大序は俯いて静止している役者たちが、竹本が名前を挙げるに従って息を吹き込まれたように動き出す。松緑の師直はすでに憎らしげ。ただ、セリフを喋ると軽くなるようで、三段目の鮒侍のくだりなど意地悪なのだが町人ぽいというか、品格が薄いと感じた。
三段目の伴内は松之助。もっちゃりとした上方の伴内で、進物の場で右足を出したら本蔵を討てと家来らに。
松也の若狭之助は血気あふれる青年らしい。勘九郎の判官はいびり倒されてだんだん怒りを蓄積していく様が鮮やかで、刃傷に及んだところの緊張感もよき。ただ、本蔵らに抱き止められた無念さを示す仕草が、幕が閉まる直前、キュンポーズみたいになっていた。
松也の若狭之助は血気あふれる青年らしい。勘九郎の判官はいびり倒されてだんだん怒りを蓄積していく様が鮮やかで、刃傷に及んだところの緊張感もよき。ただ、本蔵らに抱き止められた無念さを示す仕草が、幕が閉まる直前、キュンポーズみたいになっていた。
四段目は通さん場ではないものの、緊張感ある静けさみなぎる。勘九郎の判官は気品を保って最期を迎える。莟玉の力弥は初々しい少年らしさ。仁左衛門の由良助が出るとさすがの貫禄で舞台が一気に引き締まる。梅玉の石堂は扇の要を外さずに判官の遺体の上に置いていた。
城明け渡しは、敵討にと迅る若い家臣らを由良助が止めたり、九太夫(片岡亀蔵)が金欲しさから不忠ぶりを滲ませたりと、色々あり。「ハッタと睨んで」だけの文楽とはだいぶ違う。
道行は隼人の勘平、七之助のおかる、巳之助の伴内。七之助おかるはアイメイクがシャープなせいか、クールに見える。隼人は優柔不断な色男。巳之助の伴内が滑稽みといい、身のこなしといい、とても良い。
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