「輝虎配膳」
秀太郎の越路は所作が美しくて品格があり、心情描写が丁寧。配膳係として出てきた輝虎に気づかぬふりでの嫌味、御膳をひっくり返す激しさ、花道の引っ込みで一瞬見せる申し訳なさげな表情…。ところで越路が、もらった着物を古着というところで笑いが起こるのってどういう訳で?
笑いは輝虎が怒って着物を次々脱ぐところでも。まあ、何でこんなに着込んでるの?というのはあるけど、愛之助は前回よりはスムーズに脱いでいたのに笑いから逃れられず気の毒。
直江妻唐衣の壱太郎が凛とした美しさ
隼人の直江はシュッとしてる。雀右衛門は勘助妻お勝。
「戻駕色相肩」
梅玉が浪花の次郎実は石川五右衛門、時蔵が吾妻の与四郎実は真柴久吉。劇中で梅丸改め莟玉の襲名披露口上。莟玉の禿が可憐。
「金閣寺」
壱太郎の雪姫がよかった。おっとりとした品の中に芯の強さがあり、人妻らしい落ち着きが感じられた。三姫とはいっても、他の姫とは違うわけで。義太夫に乗ったセリフが急ぎ過ぎず、耳に心地よかった。引き立てられる直信の芝翫と再会したところでは、アイコンタクトをたっぷりし、夫婦の信頼を見せた。
鴈治郎の松永は不足なく。扇雀の此下東吉は武者姿が桃太郎のよう。直信の芝翫はセリフが煩いかも。藤十郎が慶寿院で、短い出番ながら元気な姿。ただ、助けに来た東吉と座ったまま二階でやり取りするのみで、逃げるところは省略してた。
「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」
誰がやってもある程度は面白い出し物だと思っていたのだが、仁左衛門の由良之助は想像を超えていた。遊興に惚けたフリをしているところと、素に返るところの切り替えが丁寧だし、お軽とのやり取りも心理描写が克明。
お軽の孝太郎は、二階の場面のセリフが玉三郎を彷彿とさせ、遊女らしいぼんじゃりとした色気があった。平右衛門とのやり取りはいつものこうたろうだったけど。
残念なのは芝翫の平右衛門。ガチャガチャとがなりたてるように喋るので、セリフがちっともアタマに入ってこない。
千之助の力弥はまだまだかな。身のこなしが武士らしくないというか、腰が座ってない感じがした。染五郎の力弥の方が良かったかも。
進之介が赤垣源蔵で久しぶりに姿を見た気がする。
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