2019年1月2日水曜日

12月21日 十二月歌舞伎公演「増補双級巴」

吉右衛門が五右衛門をするというので、後学のために観てみた。芸はともかく、お話としては面白さに欠けた。
道中出会った身重の女中をふとしたはずみで殺してしまい、そこで生まれた遺児が五右衛門という発端。女中は殿様のお手付きで、五右衛門が大名の血を引いているという。
が、次の幕では早くも、あまりの手癖の悪さに奉公先で金を盗んで出奔している。養父は腹違いの妹を廓に売って借金を返そうとしたところへ、五右衛門が帰ってきて、大金を渡して妹を身請けしたと思ったら、ふとしたはずみで刺し殺してしまう。唐突な展開だ。
理不尽はまだまだ続く。大詰めでは、なさぬ子(五郎市)に辛く当たる五右衛門の後妻おたき(雀右衛門)。父の留守に義母が間男したと勘違いした五郎市は男を刺すつもりでおたきを殺めてしまい、瀕死のおたきは盗賊稼業に染まらないよう五郎市辛くあたり、追い出そうとしていたと明かす。どんでん返しも唐突すぎて楽しめなかった。
歌舞伎らしい面白さは3幕。遊び暮らす足利義輝(錦之助)が、御台(東蔵)と傾城(雀右衛門)の衣服を替えさせ、傾城が廓言葉で御台のふりをする。逃げる五右衛門の葛籠抜けもあり。お年のせいかのんびりした葛籠抜けで、葛籠も心なしか大きいような…。足はブラブラさせずに、正座のように納めていた。和史くんが葛籠抜けのちょっと前に2階席にやってきて見学してた。
菊之助の秀吉は猿らしくなく、高貴なプリンスの風情で別のお話のようだった。

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