2019年10月9日水曜日

1008 現代能「マリー・アントワネット」

梅若実による現代能」マリー・アントワネット」パリ公演。念願の舞台がはオペラ・コミックで実現した。客入りはよく、4階席まで客が入り、1階席は補助席が出るほど。

舞台装置はほとんどなく、黒いカーテン、床がむきだしのまま。デコラティブな装飾が施された劇場空閑をいかすねらいか。
フェルゼン役の福王和幸が現れたのち、後方のカーテンがひらいてマリーが現れる。両サイドにバラの蔓がまかれたポールが2本、門のように立ててあるのが唯一のセット。2人の薔薇の精に導かれて前方へ。冠に紅薔薇はなく、薔薇の精は白薔薇を冠っている。
マリーのセリフは最小限にカットされ、地謡が代わるところが多い。杖を手放せない様子で、扇と持ち替えての舞。舞は短く最小限。舞台後ろが照明でイロを変え、青きドナウの青から薔薇色に変化する。

間狂言は北翔海莉の一人舞台。薔薇で飾られた鈴を持ち、三番叟のように四方を踏む。琴や三味線の演奏と相まって、能とは別世界。途中、薔薇を加えてキメるところは、元男役の面目躍如。

後場は薔薇の精?の立ち回りののち、朱色の装束に白い頭巾を被ったマリーが登場。慣れない土地に輿入れし、孤独や寂しさから過ちを犯した?と地謡。最後は装束を脱ぎ、頭巾を外して、白装束、白髪姿になり、下手へ退場。足元が覚束ない様子で、長袴が足元に絡まりそう。足早に行くも、最後までハケきれず、袴の裾が舞台上に残っていた。

マリーに続いて囃子方が退場した後も、しばらくは拍手が起こらなかったのは、能のしきたりを理解しているからというより終わりか分からず戸惑っていたようだった。

現地の人に感想を聞いたら、ポエティック、マリーの悲しみに共感したなど。寡黙な人というのは、当人が発する声が少なかったからか。マリーについてはよく知らないという声も複数聞いた。現地の人に馴染みのある人ではないよう。

休憩ののち「土蜘蛛」。頼光と土蜘蛛の2人だけで、1幕同様、カーテンが開いての登場。あまり動かす、蜘蛛の糸は杖を持たない左手のみ。高さがなく、あまり遠くまで飛ばない感じ。土蜘蛛の代わりに頼光役の福王和幸が前後左右に動きながらの立ち回り。約20分ほどの短い舞台。

カーテンコールは藤間勘十郎が付き添って。舞台前方まで歩み、2人で蜘蛛の糸を飛ばすサービス。カーテンコールは2回ほどあったが、スタオベはなく、ブラボーの声も疎らだった。

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