1973年にクラルテが初めて手がけた近松作品を久しぶりに再演。人形は当時のものだそうで、左右非対称で歪んだ顔の与兵衛に凄みがある。
はっとしたのは、河内屋でおさわが与兵衛に折檻するところや、殺しの場面。1人遣いだけあって、動きにスピード感があって迫力があった。殺しの後、暗転して静寂になる演出もよかった。
油地獄を通して1時間45分ほどだっが、殺しの後の新町、北新地の場面はなくてもいいように思った。
役を演じてない人たちが、コロスのようにナレーションを担当。一人で語るのはいいのだが、複数で語ると声のトーンやタイミングにズレがあり、何を言っているのか聞きづらかった。歌になるとそうでもないのだが。以前、野村萬斎が現代劇の役者で声を揃えて語るのがうまくいかず、謡の手法を取り入れたらうまくいったと話していたが、そういうことなのかも。
アフタートークは文楽座の勘十郎と神宗のご隠居。勘十郎は与兵衛を遣うとき、借金を断られ、「借りますまい」と言って顔を背け、自分の持ってきた油樽が目に入った時に殺意を抱くのだそう。油で滑るところは、足遣いがエンジンで一番大変。左遣いはプレーキで、実は主遣いは一番楽なのだとか。おさわが40代と聞いて驚く。文楽の女形は、娘、老女形の次はいきなり婆で、間が抜けているのでそうなるのだとか。
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