2018年11月10日土曜日

1102 吉例顔見世興行 昼の部

「毛抜」
左團次が弾正にこんなにハマるとは。秦秀太郎(壱太郎)や腰元巻絹(孝太郎)を口説く、ちょっとエッチな場面の面白いこと。間者の翫政は抜擢かな。天井裏から降りてくるところは2段の足場があってちょっと間延びした。もっと勢いよく落ちてほしい。

「連獅子」
前シテの衣装は肌色っぽい地に藍色の模様でちょっと地味かと思ったら、幸四郎が白鷗と初めて踊った時のものなのだとか。よくよく見たら花模様が刺繍で手が込んでいる。染五郎は体ができていないので軸がぶれ、ポーズも決まり切らないところがあるが、若々しく躍動感のある子獅子。幸四郎の親獅子はうまく見えた。毛振りが弧を描くようだとよりいい。
宗論で愛之助と鴈治郎。ほのぼの。

「封印切」
仁左衛門の忠兵衛の匂い立つ色気ったら。花道の出からチャームが全開で、客席が温かい空気に包まれる。訪ねてきたところで他の人に見つかりそうになると奥の壁にへばりついて「蝙蝠のマネしてましてん」…て可愛すぎるやろ。松嶋屋型は久しぶり。おえんの手びきで忠兵衛と梅川が会うのは裏の離れ、廓の2階が舞台上手に設えられている。おえんは八右衛門をなじる時に「ゲジゲジの八っつぁん」とは言わず、「総すかんの八っつあん」(24日再見時はアブラムシ、ゲジゲジなど言っていた)。八右衛門の挑発をじっと耐えていた忠兵衛は、梅川が声を上げて泣くのを聞いたところで自ら封印を切る。忠兵衛の告白後、梅川の「しぇぇっ」もなかったな。おえんので秀太郎はいるだけで世界観を作る。花道を出入りするところで、りき弥が手を引いていた。下駄だから足元がおぼつかないのだろうか。

「御存鈴ヶ森」
愛之助の白井権八。白塗りの美少年の風情。立ち回りも多いしね。白鷗の長兵衛は、歴代の長兵衛になぞらえて鼻高の五代目幸四郎や先代白鷗に触れ、自らの襲名を入れ事で。

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