10回目の晴の会はザ・上方歌舞伎な演目。松十郎の団七、千寿のお辰、千次郎の義平次という盤石の配役に、千寿は婆というオリジナルキャラ、千次郎は徳兵衛と亀屋東斎までこなすマルチぶり。
松十郎の団七は過去にも演じている(上方歌舞伎会や「おちょやん」の劇中劇でも)だけあって、危なげなくセリフも所作も堂々としている。男前なのだけど、ちょっと頼りないというか、不器用な感じが団七らしい。義平次とのやりとりは千次郎と息があって、間が心地いい。千寿は序幕は仲買のおくら婆で登場。二幕目のお辰は打って変わってきりりと美しく、色気があるのだけど粋で嫌らしくない。緩急のあるセリフもいい。千次郎は東斎、徳兵衛、義平次を次々に演じ分ける大活躍。驚いたのは二幕の終わり、殺された義平次が泥に沈んだと思ったら、次の瞬間徳兵衛が出てきて雪駄を拾っているのだから! 非人姿の徳兵衛の鬘、後頭部が固まったような不思議な髪型は何だろう。東斎のざんぎり髪とも違うし。
3人以外の面々もそれぞれ役にあって好演。初登場の竹之助は三婦女房おつぎがとてもらしくてよき。三婦を訪ねてきたお辰に悋気するところが丁度いいかわいらしさ。三婦がこっぱの権らをやっつけるところを、頼もしそうに見ている表情もよかった。そして、席が下手側だったので気づいたのだが、磯之丞身の振りを巡ってお辰と三婦がやりとりをしているときに鉄弓の仕込みをしているのね。準備が終わるとさりげなく後ろに下がっているのも素晴らしい。磯之丞の翫政はぼんぼんの色気。琴浦のりき弥とは身長差があるけれど、段差を使ったり、どちらかがかがんだりしてバランスをとっていた。りき弥の琴浦はいつも通りだが、途中、神輿の担ぎ手として出てきた時は珍しい男装(手拭いを頭に巻いた法被姿)も見られて得した気分。(カーテンコールではまた琴浦に戻っていた)お梶の當史弥のいいおかみさんぶり。子役との接し方もお母さんらしく。佑次郎のこっぱの権・愛治郎のなまこの八のチンピラコンビもいい風情。愛治郎は神輿の担ぎ手で誰よりも足を高く上げていたのも印象的。當吉郎の三婦はセリフがちょっともっちゃりしているが、気のいい親父という風情。
オール上方の夏祭、大阪の空気が満ちていて、とてもとても満足。
千秋楽だからか客席も豪華(?)で、壱太郎、山村友五郎、侃のほか、能楽の大倉源次郎、元OSKの桜花昇ぼるの姿も
会場では気づかなかったが、帰りに地下鉄に向かう通路で片岡進之介も見かけた。
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