2017年の初演と19年の再演を観て以来だが、骨格部分は変わらないものの再演を重ね進化しており、だいぶ印象が異なった。
まず、出演者が2人増えて5人になり、双子を取り巻く登場人物も増えてシーンがより複雑になった。舞台装置の平台は白っぽいグレーに変わっていたが、出演者が様々に動かして道になったり、瓦礫になったり。(終演後のロビーで、平台のキーホルダーのガチャを売っていたくらい、劇団を象徴する存在)今回舞台後ろのスクリーンにセリフの字幕(日英)やアニメーションのような背景が映し出されたのは、理解の助けにもなったが、見るべきところが増えて疲れる感じも。
双子役は達也ともり裕子。性別も違えば身長差も大きく、外見的には全く似ていない2人だが、シンクロした動きで一体感を見せる。森は短髪で小柄な体つきは少年のよう。
双子以外はそれぞれ複数の役を演じるのだが、モノトーンベースのシンプルな衣装のままで、役によって特徴的な仕草を加えて演じ分ける。圧巻だったのは、おばあちゃん役の佐々木ヤス子で、背中を丸めながら上着の背を引っ張って腰の曲がった様子を表し、鼻を擦る特徴的な動きでクセのある人物を体現。話ぶりも偏屈ババアそのものかと思ったら、兎っ子の母親になると疲れた女にガラリと変わり、また、刑事役では高圧的な感じと変幻自在。兎っ子と女中の2役は芦屋康介で、性的に虐待される若い娘を演じる背の高い男性が妙に艶かしい。司祭役の辻本桂は一見まともそうだが、底知れない雰囲気を醸す。
上演時間は1時間15分ほどだが、濃密な時間だった。
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