「車引」
染五郎の梅王丸、左近の桜丸と若手の組み合わせがいいと思ったが、染五郎が意外によくない。源蔵よりは年齢的にも合っていると思いきや、太い声に暗い響きがあるのが悪役じみて聞こえ、梅王という陽のキャラに見えないのだ。彼の声はむしろ松王丸向きで、松王丸の幸四郎と並ぶとどっちが悪者か分からなくなる。
桜丸の左近は苅屋姫に続いて好演。柔らかい雰囲気がとても役らしい。
時平は白鴎。牛車に乗り込むところから電動の台に乗っていた感じで、姿を現すのも椅子に座ったまま台ごとせり上がっていた様子。足が相当悪いのか。口跡もモゴモゴしていて、舌を染める食紅が唇の下に垂れていた。
「賀の祝」
時蔵の桜丸の哀れさに涙。身じろぎすらせず、一点を見つめる様子に死への決意がくっきりと現れる。壱太郎の八重は上方らしいおっとりした風情があり、悲しみがより増す。又五郎の白太夫は人が良さそう。
新悟の千代、種之助の春はBプロと同じで、松王丸が歌昇、梅王丸が橋之助に替わる。こちらの2人の方が血気あふれる若者らしいか。
「寺子屋」
松緑の松王丸にこれほど泣かされるとは。ちょっと不器用な感じがいいのか。「逃げ隠れもせずに」や「笑いましたか」「健気なやつや九つで」のセリフが胸を打つ。萬寿の千代ともいいバランスで、思わず涙に暮れるところで涙を誘われた。
幸四郎の源蔵は特にいいとは思わないのだが、過不足ないというのは重要なのだと。染五郎の源蔵との違いをいろいろ考えてしまった。
園生の前の東蔵は足元がかなり覚束なくて心配。
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