2019年6月29日土曜日

6月21日 七月大歌舞伎 夜の部

三谷かぶき「月光露針路日本 風雲児たち」(つきあかりめざすふるさと と読むそうな)
2作目の三谷歌舞伎は面白かったけど、深みが足りないようにも感じた。歌舞伎かというと???ここぞという場面では竹本を使ってたし、猿之助ら歌舞伎の所作を使った演出が随所にあったけど、現代劇と言われても違和感ない。何せ、八嶋が外国人の扮装で踊るように登場しても違和感がないのだから。歌舞伎としては前作の「決闘!高田馬場」のほうがよかったかな。
主役の幸四郎をはじめ、高麗屋三代がそれぞれ美味しい役。染五郎は御曹司として?やたら気を遣われて弄られていた。
10年間の出来事を3時間ほどにまとめるのだから、テンポよく話が進むのは当然として、エカテリーナとの対面、光太夫、新蔵、庄三の別れ、帰国が全て3幕に集中していたのはバランスが悪い。1幕の見せ場ってなんだっけ?ほとんど人物紹介で終わってしまった感じ。2幕は移動に次ぐ移動。それはそれで楽しいのだけど、2幕ラストの犬ぞりのシーンは思ったほどの迫力はなかった(愛一郎が犬の筆頭で悪目立ち)。3幕で登場した竹三郎と寿猿のシニアカップルは全くの付け足しで、無くても筋に影響なし。賑やかし?
面白場面は2幕の終盤で高麗蔵と宗之助、千次郎がロシア語でやり取りするところや、3幕で新蔵(愛之助)の妻になるマリアンナ(新悟)がやたら日本語のことわざを口にすることとか。ロシア語の笑いは、言葉が分からなくても笑わせるのは役者の力だろうが、アグリッピーナ(高麗蔵)の容姿が中の下だとやたら繰り返すのがくどい。
愛之助演じる新蔵がちょっとシニカルな役どころで、重厚な芝居でたっぷり見せる。久々に二枚目の愛之助を見た気分。猿之助は文句ばかり言っている庄蔵をうまく演じ、エカテリーナでは威厳たっぷり。白鷗のポチョムキンとのアイコンタクトの芝居も存分に見せた。幸四郎の光太夫は、皆で日本に帰るという熱意が空回りしているよう。洋装時の髪型を漫画に寄せていたのか、左から上の髪が盛り上がっている不思議な頭だった。

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