傘寿記念というが、まだまだお元気で若々しい。文楽劇場がこれまで見たことないような人の入りで、熱気があった。
「夏姿女団七」
「夏祭浪花鑑」のパロディーで、主人公お梶を猿之助。義平次婆おとらは舅ではなくて継母になっていて、竹三郎
。琴浦(千寿)を大名の姫君と偽って連れ去ろうとしたのがバレて開き直るところとか、お梶をいびるところとか、ノリノリで演じている感じで、見ているこちらの気分も盛り上がる。
居直って打ち掛けを捲り上げたり、啖呵を切るところなど、弁天小僧のパロディーと思わせるところがあったり。
殺しの場は、「夏祭」と同じ展開なのだが、おとらが殺されるほど憎らしくは見えなかったのは女だからなのか。お梶が刀を抜いてつい切ってしまうというのも、ちょっと不自然というか。
琴浦&清七(隼人)の出番が多かったのと、三婦(男女蔵)の出番が少なかったのが、元の夏祭と違うところ。男女蔵の三婦ははまり役、もうちっとみたかったな。
一寸お辰の壱太郎、芸者の役で年増っぽいメイクのためか顔色悪そうに見えて、猿之助よりも不細工に見えてしまった。赤っぽいお姫様のほうが似合うのね。
「東海道四谷怪談」
仁左衛門の伊右衛門が素晴らしい。低く凄みのある声、悪いのにゾクゾクするような色気があって、目が離せない。女を川に蹴り落とす姿も格好いいなんて。頑張ってチケットとった甲斐がありました(涙)
お梅の隼人と並んでも、ちゃんとカップルに見えるのがすごい。孫のような年齢差なのに。
伊藤家で、お梅と夫婦になるように説得されるとき、最初はきっぱりと断って、お岩への愛情があることを感じさせる。面体変わる薬を盛られて、後戻りできないことが分かってから、気持ちが変わるのでないと、はじめっからなんでお岩を呼び戻したのかわからなくなってしまう。
竹三郎のお岩は、過剰なところのない、淡々とした演技だけど、それだけに、健気さとか、哀しさが伝わる。髪梳きも、伊右衛門を怨んで怖いというより、可哀想な感じ。菊之助のときのように、背筋がゾーっとというのではなかったけど、じわじわくる怖さ。
お梅の母、お弓の千寿。琴浦のときの初々しさと打って変わって、落ち着いた後家ぶりで好演。
千寿のほか、伊藤喜兵衛の松之介(女団七では大鳥佐賀右衛門)など、松島屋一門の人たちが活躍してたのもうれしかった。
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