2025年2月9日日曜日

2月9日 東京バレエ団 ベジャールの「くるみ割り人形」

ベジャール版くるみ。猫のフィリップ役のダニール・シムキン目当てだったので怪我で降板は残念だったが、ベジャールらしさが随所に見られて面白かった。

主人公はマーシャならぬピムという男の子(山下湧吾)。飼い猫のフェリックス(宮川新大)、父親的存在のM(柄本弾)、母(政本絵美)を中心に、クリスマスの夢の世界が描かれる。自伝的物語とあって、幼い頃に死に別れた母への思慕や別れの悲しさが描かれる。いい歳した男が母親に甘えたり、パドドゥを踊ったりするのはちょっとマザーコンプレックス的感じがして引いたが、最後の別れが近づくとうるっときた。
Mは時に父親、時にマリウス・プティパ、時にメフィストフェレスのようにと場面ごとに役割も雰囲気も違って、笑っていても何考えているかわからないような不思議な存在。柄本は少し役者不足か。 
同時にあちこちで芝居が進んでいるので、どこを見ていいのか、目が足りない。
花のワルツでプティ・ペール役のジル・ロマンが登場。ちょっとした動きでも惹きつけられるのはさすが。クライマックスで、黒燕尾の男性ダンサーが一斉にジャンプしたのが音楽に合って効いていた。
グランパドドゥは「プティパの振り付けに忠実に」とアナウンスがあったように、振り付け自体は初演時に忠実なのだろうが、パドドゥが終わったところで燕尾服の男たちが現れて女性だけを絶賛。うち1人が女性をエスコートして袖に引っ込み、男性ダンサーが取り残されたり、男性のソロを腕を組んで見ていたりと、笑いの要素も盛り込んでいた。黒のチュチュに男性も黒の上下という衣装はちょっと違和感。 雪のワルツでも何故か少女たちが黒のケープを纏っていた。

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