2019年1月22日火曜日

1月22日 宝塚星組「霧深きエルベのほとり」

1963年初演の菊田一夫の作品を上田久美子が潤色・演出。トップスター紅ゆずるのソロから、幕が上がると大階段を使ったキャスト総出の華やかなオープニング。「え?これは何の場面??」と一瞬戸惑ったが、祝祭的な気分を盛り上げる。身分違いの恋と別れという、使い古されたような物語だが、カールからマルギットへの告白のセリフなど、キュンとさせるポイントを抑えている。ダレて睡魔に襲われかけると群舞で目が覚めるという感じで、テンポのよい展開で飽きさせないのは上田の手腕か。 主人公の船乗り、カール・シュナイダーは粗野だが根はやさしいというキャラが紅に合っている。ヒロイン、マルギットは世間知らずのお嬢様という風情で、これも綺咲愛里に似合う。終始裏声のような発声は役作りなのかもしれないが、ちょっとどうかと思う。マルギットの婚約者フロリアンは、物分かりのいい紳士という現実離れした人物ながら、礼真琴がリアリティをもって好演。手切れ金をせしめて立ち去ろうとするとき、カールがマルギットを札束ではたくシーンはああこれかと。ただ、マルギットのためにあえて非道な男を演じたことを、あっさりバラしちゃうラストはどうかなあ。マルギットがカールをあきらめてフロリアンと結婚したあととか、何年もたってからというならともかく、こんなに早く知られてしまってはマルギットはまた思いを再燃させてしまうのでは? レビュー「ESTRELLAS~星たち~」にはがっかり。Jポップや洋楽のヒットソングをふんだんにつかう展開に、藤井大介が演出か?と思ったら、中村暁だった。曲の最後にキャストが銀橋に並んで合唱→暗転というパターンが多用されていて、苦笑するばかり。礼の歌とダンスのうまさだけが救いだった。

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