2013年1月4日金曜日

1月2日 新春浅草歌舞伎第2部

「毛谷村」

 愛之助の六郎、壱太郎のお園は美男美女で目に楽しい。上方の役者どうし、これからもコンビで見せてほしい。

愛之助の六郎は、こういう真面目でいい人の二枚目は無理なくはまる。悪役の亀鶴とのバランスもいいし。

壱太郎のお園は、可愛らしく、一所懸命なのは伝わるが、男勝りに立ち回りを演じて急に女らしくなるところのメリハリがちょっと甘いか。こういう、コミカルな役どころには、余裕のようなものがいるのかも。

斧右衛門の海老蔵はいわゆる〝ご馳走〟だけど、妙に似合ってた。

「口上」

正月から海老蔵の〝にらみ〟を見せてもらった。ご利益があるかは知らないけど。「過去の団十郎には及びませんが」というようなことを言っていたのは、ちょっと殊勝になったのか。けど、勧進帳の説明をするときに、初代からの団十郎が創り上げたものを引き継いだと殊更に言いたてるのはどうなの?血のつながりがあるのは、七代目幸四郎からでしょ。

「勧進帳」

愛之助の富樫は、初役とは思われない安定感。どしりと構えて、弁慶らの演技を受け止める度量が感じられた。声も明瞭で説得力がある。惜しむらくは、相手が海老蔵。この演目は、弁慶と富樫の息詰まるやり取りが魅力なのに、その緊張感があまり感じられなかったのが残念。弁慶と富樫が互角に渡り合う、キャッチボールがうまく噛み合ってないような。

海老蔵の弁慶は、俺が俺が、という感じで、周りと調和せず、一人浮き上がって見えた。羽目板を踏み鳴らすのも、やたら煩いし。海老蔵だけを観たいファンにはこういうやり方もアリなのかもしれないが。

以前、弁慶=仁左衛門、富樫=勘三郎、義経=玉三郎で観た勧進帳があまりに素晴らし過ぎたので、これと比べるのは無理があるのだろうけど。

0 件のコメント: