「新薄雪物語」
めったに上演されない演目といいうことだけれど、華やかな舞台装置といい、立ち回りといい、歌舞伎らしさ満載で杮落し公演にはぴったり。花形役者ばかりの競演なのも、体当たりで演じている感じでよかったような。こんな座組みではもう見られないだろうな、という希少感も。
花見の場
妻平の愛之助がいい。歌舞伎らしい重々しさのある立ち居振る舞い、後段の立ち回りという見せ場もあるし、案外美味しい役?籬の七之助が息のあった演技で、薄雪姫(梅枝)・左衛門(勘九郎)の初々しさとの対比もあっていい風情。
梅枝は典型的な赤姫がかわいらしい。左衛門の勘九郎、こうしたおっとりした話し方すると、ますます勘三郎に似てきたなあ。
立ち回りはいろいろ工夫されていて面白かった。桶とか傘とか小物の使い方も目新しかった。
詮議の場
白髪の伊賀守(松緑)はともかく、園部兵衛の染五郎が父親に見えない。伊賀守・松ヶ枝(吉弥)がよいだけに、何だかバランスの悪い感じだった。
民部の海老蔵、前段の秋月大膳の悪役っぷりがあたりに板についていたせいか、暫くはいい人に見えなくて困った。
広間・合腹の場
梅の方の菊之助がいい。ちゃんと母の情が感じられた。
三人笑いは本来はもっとベテランの役者が演ずるべきなのだろうけれど、花形が精一杯演じている緊迫感が舞台を盛り上げていたように感じた。大御所が演じてもこの感動はなかったかも。
「吉原雀」
踊り上手の勘九郎・七之助兄弟なので普通に楽しい。前の演目が重々しく終わったので、食後の口直しのような。
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