「大坂純情伝」
女殺油地獄とウエストサイドストーリーを足して二で割ったようなーーということだそうで。やんちゃな若者たち、大店のぼんぼんの天神組と下町の不良、雁金組がいがみ合っているという設定。与兵衛(愛之助)は天神組で、恋人、小菊(新悟)の兄、文三(薪車)が雁金組のリーダー格で…というのだが、チームの対立と与兵衛と小菊という恋人同士の関係がちょっと希薄だったかな。まあ、物語の本筋ではないから、あまり深堀りもできないのだろうけど。大人数での立ち回りが、ミュージカルの群舞のように振付けられていたのが面白かった。あと、花道を登場してくるシーンで、三味線でタンゴを演奏したり。(曲がだんご三兄弟だったのは、初演時の流行りか)
与兵衛が妹思いで、おかち(右近)が廓に売られないようにと金策に奔走したり、淫蕩な母、おさわ(吉弥)への屈折した思いが、お吉(壱太郎)に色目をつかってからかわれたのを引き金に、殺人にいたったりと、与兵衛の性格にいろいろ肉付けしているのだけど、そのせいでかえって、衝動殺人の不条理さがぼやけてしまい、殺しの場のゾッとするような怖さがなかったのが、残念。古典のがよかっただけに、期待していたので余計に。
歌舞伎は難しそう…と、尻込みしているひとには、とっつきやすくていいのかも。実際、リピーターも多いようだし。けど、最後の場、与兵衛が取り手に捕まえられる場面で戸板倒し。前に見た、別の浪花花形歌舞伎でも使っていたけど、軽々しくつかいすぎでは。
「三人連獅子」
父、母、子の3人連獅子。親子のほのぼのした情愛が描かれていて、いつもの連獅子とはまた違う風情。愛之助、壱太郎、吉太郎の息があっていてよろし。毛振りも隈取りでなく、素顔のままなので、引っ込んでから再登場までの時間が短いのもいい。
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