2019年12月25日水曜日

12月25日 十二月大歌舞伎 昼の部

「たぬき」
大佛次郎作の新歌舞伎。急死して葬式まで出した男が、実は生きていて、新たな人生を生き直す。落語のような筋だが、あまり面白くない。
中車演じる金次郎は、家付きの妻と折り合いが悪く、妾(児太郎)と暮らそうとするものの、妾には愛人がいることが分かり、金だけ取って姿をくらます。だったら、もう関係のないところで生きてりゃいいものを、わざわざ馴染みのちゃやに繰り出したり、妾や本妻の住むあたりに繰り出したりと、何をしたいのやら。最後、子どもに正体を見破られ、家に帰る決心をするというのも、すんなり受け入れられるとも思えず。
児太郎は蓮っ葉な言葉遣いが福助を彷彿とさせるが、たまに男がみえてしまった。

「保名」
玉三郎の一人舞台。歌舞伎座のあの空間を一人で支配できるのはさすが。所作の一つ一つが美しく、着物の裾の捌きかたまで計算され尽くして美学を感じた。
清元の国栄太夫が美声。

「阿古屋」
児太郎の阿古屋は初々しさが残るというか、若い印象。三曲の演奏は拙いところもあり、懸命さが感じられた。

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