「新版歌祭文」
お染の扇雀がぶりっ子するのは想定していたが、つられたのか壱太郎のお光までもがブリブリしていてげんなり。純朴な村娘のはずが、年増が若作りしているみたい。あざとさが目につき可愛くないのは勿体無い。鏡越しにお染を突くところも、男に媚びてるみたい。
お染の花道の出で、お付きの女中が「お嬢様、今日もお美しい」とか、「立てば芍薬、座れば牡丹…」と褒めちぎるのはデフォルトだっけ?(無理筋の設定を観客に知らしめるようで…)
駕籠かきで千次郎都、翫政はいいのだが、花道で裸になる(肉襦袢は着ているが)のは必要?なんか目のやり場に困る。
「羽根の禿」
新・菊之助は踊りがしっかりして危なげないのだが、可愛さの演技はまだぎこちない。大人びた表情なので、少女の可愛らしさとは違う感じ。左足の足袋のこはぜが外れていて、どうするのかとハラハラしていたら、途中後見がさっと直してくれてほっとした。
「うかれ坊主」
所作は軽妙だけど、何故か戯けた感じでなくて、新・菊五郎にはやっぱり似合わないと思う。多分この人は基本的に陰キャなので、おどけていてもどこか楽しそうでないのだろう。
「髪結新三」
有名な話なのにちゃんと観るのは初めてかも。菊五郎の新三は悪の中に影を感じさせる格好良さ。ただ、大家に言いくるめられ、さらにおかみの告げ口で家賃まで取られる踏んだり蹴ったりは本来はクスリと笑わせる場面だが、今ひとつ笑いが少ない。菊五郎の新三に愛嬌がないからか。
勝奴の菊次がよき。錦之助の弥太五郎は男前なのに新三にやり込められてしまう情けなさが絶妙。
新三と弥太五郎の立ち回りを中断し、「本日はこれ切り」で幕。
0 件のコメント:
コメントを投稿