞台がせり上がって滑川土橋の上には七台目菊五郎の青砥左右衛門と早替わりで伊皿子七郎に扮する八代目が登場。二人の菊五郎が並ぶ姿に世代交代の意義が重なり胸熱。山門の駄右衛門と三角形の形で決まるのも華々しくてよかった。
客席の上手後ろに補助椅子を置いて、藤純子、寺島しのぶが観てた。
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