2018年11月10日土曜日

11月9日 神田松之丞漫談漫遊記vol.2

赤穂義士伝から堀部安兵衛にちなんで「安兵衛駆け付け」「安兵衛婿入り」「荒川十太夫」の三席。 マクラから、笑いを取りに行く様子が嫌らしくなった。客いじりとか物販の宣伝とか。「駆け付け」の前半は、「ばばあ」と執拗に言って笑いを狙ったり、やたらと見台を叩くのが耳障りで、途中で帰ろうかと思ったほど。十人切りのところでは、口裁きのよさで一気にまくしたて、引き付けた。「婿入り」は「この続きは…」と何度も勿体つける演出がうっとおしい。「荒川十太夫」はさらりとして、どこが人情噺なのかと思った。他の講釈師だと十太夫の妻が登場し、夫を励ましたり、2人で内職したりと葛藤がもっと描かれるのだそう。松之丞は不幸な生い立ちゆえの陰のようなものがあって、それが芸に凄みを与えていたのだが、売れたせいかその陰がなくなった。私生活が幸せになるのはいいことなので、前のように戻る必要はないのだけれど、芸の魅力を保つには何か他のものがいるように思う。

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