2013年11月12日火曜日

11月10日 11月文楽公演「伊賀越え道中双六」第2部

昼の部より客席は空いていたけれど、見応えがある場が多く、1部より面白かった。なんで観に来ないかな〜。

「藤川新関の段」
助平の三輪太夫、志津馬の始大夫、お袖の咲甫太夫と、3人の掛け合い。人形の動きがコミカルで面白い。

「竹藪の段」

「岡崎の段」
仇討のため、生まれたばかりの息子を切殺してしまう政右衛門。幼子を抱えて、雪の中を追いかけてくるお谷もよく解らんが、この理不尽なストーリーで泣かせるのは語りの力だなあ。

中の芳穂太夫、次の呂勢大夫と続き、切の嶋太夫が聴かせる。時折、見台に突っ伏すようにして語っていたので、体調が悪いのかと心配になった。単に熱演してただけならいいのだけれど。
切の千歳太夫もよかった。

「伏見北国屋の段」
仇討の関係者が宿で隣り合わせるなんて、というのはさておき、たがいに様子を探りあう心理戦が面白い。

「伊賀上野仇討の段」
見事仇討達成、カタルシス。立ち回りが迫力あって、見ごたえあり。

2013年11月11日月曜日

11月9日 11月文楽公演「伊賀越道中双六」第1部

歌舞伎では「沼津」しか見たことがなかったので、今回通しで観て、初めて仇討ちの次第が分かった。いやはや、こんなに壮大な物語とは。

「鶴ヶ岡の段」

敵討ちの原因を作る場面だけど、一言で言って、志津馬、脇甘すぎ。酒に弱いと注意されていながら、なんで酔っ払うよ。主君をお迎えする大事なところに瀬川がやって来る理由もよく分からん。
義太夫は御簾の奥で、人形使いも皆、顔を隠しての演出。仮名手本忠臣蔵の序幕みたいな感じ?


「和田行家屋敷の段」

正宗を狙う股五郎のたくらみを見事見抜いた行家だが、手紙を読んだ隙にあっさり殺されちゃう脇の甘さ。不思議だ。寝返って行家殺害に協力した、和田家の奴実内があっさり殺されちゃうのもよく解らん。
奥を語った松香大夫がよかった。

「円覚寺の段」

股五郎母、鳴海を人質に、刀と引き換えに股五郎の引き渡しを求める丹右衛門。実は鳴海と図っていて、鳴海は自害、刀は偽物とすり替えている。正々堂々としているのか、卑怯なのか。
帰り道、城五郎一味に股五郎を奪われ、瀕死の重傷を負う丹右衛門。駆けつけた志津馬も負傷し、この後の沼津に続く。

「唐木政右衛門屋敷の段」

志津馬の姉、お谷の夫、政右衛門は新しい妻をめとり、敵討に参加って、血縁関係にないと助太刀できないの?お谷はお腹のなかに子供までいるのに、かわいそうすぎ。

切が咲太夫。さすがの安定感。

「沼津里の段」「平作内の段」「千本松原の段」

沼津は、正直、歌舞伎のほうがいいかな。平作が荷を担ぐのに四苦八苦するところとか、十兵衛がお米に一目惚れしちゃうくだりとか、あっさり感じた。千本松原で平作が命をかけて股五郎の居所を聞き出すところ、前後のつながりが分かったのでようやく腑に落ちた気分。

平作内の段を語った呂勢大夫は、聴いていて心地よい。
切の住大夫、残念だけど、声に力がない。下手側の座席で出語床から遠かったから余計にそう感じたのかも。

2013年11月10日日曜日

10月19日 十月花形歌舞伎 昼の部

「大坂純情伝」

女殺油地獄とウエストサイドストーリーを足して二で割ったようなーーということだそうで。やんちゃな若者たち、大店のぼんぼんの天神組と下町の不良、雁金組がいがみ合っているという設定。与兵衛(愛之助)は天神組で、恋人、小菊(新悟)の兄、文三(薪車)が雁金組のリーダー格で…というのだが、チームの対立と与兵衛と小菊という恋人同士の関係がちょっと希薄だったかな。まあ、物語の本筋ではないから、あまり深堀りもできないのだろうけど。大人数での立ち回りが、ミュージカルの群舞のように振付けられていたのが面白かった。あと、花道を登場してくるシーンで、三味線でタンゴを演奏したり。(曲がだんご三兄弟だったのは、初演時の流行りか)

与兵衛が妹思いで、おかち(右近)が廓に売られないようにと金策に奔走したり、淫蕩な母、おさわ(吉弥)への屈折した思いが、お吉(壱太郎)に色目をつかってからかわれたのを引き金に、殺人にいたったりと、与兵衛の性格にいろいろ肉付けしているのだけど、そのせいでかえって、衝動殺人の不条理さがぼやけてしまい、殺しの場のゾッとするような怖さがなかったのが、残念。古典のがよかっただけに、期待していたので余計に。

歌舞伎は難しそう…と、尻込みしているひとには、とっつきやすくていいのかも。実際、リピーターも多いようだし。けど、最後の場、与兵衛が取り手に捕まえられる場面で戸板倒し。前に見た、別の浪花花形歌舞伎でも使っていたけど、軽々しくつかいすぎでは。


「三人連獅子」

父、母、子の3人連獅子。親子のほのぼのした情愛が描かれていて、いつもの連獅子とはまた違う風情。愛之助、壱太郎、吉太郎の息があっていてよろし。毛振りも隈取りでなく、素顔のままなので、引っ込んでから再登場までの時間が短いのもいい。

2013年10月28日月曜日

10月12日 十月花形歌舞伎 夜の部

「夏祭浪花鑑」

愛之助の団七がはまり役。裾をからげたときに、むっちりと太い太ももが安定感があっていいのだ。これで、ひょろっと細い脚だとちょっと興ざめ。お梶の壱太郎やお辰の吉弥、三婦の翫雀、磯之丞の薪車と上方の役者さんが沢山でているのもうれしい。あ、丁稚役の吉太郎もいい味だしてた。徳兵衛の亀鶴もよかったし、どの役もうまくはまっていた。

珍しく、お鯛茶屋の場からの上演だったので、徳兵衛と団七の関係がよくわかるし、徳兵衛の見せ場が多いのもよかった。亀鶴の二枚目って、あまり見たことなかったかも。団七と2人で並ぶ場面も多くて、格好よかった。

壱太郎のお梶は美しいのだが、ちょっと硬いか。愛之助と並ぶと、美男美女でお似合い。

お辰の吉弥、すごくはまり役で、ほれぼれするいい女っぷりだったのだが、何だかちょっと堪能できない。頬に焼き鏝を当てるところなど、たっぷりと演じているのだが、それを受ける三婦の翫雀の反応が早すぎる気がした。もうちょっと間をもってくれると、よかったような。「こちの人が好いたのは…」のくだりも、花道の途中で立ち止まって、席に半分背を向けているので、表情がちゃんと見えなくてもったいない。

2013年9月24日火曜日

9月22日 九月花形歌舞伎 昼の部

「新薄雪物語」

めったに上演されない演目といいうことだけれど、華やかな舞台装置といい、立ち回りといい、歌舞伎らしさ満載で杮落し公演にはぴったり。花形役者ばかりの競演なのも、体当たりで演じている感じでよかったような。こんな座組みではもう見られないだろうな、という希少感も。


花見の場

妻平の愛之助がいい。歌舞伎らしい重々しさのある立ち居振る舞い、後段の立ち回りという見せ場もあるし、案外美味しい役?籬の七之助が息のあった演技で、薄雪姫(梅枝)・左衛門(勘九郎)の初々しさとの対比もあっていい風情。

梅枝は典型的な赤姫がかわいらしい。左衛門の勘九郎、こうしたおっとりした話し方すると、ますます勘三郎に似てきたなあ。

立ち回りはいろいろ工夫されていて面白かった。桶とか傘とか小物の使い方も目新しかった。


詮議の場

白髪の伊賀守(松緑)はともかく、園部兵衛の染五郎が父親に見えない。伊賀守・松ヶ枝(吉弥)がよいだけに、何だかバランスの悪い感じだった。

民部の海老蔵、前段の秋月大膳の悪役っぷりがあたりに板についていたせいか、暫くはいい人に見えなくて困った。


広間・合腹の場

梅の方の菊之助がいい。ちゃんと母の情が感じられた。

三人笑いは本来はもっとベテランの役者が演ずるべきなのだろうけれど、花形が精一杯演じている緊迫感が舞台を盛り上げていたように感じた。大御所が演じてもこの感動はなかったかも。


「吉原雀」

踊り上手の勘九郎・七之助兄弟なので普通に楽しい。前の演目が重々しく終わったので、食後の口直しのような。

2013年8月11日日曜日

8月10日 三谷文楽「其礼成心中」

映像では一度見ていたので、ストーリーは知っていたのだが、生で見聞きするとより面白い。

いつもの文楽より、人形がフィーチャーされている感じ。出語り床はなくて、大夫&三味線さんは舞台正面の高いところにいるので、一歩引いたように見える。映像でみたよりは低く感じたけど、いつもより裏方さんぽいというか。

呂勢大夫、千歳大夫という、美声の二人なので、聞き応え十分。二人でほとんどの場を語るので、大変そう。冒頭、呂勢大夫の声がかすれ気味(それはそれで味があって良かったのだが)にかんじたのは、疲れから?

人形がコミカルな動きで笑わせる。特に、娘役。お前みたいな不器量な娘に惚れる男がいるのか、とか、心中は美男美女がするもんだと言われて悶絶するところなんて、可愛らしくて可笑しくて。

カーテンコールで、大夫さんや三味線さんたちが手を振ってくれた。普段の文楽じゃあ見られない光景で得した気分。呂勢大夫の照れたような笑顔が素敵。

8月10日 ABKAI

「蛇柳」
歌舞伎十八番の一つとのことだが、過去に途絶えてしまっているので実質的には新作。松羽目物の舞踊仕立てで、土蜘蛛や船弁慶を彷彿とさせる構成。

ユニークなのは、背景が松ではなくて柳になっていて、途中、蛇に化身するところで木の幹が蛇に変わるところ。蛇の手下どもの動きがショッカーぽいというが、変な手つき。動きがややぎこちなく、学芸会みたいに練れていない感じ。

海老蔵は、登場したときの優男のときからクネクネしてて、キモチワルイ。蛇を意識しての演技なのかどうかはしらないが、私には体の芯が通ってなくて、踊りの基本がなってないように見えた。声も、海老蔵が高貴な二枚目を演るときにする、浮ついたぼんやりした喋り方。バカにされているようでイラっとする。
蛇に変じてからは、カーッと目を剥いたり、見栄をしたり、荒事らしい動きを連発。結構早い段階で、お面を被った代役に替わったので、どうするのかと思っていたら、最後、客席から、荒武者のような格好で登場し(暫?)、蛇退治に参加。あまりに唐突なので、この人は何?と呆気にとられたまま幕。普通、愛之助演じるところの高僧に成敗されて終わると思うのだが、突然現れた、誰ともわからない人にいいところを持っていかれた感じで、印象が散漫になった。ヒーローも悪役も、全部一人でやらないと気が済まないのだろうか。ゲストの扱いがあまりにぞんざい。

「はなさかじいさん」

本題は「疾風如白狗怒涛之花咲翁物語。」 (はやてのごときしろいぬ どとうのはなさきおきなのものがたり)というそうな。長くてとても覚えられない。タイトルに「。」がついているのが、正式らしい。どんな意図で?

新作なのはいいとして、なぜ花咲じいさん?演者はみな若手なのに、あえて老け役をやる意味がわかんない。花咲じいさんをモチーフにしたとしても、主人公を若くしてしまうという手もあったのでは。愛之助は人のいい老人を好演していたけど、海老蔵のは髪が白いだけで、老人らしさはなかったし。

海老蔵はこの演目でも、悪い爺さん(得松)、犬、殿様と三役をこなしていたが、一番よかったのは、悪い爺さん。爺さんというよりは、昔やんちゃした中年のスケベ親父といった感じだけど。動物を虐待するところとか、いい婆(セツ)の吉弥を口説くところとか、しょうもない悪党ぶりが板に付いている。

話は全体的に子ども向けの感じ。いきなり童謡を歌い出したり、意味もなく一寸法師が出てきたり、子どもに見せようとして作ったものならいいが、主に大人の観客に見せるには幼稚すぎないか?人が自然に手を加えて灌漑を行ったために川が氾濫して田畑が流されてしまっただの、かけがえのない綺麗な水を守ろうだの、妙に説教くさいのも、私としてはマイナス。

いい爺さん、正造の愛之助と吉弥は仲睦まじい老夫婦を好演。でも、この役が老人である必要かあるのか? 中年夫婦とか、もっと若い設定でも問題はなさそう。

子役の市川福太郎が狂言回し・悪い爺さんを刺す虫の役で、可愛らしく、達者な演技。団十郎の部屋子だそうだが、海老蔵のもとで、ちゃんと育ててもらえるのかしら。

8月10日 坂東竹三郎の会

傘寿記念というが、まだまだお元気で若々しい。文楽劇場がこれまで見たことないような人の入りで、熱気があった。

「夏姿女団七」

「夏祭浪花鑑」のパロディーで、主人公お梶を猿之助。義平次婆おとらは舅ではなくて継母になっていて、竹三郎 。琴浦(千寿)を大名の姫君と偽って連れ去ろうとしたのがバレて開き直るところとか、お梶をいびるところとか、ノリノリで演じている感じで、見ているこちらの気分も盛り上がる。
居直って打ち掛けを捲り上げたり、啖呵を切るところなど、弁天小僧のパロディーと思わせるところがあったり。

殺しの場は、「夏祭」と同じ展開なのだが、おとらが殺されるほど憎らしくは見えなかったのは女だからなのか。お梶が刀を抜いてつい切ってしまうというのも、ちょっと不自然というか。

琴浦&清七(隼人)の出番が多かったのと、三婦(男女蔵)の出番が少なかったのが、元の夏祭と違うところ。男女蔵の三婦ははまり役、もうちっとみたかったな。

一寸お辰の壱太郎、芸者の役で年増っぽいメイクのためか顔色悪そうに見えて、猿之助よりも不細工に見えてしまった。赤っぽいお姫様のほうが似合うのね。


「東海道四谷怪談」

仁左衛門の伊右衛門が素晴らしい。低く凄みのある声、悪いのにゾクゾクするような色気があって、目が離せない。女を川に蹴り落とす姿も格好いいなんて。頑張ってチケットとった甲斐がありました(涙)

お梅の隼人と並んでも、ちゃんとカップルに見えるのがすごい。孫のような年齢差なのに。

伊藤家で、お梅と夫婦になるように説得されるとき、最初はきっぱりと断って、お岩への愛情があることを感じさせる。面体変わる薬を盛られて、後戻りできないことが分かってから、気持ちが変わるのでないと、はじめっからなんでお岩を呼び戻したのかわからなくなってしまう。

竹三郎のお岩は、過剰なところのない、淡々とした演技だけど、それだけに、健気さとか、哀しさが伝わる。髪梳きも、伊右衛門を怨んで怖いというより、可哀想な感じ。菊之助のときのように、背筋がゾーっとというのではなかったけど、じわじわくる怖さ。

お梅の母、お弓の千寿。琴浦のときの初々しさと打って変わって、落ち着いた後家ぶりで好演。
千寿のほか、伊藤喜兵衛の松之介(女団七では大鳥佐賀右衛門)など、松島屋一門の人たちが活躍してたのもうれしかった。

2013年8月5日月曜日

8月4日 夏休み文楽特別講演 第2部

「妹背山婦女庭訓」

道行恋苧環はお三輪の呂勢大夫、求馬の咲甫太夫、橘姫の芳穂太夫…と大人数。だが、呂勢大夫の声はビン、と響く。ユニゾンでも一人の声が一歩前に出ているように感じられた。で、勘十郎のお三輪がいじらしくて、かわいらしくて。

前段がなくてよく解らないのだが、求馬はどう思ってお三輪に手をだしたのか。追っかけちゃうくらいだから、橘姫には気があるのだろうけど、お三輪は最初っから血のためだったとしたら、かわいそうすぎる。

鱶七上使の段、津駒大夫の熱演はよかったのだが、三味線の鶴沢寛治がちょっと、力弱く感じた。冒頭からちょっとテンポが遅いというか、音程がぼんやりしているというか、座っている姿から気力が感じられなくてちょっと心配。夏バテ?

最後、金殿の段の切を咲太夫。官女にいじめられ、復讐に身を焦がしたり、あげくは殺されちゃったりと、お三輪の感情の変化が巧みで聴きごたえ十分。

2013年8月4日日曜日

7月28日 夏休み文楽特別公演 第3部

「夏祭浪花鑑」

間か開いてしまったので、大分記憶が曖昧だが。

釣船三婦内の段の切を住太夫。特にどこというのではないが、以前のような迫力がなかったような…。この暑さの中、毎日舞台に上がってくれているだけで、ありがたいのだけど。

お辰が顔に傷を付けてから「ウチの人が惚れたのはここ(顔)じゃありません」ってセリフ、楽しみにしていたのになくて拍子抜け。歌舞伎では見せ場なのだけど、独自の演出だったのね。

アトの希太夫、すっごい大きな声でびっくり。

長町裏の段は千歳太夫の団七。松香太夫の義平次、憎々しげでよかった。冒頭、咳き込んでしまって、急遽千歳太夫が代わりに語るなんてシーンがあって、びっくり。2人で舞台に上がってたからよかったものの、1人だったらどうするのだろう。

三婦を遣った文壽、形が生きているように自然な動きで驚いた。

2013年7月28日日曜日

7月26日 「野村狂言座」

「清水」

萬斎が主、その息子の裕基が太郎冠者。まだ、10代の子どもなので、詞の調子が時々緩むのが、ちと聞き辛い。一所懸命なのは分かるのだけど…。逆に、大人の狂言師の訓練された声というのは、何気なく聞こえて、実は緩みがなく、ピンと張っているのが凄いことなのだと。

話は馬鹿馬鹿しく、面白い。

「朝比奈」

深田博治の朝比奈、高野和憲の閻魔。閻魔が、貧乏たらしくて、頼りない感じが、おかしい。朝比奈に転がされてしまうなど、コミカルな動きが多いのも面白かった。

「連歌盗人」

野村万作と萬斎の、こちらも親子競演。盗みに入られる何某が石田幸雄。

何度も同じことを繰り返して言うのが、狂言のおかしみなのだろうが、ちょっと冗長に感じた。終演時間が予定よりも遅くなっていたので、余計そう感じたのかも。

2013年7月23日火曜日

7月某日 七月大歌舞伎 昼の部

「保名」

幕見でこの演目のみ鑑賞。

遠くから見たせいもあって、仁左衛門のシュッとした美しい姿にほれぼれ。
けど、踊りの名手といわれる人たちと比べると、手や足の動きにやや硬さが感じられた。

曲がいいとう評判なのだが、延寿太夫の清元が息苦しい感じで、聴きづらい。曲を楽しむという感じではない、というか、舞台にも集中できなかったよ…orz。

2013年7月21日日曜日

7月20日 夏休み文楽特別講演 第1部 親子劇場

「金太郎の大ぐも退治」

親子劇場だけあって、客席の半分くらいは子供。鬼や大ぐもが出てくるところでは、結構怖がっていた。義太夫が文語調だったので、言葉がわからないかな…と心配したけれど、ビジュアルだけでも話の筋は分かるようで、特に問題はなさそう。

子ども向けを意識してか、人形さんが主遣いも黒衣で顔も隠していた。若手が多かったせいか、蜘蛛や鬼の動きがややぎこちなかったように感じた。

スモークが焚かれて大ぐもが現れたり、小さな蜘蛛が何匹も降ってきて金太郎に襲いかかったり、と仕掛けが満載で、見ていて面白い。最後は宙乗りで、人形だけが乗っていくのかと思っていたら、主遣いさんが1人で人形を遣いながら吊られて行ったのでびっくり。しかも、2人同時に。


「瓜子姫とあまんじゃく」

口語体で語るものなので、内容は分かりやすいけど、ちょっと違和感も。文末が「瓜子姫は…であった」「…だった」というのが続くのが、くどいというか、リズム感が悪いというか。

瓜子姫に化けたあまんじゃくが、めちゃくちゃに機を織ったり、本性を現して形相が変わったりするところが面白かった。妖怪も、一つ目の山父とか、子どもたちが怖がってるのが分かった。

嶋太夫が休演で、代役が呂勢大夫。思いがけずに聴けることになって、ちょっと得した気分。最初のほうこそ、声が出ていないようだったけど、途中からはいつもの美声を響かせてくれて満足。途中、舞台のほうをちらちらしながら演じていたのが、いつもと違って興味深かった。普段なら、じっと正面を見て演じている。急な代役で勝手が悪かったのか、語りがなくて、三味線と人形の動きだけで進むシーンが結構あったので、間合いを測っていたのか。

2013年7月19日金曜日

7月15日 七月花形歌舞伎 昼の部

「加賀見山再岩藤」

松緑が大活躍。岩藤よりも又助メインという感じだが、ほぼ出ずっぱりの熱演。又助のような善意の人(?)のほうがしっくりくる気がする。

愛之助の望月弾正は悪役が楽しそう。出番は少なく感じたが、存在感は十分。

菊之助は尾上のような、真面目な役はいいのだが、お柳がちょっと物足りない。もっと悪女らしさが見たかった。

壱太郎の梅の方、出てきてすぐに頃は殺されちゃって、あまりの呆気なさに呆然…。

2013年7月15日月曜日

7月14日 七月花形歌舞伎 夜の部

「東海道四谷怪談」

初役の菊之助のお岩が、鬼気迫る演技。伊右衛門や伊藤親子の企みを知って、恨みに堕ちていくところなど、背筋がゾッとした。いままで観た「四谷怪談」のなかで一番怖かった。過去に観たものは、一番怖いはずのシーンで笑いが起きてしまうことがよくあったのだけど、怪談はちゃんと怖がりたい。

血の道の妙薬と偽られた薬を、ありがたがって呑むところ。紙包みを開いて掌に粉薬を載せて口に運び、掌に残った薬を湯呑の中に払い落とし、さらに、包紙に僅かに残った分もはたき落として、湯呑みを回して溶かしてから、押し頂くように飲み干す…という手順は、亡き勘三郎が得意としていたやり方と同じようなのだか、くどいとは思わなかった。手順は同じでも、淡々としていたのがよかったのか。

自分の顔が醜く崩れてしまったことを知るのは、以前観たものは、伊藤家に挨拶に行こうとして、身繕いのために鏡を見て…だったと思うのだか、今回は宅悦に「顔か変わった」と聞かされてから。髪を梳いてごっそり抜けるのはおなじだったが、血が滴ることはないなど、よく見る型とは違うところも。音羽屋の型なんだろうか。

伊右衛門は染五郎。登場時から酷い悪人ぶりで、こんな男に関わったら怨みもするよなあ、と納得。ただ、色悪の「色」の部分はあまり感じられず。お梅がなんであんなに恋い焦がれてしまうのか、よくわからない。

松緑の直助。台詞回しがぎこちなく感じた。テンポが悪いのか、たまに突っかえるようなところもあった気がする。痩せたのか、顔が小さくなっていたのに驚いた。シュッとしすぎていたので、小悪党にそぐわなかったのかも。

お袖の梅枝、与茂七と地獄で思いがけず再開し、文句を言いあったり、仲直りしてジャラジャラしたりするのが可愛らしい。

お梅の右近は、声は可憐でいいのだか、顔つきや所作がたまにゴツくなるのが惜しい。そんなに重たい役ではないと思うのだが、冷静に考えればこの悲劇の大元はこの娘のワガママなんだよな〜と思うと複雑。蜷川幸男の映画で森下愛子が演じたエキセントリックなほどに、とは言わないまでも、もうちょっとこの娘の罪深さにフォーカスしてもいいのでは。

2013年7月14日日曜日

7月13日 「ドリアン・グレイ」

マシュー・ボーンの作品中、最もセクシーというだけあって、絡みの多い、官能的な振りが多い。衣装も、パンツ一枚とか、下着姿そのものだったり、露出の多いものだったり、でほとんど半裸…。振りはコンテンポラリー風。腕の動きが多かったのと、アンバランスな姿勢など不調和の美というか。休憩を挟んて約2時間、速いテンポで物語が進むので、飽きさせることがなかった。

UKキャストの方を観たのだけど、主役のドリアン、カメラマン、ドッヘルベンガーのほかはすべて日本人。この点がこれまでのマシュー作品とちがう。日本人ダンサーは総じて踊りが硬いように感じた。余裕がないというか。マシューの舞台は、演技力も必要なのだか、表情が控えめな日本人は無表情に見える点も良くない。乱交のシーンとか、色気のある表情の英国キャストと全然違った。

オール日本人キャストはどうだったんだろう。興味はあるけど、見ると気恥ずかしくなってしまうかも。どこかで、触りだけでも見られないかな。

とはいえ、主演のリチャード・ウインザーは前回の「スワンレイク」の時も見たけれど、あまり好きなダンサーではないので、感動はイマイチだった。裸同然で踊るので、身体付きって大事だと思う。(つまり、好みの身体でなかった。お腹のたるみが…)周囲を虜にするほどの美形でもないし(少なくとも私には通じないし)。

カメラマン役のクリストファー・マーニーはワイルドな感じがよかった。ダンスもセクシーで素敵。

終演後、日本キャストの大貫勇輔と主演2人のトークショーがあった。知らずに行ったので、ちょっと得した気分。内容はそんなに面白くなかったけど。客席からの質問で「あなたにとってのインモラルとは」の答えが「他人が不快に思うことはしない」とか。
役作りで、原作との違いについて聞かれ、リチャードが「原作のドリアンは美を強く意識しているけど、自分は虚栄心を強く出した」と言っていたのに納得。

2013年7月13日土曜日

7月7日 七月大歌舞伎 夜の部

「曽我物語」

新歌舞伎らしい、理屈をこね回した話。父の敵討ちに加わらない理由がよく分からないので、兄弟の手助けくらいしてやれよ、と思ってしまった。

我當と進之介の親子共演なのだか、格の違いが歴然。進之介、血気にはやる若者ははまり役なのだが。

「一条大蔵鐔」

仁左衛門の一条大蔵、アホなときすごく可愛いのだか、「身替座禅」の右京のほうが私は好き。でも、品のあるバカ殿ぶりに客席の空気が緩む。後段、凛々しくなってかららのほうは、本領発揮。ほれぼれする男ぶり。

秀太郎の巴御前、吉弥と、息のあった座組で、安定感があった。

思いがけず、腰元の1人が芝のぶで目の保養。

「杜若艶色紫」

福助の悪女は結構好きなのだか、蓮っ葉な凄みはあるのだが、あんり美しさは感じられなかった。蛇遣いだけあって、爬虫類的な粘着質な怖さというか。

橋之助、ヒーローもいいが、悪役もいいなあ。何を観てもハズレがないって、凄いことだ。

2013年6月9日日曜日

6月8日 文楽鑑賞教室

「日高川入相花王」

清姫に咲甫太夫、船頭に始大夫。始大夫の声は太くて迫力があって、清姫との対比がはっきりしていて面白い。

清姫の人形が、河を渡りたいあまりに蛇に化身してしまうところが鮮やか。人形を上下に動かすので体力的には大変そうだ。


「絵本太閤記」

前段を呂勢太夫。声がきれいなので、初菊のかわいらしさ、いじらしさが際立つ。けど、十次郎、「討ち死にするから祝言を挙げていなくってよかった」とか言いながら、結局杯かわしてんじゃん。

後段は英大夫。人形も立ち回りが多くて、盛り上がる場面。

フランス人と思しき団体客が前の席にいたのだが、大夫が声色を使うのが面白いらしく、くすくす笑うのが気になった。シリアスな場面なのに…。イヤホンガイドはしていなかったようなので、話の展開分かってたのかな?日本語が分かる人でも、結構込み入った筋だと思うのだが。

パリ・オペラ座ライブビューイング「ドン・キホーテ」

バジルがカール・パケットというので鑑賞したのだが、この人、別に悪いところはないのに、「すごい」と思わせないのはなぜなのだろう。キトリをリフトするときに、一発で決まらなかったりはしたが、ジャンプも回転もきちんと決めていたのに。女ったらしの演技は、これまで見たバジルとは違って、ちょっと柔らかい雰囲気。金髪のバジルってちょっとイメージと違うのだけど、「オペラ座」のスタイルなのかな。

キトリのドロテ・ジルベールは美しく、キリっとした踊り。バランスでぐらぐらする場面などもあったけど、観ていて気持ちのいい踊り。

開演前や幕間のダンサーの様子が見られたのは、興味深かった。

6月1日 パリ・オペラ座バレエ団「天井桟敷の人々」

ガランスのアニエス・ルテステュが圧倒的な美しさ。

男性の主役はバチスト(ステファン・ビュリオン)のはずなのに、あまり見せ場がなく、ルメートル役のカール・パケットのほうが存在感があった。幕間には、ホールのロビーで「オテロ」も演ってたので、間近で美しい姿を堪能。でも、バレエのテクニックなどで魅せるという感じではなく、美しい以上のものを感じられなかったのがちと残念。「白鳥の湖」のロットバルトのあの怪しい魅力のようなものを期待していたのだけれど。

宿屋の女主人(エルミーヌ夫人?)の演技がよかった。バレエの公演で、女性が道化的な役をするのって珍しいように思うのだけれど、存在感があった。

舞台装置や衣装がすばらしく、物語の世界観を作りだしていた。


4月27日 文楽4月公演第1部

「伽羅先代萩」

政岡忠義の段を語った呂勢太夫が素晴らしかった。千松の亡骸を抱えて悲しみにむせぶところなど、胸に迫る。

御殿の段、飯炊きのシーンは、歌舞伎でも冗長でしんどいのだが、文楽はなおさら、という気がする。

床下の段、節之助(歌舞伎と名前が違うのはなぜ?)の大立ち回りがダイナミックで面白い。


「新版歌祭文」

源太夫の代役にたった英大夫がよかった。
住太夫の語りはやはり凄い。


「釣女」

陽気で楽しい演目。でも、醜女もなんか可愛いよね。

4 月7日 文楽公演「心中天網島」

順番が前後して、記憶もおぼろげだけど、記録として。

まあ、なんというか、おさんのできた女房っぷりが怖いほど。治兵衛ってのはつくづくしょうもない男で、おさんが愛想をつかさないのが不思議だ。若い小春はともかく、おさんみたいにできた女なら、さっさと見切りをつけてしまえばいいのに…。と思ってしまうので、何とももやもやする。

大和屋の段を語った咲太夫がよかった。

5月26日 歌舞伎座杮葺落五月大歌舞伎 第二部

「伽羅先代萩」
藤十郎の政岡に梅玉の八汐、時蔵の沖の伊、秀太郎の栄御前…と文句のない配役。杮落しならではの豪華な役者たちが集まって、これぞという舞台だった。
思いがけず、腰元に芝のぶの姿が。相変わらず、楚々としてかわいらしい。

先日、文楽版を観た(聴いた)ばかりなのだが、子役は歌舞伎のほうがいいように思った。「お腹がすいてもひもじうない」などのセリフは、歌舞伎の子役の、あの調子で言ったほうが、より哀れさが際立つというか。(しわがれ声の男性の声よりもね)

床下は幸四郎の仁木弾正に吉右衛門の男之介。兄弟顔合わせで、これまた豪華。短いシーンなのに、見ごたえたっぷり。


「廓文章」

仁左衛門の伊左衛門に玉三郎の夕霧とあれば、観ないわけにはいかないでしょう。
…と思ったのだが、期待値が高すぎたのか、思ったほどの感動はなかったのが不思議だ。伊左衛門のはんなりとしたかわいらしさ、夕霧のぽーっとした美しさ。まあ、非現実的な話ではあるのだが、それに浸るのが観劇の楽しさなのに、いまいち浸りきれなかった。

女房おきさの秀太郎、喜左衛門の弥十郎は安定感があって、芝居を盛り上げる。千之助が太鼓持で共演。仁左衛門ともども、嬉しそうな様子が微笑ましかった。

2013年5月26日日曜日

5月25日 花形歌舞伎 夜の部

「将軍江戸を去る」

残念ながら、青果ものは苦手かも、という認識を新たにす。

まず、山岡鉄太郎の勘九郎のセリフが聞き取りづらい。花道外の席だったので、背中越しだったせいもあるかもしれないが、とうとうと立て板に水のように語っているのだか、早口すぎて内容が分からない。ただでさえ、ややこしい話なのに、セリフが聞き取れなくてはちんぷんかんぷん。慶喜の染五郎、伊勢守の愛之助のセリフはよく聞こえたのだが、話のキモを握るのは勘九郎演じる山岡だから、何とももやもや感じが残った。

染五郎はセリフを歌い上げながらも、抑制がきいていて、心地よい。が、人物蔵としては、将軍のくせに、周りの意見に左右され過ぎで、あまり共感できない。…結果、見終わった感想は、モヤモヤ。

「藤娘」

七之助で期待していたのだか、イマイチ…。期待し過ぎたせいなのか。

踊りは得意な方だと思うのだけど、全体的に動きが硬いというか、滑らかでないというか、観ていて心地よくない。姿は美しいので、何とも残念。

「鯉つかみ」

この日観た中で、文句なしに一番面白かった。ストーリーは分かりやすいし(馬鹿馬鹿しくはあるけれど)、配役も演技もはまっているし、ケレンもたくさんあって、楽しいし。

小桜姫の壱太郎がまず可憐でかわいい。ちょっと危ないところを助けてもらった小姓に一目惚れって、箱入りのお姫様としてはあってはならない展開だけど(でも、歌舞伎ではよくあるパターン。八重垣姫とか、桜姫とか)、可愛いので許される。
呉竹の吉弥もよかった。姫様大事で望むことは何でも叶えてやろうという忠誠心とちょっと抜けているところがあって、笑を誘う。いきなり現れた志賀之助に、身元確認もせず、姫としっぽりとなんて、危機管理がなってなさすぎでしょう。

で、主役志賀之助の愛之助。宙乗りで登場し、最初は足の裏しか見えなくて切なかったけど、360度回転しながら花道上を行ったり来たりして、どの客席にも見えるようにという配慮が感じられた。
最後の、鯉を相手の立ち回りでは、一回転しながら水に飛び込んだり、客席にバシャバシャ見ずを飛ばしたりのサービスっぷり。客席に雨上がりの宮迫さんがきていたので、「宮迫です」のパフォーマンスも。最後の最後の、水六方まで、飽きさせずに、魅せられた 。歌舞伎って、理屈抜きに楽しいよね、と思える芝居だった。

2013年4月21日日曜日

4月21日 マニュエル•ルグリの新しき世界3

ルグリとオーレリー•デュポンのパートナーシップが素晴らしい。ルグリは前回の来日時にも観たけれど、今回はより素敵に感じた。ベストパートナーなんだなぁ。オーレリーは舞台に出るだけて、気品と華やかさが溢れ出す。やはり生で観てみて良かった。

4月20日 歌舞伎座杮葺落四月大歌舞伎第三部

「盛綱陣屋」

仁左衛門の盛綱がすばらしい。首実検で、高綱の首ではないと気づきながら、小四郎が「父上!」と言うのを不審に思い、からくりを見極めてニヤリとする…という、盛綱の心の動きが、まるでセリフを聞かされているようにつぶさに分かる。その前段でも、高綱が惑わないように、小四郎を死なせるよう未妙に頼むくだりなど、いまの常識からはあり得ない展開なのだが、盛綱の苦悩がつたわってくる。
芝雀の奥方、時蔵の篝火と配役もピタリとはまって、見応えのある一幕だった。

惜しむらくは、小四郎を演じた金太郎。梨園の子だからと期待値を高めてしまったせいか、気持ちが入っていないように感じてしまった。セリフはしっかり入っていたし、所作もちゃんとしているのだけど、何か別のことを考えながら芝居しているように見えてしまったのが残念。いい子役だと、歌舞伎独特の棒読みの台詞でも、うるっとくることあるのだけど、そうはならなかった。

2013年4月15日月曜日

4月13日 四国こんぴら歌舞伎大芝居 第一部

早朝の地震でJRのダイヤが乱れ(でも新幹線はほぼ定刻だったのが凄い)、約20分遅れで会場入り。歌舞伎の公演は定刻通りが原則とはいえ、こういう天災の時はちょっとくらい融通してほしかった…

「鳥辺山心中」

愛之助の半九郎に春猿のお染。美男美女で素敵なのに、冒頭を見逃したので、悲劇にいまいち入り込めなかったのが残念。

いや、いくら男前でも、酒に酔ったうえでの短気の喧嘩で人を殺してしまうような男ってどうなの?思いとどまるチャンスはいくらでもあったでしょうに。源三郎(猿也)がうまく煽るので、「何くそ!」と思う気持ちも分からなくはないのだが。
で、殺してしまったあと、逃げるのは男がすたるとか言っちゃって、切腹か、源三郎の兄、市之助に仇討されるかの2択だとか、妙に潔いのが憎らしい。その冷静な判断力を何故もっと前に発揮しない!と思ってしまう。
「一緒に死なせて」というお染の気持ちも、何だかなあ。初めての男に夢中になるってそういうことなの?親が悲しむって説得されるのを振り切って、というのがいまいち共感しにくい。

お染の先輩遊女、お花の笑三郎がよかった。酸いも甘いも噛み分けた、世なれた女という感じ。右近演じる市之助と、いいカップルではまり役。でも笑三郎のお染を観てみたかったような気もする。


「義経千本桜 川連法眼館の場」

1月の松竹座に続いて、また、という気もしなくもないが、猿之助の当たり役だし、金丸座の空間で観てみるのはまた違った趣かと。客席との距離が近いので、臨場感が高まったのはよかったが、立ち回りなど、動きがちょっと小さく感じたのが残念。狐忠信が欄干を超えて部屋に飛び込んだり、欄干に飛び乗ったりする場面でそう感じた。セットの安定性がよくなかったのかな。

秀太郎の静御前、体調が悪かったのか、登場してすぐの場面で荒い息をしていたり、目をつぶってじっとしていたりしたのが気にかかった。セリフを言う場面ではいつも通りだったのだが。

愛之助の義経は、やや貫禄に欠けるというか、ちょっと女々しく(?)見えた。セリフのない場面で、視線で静への愛情を感じさせるのはよかった。これまで観たものは、あまり、静と義経の間の愛情を感じることがなかったので。

最後、宙乗りで去っていく忠信に観客の視線が集中するなか、ふと舞台を見ると義経と静香が寄り添って忠信を見送っていた。これって、いつも通りの演出?これまで注意して見ていたことがなかったのだけど、いい感じだった。

駿河次郎の月之助を久しぶりに歌舞伎で見たけど、やはりこの人は男前だ。背が高いので、金丸座の舞台では大きすぎるようにも見えたけど。

2013年2月28日木曜日

2月24日 二月花形歌舞伎 昼の部「新八犬伝」

愛之助が4役で大活躍。(って、そのうち2人は同一人物が変装しているという設定だけど…。たとえば、「本朝廿四孝」で勝頼と蓑助二役と言うのか。拵えが違うからいいのかな)
八犬士の犬飼権八よりも悪役の扇谷定正や網干左母次郎のほうが素敵かも。本人も生き生き演じている感じがする。

伏姫の梅枝は、端正なお姫様。GOEMONの石田局もよかったが、正統派の美人が似合う。伏姫に襲いかかる弟の義成を千壽。前半のあほ坊ぶりから、操られて狂気にかられて姫に襲いかかる様の豹変ぶりがすごかった。いつもは女形なので、今回のような立ち役はあまり経験がないだろうに。

松也が犬塚信乃で、すっきりした二枚目を好演。こういうお役は目に楽しい。で、許婚の濱路の梅丸が可愛くて健気で。ちょっと声がかすれ気味だったようなのが残念だったが。秀太郎の亀篠と本当の親子のよう。

で、亀篠がまた凄い。信乃から村雨丸を奪い取って、左母次郎(=愛之助)に引き渡すシーンで、「年増もなかなか…」とか言われて迫られる時の色気。この二人、義親子なのに、やらしくってドキドキした。

2013年2月20日水曜日

2月17日 宝塚花組公演「オーシャンズ11」

格好いい男たちがたくさん出てきて、カジノやショーという華やかな舞台で歌ったり踊ったり。やはりこういうのが宝塚には似合うし、観ていて楽しいと思う。

オーシャン役の蘭寿とむはもちろん、敵のベネディクト役の望海風斗もいい男ぶり。歌も踊りもうまい。冒頭のオーシャンのソロは、言葉の使い方のせいかぞわっとする場面もあったけど(「男はノブを回す~♪」という歌詞が衝撃だった…)、そのほかのシーンは声の伸びもいいし、音程も安定していて素敵だ。

10人の仲間たちも個性的で素敵だった。時間の都合で仕方ないのだろうけど、個々のキャラクターをもっと掘り下げて見たかったなあ。イエン役の華形ひかる、一部休演でレビューは出ていなかったようなのだが、本編では不調を感じさせなかったのが凄い。

娘役はトップの蘭乃はなよりも、ダイアナ役の桜一花のほうが好きだな。宝塚の娘役って、男役を引き立てるために、ありえね~ってくらい可憐できゃしゃだから、あんまり素敵とは思えないのだ。というか、男役のみなさん、痩せすぎ。舞台の上で男には見えたのだが、華奢なので楽しんごみたいなんだもん。女性としてはマッチョにはなりたくないだろうけど、もっと体格がいいほうがスーツは映えると思う。肉襦袢着ちゃうとかできないのだろうか。

2013年2月10日日曜日

2月9日 二月花形歌舞伎 夜の部

「GOEMON」

石川五右衛門がスペイン人とのハーフで、フラメンコも踊っちゃう…というので、とんでもないことになってしまうのでは心配していたのだが、思ってたよりはちゃんと歌舞伎だった。舞台には幕がなく、スチールパイプを組んだだけのセット、鳴り物にヴァイオリンやフラメンコギターがあったり、女性がでてたりして、所々トンデモな場面はあったが、全体としては、歌舞伎を観た充実感があった。それは多分、愛之助をはじめ、役者たちが、歌舞伎の作法で演じていたからだ。現代劇のようなセットや洋楽で歌舞伎を演じるというのは、NINAGAWA十二夜という先例があるが、「歌舞伎役者が演じれば歌舞伎になる」ということなのだろう。(そうじゃないのもあるけど)

五右衛門の愛之助は、開演から1時間くらい出番がなく、待ちくたびれたが、登場してからは、縦横無尽の活躍。立ち回りも派手で見応えがあるし、見栄など見せ場を多く作り、まさに「傾いて」いた。写真で見たときは赤毛で金糸を織り込んだ派手な衣装がマツケンみたいと思ったけど、、実際に見るとそれほどの違和感は感じず。

2幕の途中、客席後方から通路を歩いてきて、ちょうど私の横で立ち止まって演技をしていたのでドキドキ。後ろ姿でよく見えなかったし、スポットライトがまぶしくて困ったけど。この劇では、客席を沢山活用していて、秀吉の追手との立ち回りでは愛之助や壱太郎をはじめ、沢山の役者が客席に降りて駆け回り、2階席でも演じるサービスっぷり。何だか少し、亡き勘三郎を彷彿とさせる。姿が似ているというより、その精神で。

阿国にフラメンコを教えるシーンは、結構様になっていて、ちょっと安心。大向こうから「待ってました」の声がかかって、苦笑する場面も。阿国の壱太郎に「笑うなよ」と言って、笑を堪えられないのを突っ込んだり、仲良さそうな様子。ただ、2人で組んで踊るのが、恋人同士というより、仲のいい兄妹に見えたのが、惜しい。せっかくセクシーな振り付けなのに。

1幕の終わりで宙乗り+葛抜けをしてしまったので、「もう⁇」と思ったら、最後にもちゃんとあった。でも、鳥になった母の背に乗って行くって、どうなの⁈

冒頭、カルデロン神父と石田局のラブロマンスが素敵。ただし松也、最初の神父服の時はよかったのだが、還俗(キリスト教でもこういうのかな)してからの洋装はちょっと残念なことに。お尻がむっちりしていて、パンツの線が見えてたよ(涙)
2幕の冒頭、酒場で飲んだくれているカルデロンが吉太郎の友市(=五右衛門)の幻覚とフラメンコを踊りだすので「??」と思ったが、これは幼いころの回想シーンで、五右衛門がフラメンコを踊れることの説明ということなのだろうか。

先月の浅草で注目した梅丸。石田光成も可愛い若侍だったが、阿国ダンサーズの一人、お菊で女形も見せてくれたのがうれしい。顔ちっちゃくて可憐だ…。後から出てきたホンモノの女性よりきれいだもんなあ…。秀太郎のお弟子さんの千壽と踊っていたのだが、2人とも上手くてきれいだった。

吉弥が北政所で、夫の浮気にチクリと釘をさす強い女房ぶりはさすが。名古屋山三も演じていたが、女形のほうがしっくりくる気がする。

1幕と2幕にそれぞれ1か所ずつ、佐藤浩希のフラメンコダンスシーンがあったのだが、珍しくもあり結構楽しめた。まあ、リズムが時々もたついたのが気になったのと、立ち居振る舞いが宝塚みたいだった。本編とのつながりがよく解らず、唐突な感じだったのも疑問だ。せっかくだから、役者との絡みがあってもいいだろうに。そういうこともあってか、帰り道でおばちゃんたちが「フラメンコが長すぎ」とぼやいていた。私としては、OSKのお姉さんがたのダンスのほうが退屈だった。

2013年1月22日火曜日

1月20日 寿初春大歌舞伎 夜の部

「操り三番叟」

藤十郎の翁、吉太郎の千歳。年の差いくつなんだろう…。お能風の踊りって、うろうろ歩きまわっているだけのように見えて、あまり面白くないなあ。

三番叟に移ってからは、コミカルな動きが楽しい。操り人形に、後見が薪車。後見役って、ほんとの後見さんもそうだけど、キリッとした風情が格好いい。


「小栗栖の長兵衛」

香川照之が歌舞伎役者中車としてどんな演技を見せてくれるのか、楽しみに。世話物の新歌舞伎なので、それほど違和感はなく。セリフ回しなんかも現代劇に近いし。ただ、立ち回りやセリフの間などで、たまに「あれ?」と思う瞬間はあった。歌舞伎のおっとりした間ではなくって、ちょっと前のめりになっているような。まあ、そういう目で見てしまったせいかも知れないけれど。

乱暴者の長兵衛が実は明智光秀を討った手柄物と分かって周囲の目が一変――という、分かりやすい筋立てで、笑いどころも多くて、楽しい芝居。

巫女小鈴の春猿、ピンクの頬紅がちょっと濃すぎるように見えたのだが、そういう演出なのかなあ。ちょっとおてもやん風というか…。笑三郎のおいねも、くっきり白塗りだったので、周りの町人たちと比べてちょっと違和感があった。


「口上」

猿扇が体調不良で休演。初めて舞台で観られるかと期待していたので残念。

藤十郎がお披露目役。今回は懐から巻紙を取り出して、読み上げていたので、スムーズに進行してた。先月の勘九郎の襲名披露では、言葉が出てこなくってハラハラしたけど。

翫雀や扇雀などは、澤瀉屋との共演も少なく、あまりエピソードなどもない様子。秀太郎の口上が、温かみがあってよかったな。

右近、笑也、寿猿、笑三郎、春猿、猿弥という一門の人たちも口上の舞台に。話す内容があっさりと控えめな様子だったのは、立場的なものなのか。

「義経千本桜」

川連法眼館の場。

新・猿之助は身のこなしが軽く、狐の化身らしい。本物の忠信の武士らしい重厚さと、狐忠信の親への情や可愛さの対比もよかった。今まで見た狐忠信のなかで一番かも。飛んだり跳ねたり、早変わりや移動も多くて結構しんどそうな役だと思うのだが、若さゆえか、余裕のある様子。最後の宙乗りもたっぷり楽しませてくれた。幕が下りたあと、舞台袖から登場するというサプライズも。三階から走ってくるのも大変そうだ。

秀太郎の静御前はしっとりとした風情が素晴らしい。何度も共演しているので猿之助との息もあっているし。

2013年1月15日火曜日

1月14日 文楽初春公演 第2部

この日から1部2部の演目が入れ替わり。

「寿式三番叟」

住大夫の復帰公演。やや痩せたようにも見えたけど、ひとまずは元気そうで安心した。
冒頭、声の張りが弱くなったようにも感じたが、8人の太夫がユニゾンで語るところでも、住大夫の声がビーンと響いてきたのはさすが。

演目はおめでたい舞踊劇。人形ならではのコミカルな動きもあって楽しいのだが、踊りは生身の人がやるほうがいいかなあ。


「義経千本桜 すしやの段」

歌舞伎とちがって、権太が二枚目ではなくて、ほんとに悪そうなおっさん。
お里の「びびびびび~」がなかったり、歌舞伎と違うところがいろいろあって興味深い。
若葉の内侍が訪ねてくるところがより丁寧に描かれていたり。歌舞伎だとあまりセリフがなかったように思うのだが、文楽では結構喋る。あと、権太が刺されてからの語りがちょっと短い。役者を見せる歌舞伎ではここぞとばかりに語るのだが、死にそうな人が長く喋る違和感もある。文楽はこの点、より自然だ。周りの人が嘆いたり悲しんだりしている様子も、人形がきちんと見せるし。
ただ、権太と小仙、善太の別れのシーンは、語りで特に触れられず、人形の表情でもあまりわからない(そりゃそうだ)ので、内に秘めた権太の悲しさがわかりにくかったかも。

源大夫。11月の仮名手本忠臣蔵の時にも思ったのだが、声が弱々しくないか?次に出てきた津駒大夫の声の張りが凄かっただけに、余計そう感じた。

「増補大江山」

呂勢大夫の語りはいいなあ。声が美しいので、女性の役が特にいい。

一条戻り橋で鬼女に襲われるという話なのだが、人形の顔が一瞬で鬼の形相になったり、観て楽しい。

1月12日 文楽初春公演 第2部

「団子売」

コミカルな舞踊のような演目。人が演じる場合はおかめのお面をかぶるであろうところで人形が変わってしまうのが文楽らしいというか、別人に見えてちょっと違和感。

「ひらかな盛衰記」

松右衛門内の段の切を語った咲太夫が素晴らしい。

最後、主君の子供を助けるために源氏方に捕えられる樋口兼光。あんなに強いのに何で、という気もするのだが。

「本朝廿四孝」

歌舞伎では何度か見ているのだが、文楽は初見。いろいろ違いもあって興味深い。

十種香の段では、八重垣姫のいじらしさ、かわいらしさ。絵姿でしか見たことのない許婚によくあそこまで入れ込めるよなあ…とは思うが、あれだけ可愛ければ許される気がする。

見ごたえがあったのは奥庭狐火の段。歌舞伎とは違って、狐に憑かれた姫の人形が入れ替わるのだが、幻想的でダイナミックな動きで魅せられた。文楽はどちらかというと太夫の語りが主で、人形は従という感じで観ていたのだが、この場面に関しては、人形の動きで引っ張るという印象だった。

人形であそこまで表現するって凄いなあ。人形遣いは勘十郎。十種香の段は蓑助が八重垣姫、勘十郎は勝頼をやっていたのだが、交代したのは何故だろう。

2013年1月4日金曜日

1月3日 新春浅草歌舞伎第1部

「寿曽我対面」

正月らしく、華やかな舞台。

松也が曽我五郎というので期待していたのだけど、ちょっと子どもっぽいというか、優しい印象だったのは、女方が多いせいか(プログラムによると、本人も五郎よりは十郎と思っていたよう)。声はいいし、見栄も決まっていたのだけど、顔かなぁ、なんか可愛らしく見えた。

十郎の壱太郎は、悪くないのだが、顔が小さいので立役にはあまり向かないと思う。勧進帳で演った片岡八郎も烏天狗みたいだったし。

大磯の虎の米吉が美しい。1年前も可愛いと思ったけど、より綺麗になった(…て男の人への褒め言葉なのだろうか)。化粧坂少将の梅丸も可愛くて、これからが楽しみな役者だ。まだ高校1年生だそうな。

工藤祐経は海老蔵。この座組のなかでは年長格だし、貫禄はあるのだけど、他の人が芝居をしている時に退屈そうな顔に見えるのは、いかがなものか。

「極付幡随長兵衛」

海老蔵が長兵衛。江戸の侠客のダンディズムだそうだが、よく似合ってた。格好つけてる様が、本人に重なるのか、もったいつけたようなセリフ回しや尊大な様子がはまってる。

女房お時の孝太郎は、夫を支えるいい女房っぷり。こういうのは上手いなぁ。

敵役の水野十郎左衛門に愛之助。悪い役もいいのだが、この人、悪人というより、卑劣な奴では…?藤見に、と騙して呼び出した(これは長兵衛も気付いていたが)うえに、和解しようと言って油断させ(これも怪しまれているが)、風呂に入れて丸裸にしてから襲いかかるって…。しかも二人掛かり。「殺すには惜しい」とか言いながら、やっぱり殺しちゃうし。ありがちなパターンとしては、長兵衛の漢気に触れて、水野が態度を改めるとかじゃないの??…と思ったのか、幕が降りてからも、続きがあると思って席を立たない人が多かった。

1月2日 新春浅草歌舞伎第2部

「毛谷村」

 愛之助の六郎、壱太郎のお園は美男美女で目に楽しい。上方の役者どうし、これからもコンビで見せてほしい。

愛之助の六郎は、こういう真面目でいい人の二枚目は無理なくはまる。悪役の亀鶴とのバランスもいいし。

壱太郎のお園は、可愛らしく、一所懸命なのは伝わるが、男勝りに立ち回りを演じて急に女らしくなるところのメリハリがちょっと甘いか。こういう、コミカルな役どころには、余裕のようなものがいるのかも。

斧右衛門の海老蔵はいわゆる〝ご馳走〟だけど、妙に似合ってた。

「口上」

正月から海老蔵の〝にらみ〟を見せてもらった。ご利益があるかは知らないけど。「過去の団十郎には及びませんが」というようなことを言っていたのは、ちょっと殊勝になったのか。けど、勧進帳の説明をするときに、初代からの団十郎が創り上げたものを引き継いだと殊更に言いたてるのはどうなの?血のつながりがあるのは、七代目幸四郎からでしょ。

「勧進帳」

愛之助の富樫は、初役とは思われない安定感。どしりと構えて、弁慶らの演技を受け止める度量が感じられた。声も明瞭で説得力がある。惜しむらくは、相手が海老蔵。この演目は、弁慶と富樫の息詰まるやり取りが魅力なのに、その緊張感があまり感じられなかったのが残念。弁慶と富樫が互角に渡り合う、キャッチボールがうまく噛み合ってないような。

海老蔵の弁慶は、俺が俺が、という感じで、周りと調和せず、一人浮き上がって見えた。羽目板を踏み鳴らすのも、やたら煩いし。海老蔵だけを観たいファンにはこういうやり方もアリなのかもしれないが。

以前、弁慶=仁左衛門、富樫=勘三郎、義経=玉三郎で観た勧進帳があまりに素晴らし過ぎたので、これと比べるのは無理があるのだろうけど。

2013年1月3日木曜日

12月9日十二月大歌舞伎 夜の部

「籠釣瓶花街酔醒」

菊之助の八ツ橋が美しい。この話は八橋の圧倒的な美しさがないと成り立たないので、そういう意味では◎。見染めの微笑みは、謎めいて、思わせぶり。玉三郎の、この世のものとは思われない、吸い寄せられるような怪しい魅力があったのとは一味違うが、これはこれで、惹きつけられる。

良かったのは、愛想尽かし。何の罪もない、お得意様を無下にしなくてはならない辛さが、存分に感じられた。思うに、菊之助の八橋はリアルな女なのだ。きっとどこかの遊廓にいたような、いい意味で俗っぽい。

菊五郎の次郎左衛門は、あっさり。一見物足りなくも感じたが、これもある意味リアルなのだろう。顔が白くて、あばたが浮いて見えたのに、ちょっと違和感を感じた。

七越の松也が美し。


「奴道成寺」

三津五郎はやはり、踊りうまいな〜。