歌舞伎では「沼津」しか見たことがなかったので、今回通しで観て、初めて仇討ちの次第が分かった。いやはや、こんなに壮大な物語とは。
「鶴ヶ岡の段」
敵討ちの原因を作る場面だけど、一言で言って、志津馬、脇甘すぎ。酒に弱いと注意されていながら、なんで酔っ払うよ。主君をお迎えする大事なところに瀬川がやって来る理由もよく分からん。
義太夫は御簾の奥で、人形使いも皆、顔を隠しての演出。仮名手本忠臣蔵の序幕みたいな感じ?
「和田行家屋敷の段」
正宗を狙う股五郎のたくらみを見事見抜いた行家だが、手紙を読んだ隙にあっさり殺されちゃう脇の甘さ。不思議だ。寝返って行家殺害に協力した、和田家の奴実内があっさり殺されちゃうのもよく解らん。
奥を語った松香大夫がよかった。
「円覚寺の段」
股五郎母、鳴海を人質に、刀と引き換えに股五郎の引き渡しを求める丹右衛門。実は鳴海と図っていて、鳴海は自害、刀は偽物とすり替えている。正々堂々としているのか、卑怯なのか。
帰り道、城五郎一味に股五郎を奪われ、瀕死の重傷を負う丹右衛門。駆けつけた志津馬も負傷し、この後の沼津に続く。
「唐木政右衛門屋敷の段」
志津馬の姉、お谷の夫、政右衛門は新しい妻をめとり、敵討に参加って、血縁関係にないと助太刀できないの?お谷はお腹のなかに子供までいるのに、かわいそうすぎ。
切が咲太夫。さすがの安定感。
「沼津里の段」「平作内の段」「千本松原の段」
沼津は、正直、歌舞伎のほうがいいかな。平作が荷を担ぐのに四苦八苦するところとか、十兵衛がお米に一目惚れしちゃうくだりとか、あっさり感じた。千本松原で平作が命をかけて股五郎の居所を聞き出すところ、前後のつながりが分かったのでようやく腑に落ちた気分。
平作内の段を語った呂勢大夫は、聴いていて心地よい。
切の住大夫、残念だけど、声に力がない。下手側の座席で出語床から遠かったから余計にそう感じたのかも。
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