2019年10月3日木曜日

10月3日 第1回ことのは会

言葉を使う芸能の競演とのことで、今回は落語の桂吉坊、文楽の芳穂太夫・友之助、木ノ下歌舞伎の木ノ下裕一が出演。

全員によるご挨拶ののち、吉坊の落語「ツメ人情」。失敗ばかりで破門されそうな若手人形遣いを、ツメ人形が助ける、異色の人情噺?

新作浄瑠璃「赤頭巾奉行剪刀」
赤い紋付に紅の裃、赤い座布団。友之助は三味線の駒も赤(どこで買ったのか?)
童話の赤頭巾を義太夫節で。突如時代がかった言葉遣いになったかと思えば、オペなと現代語がでたり、狼が悪人らしく笑ったり(大笑いにしては短め)、面白い作りだった。三味線は友之助が「凝りすぎた」と言っていたが、古典で聞いたフレーズがふんだんに盛り込まれて楽しかった。

休憩を挟んで、合作「梅川忠兵衛」。プログラムに「前 木ノ下裕一/奥 芳穂太夫 友之助/後 吉坊」とあり、木ノ下さん何するのかと思ったら、前説というか、レクチャー。梅川忠兵衛のタイトルは、「冥途の飛脚」「けいせい恋飛脚」のような、特定の作品を取り上げるのではなく、「梅川忠兵衛の世界」という意味だそう。近松の「冥途の飛脚」の前に、梅川と忠兵衛が出てくる話があるが、忠兵衛が梅川に騙されて金を運ぶ脇キャラだったとか。近松の冥途の飛脚とその改作のけいせいと恋飛脚、歌舞伎の「恋飛脚大和往来」へと続く流れ、違いなどを説明してくれ、頭の整理がついた。

奥は文楽「新口村」の後半、孫右衛門が登場するところから。共に初役だそうで力の入った熱演。もう少し柔らかみがあったらと思うところもあったが、聞き応えがあった。

吉坊は大正期に歌舞伎で作られたという後日談を落語化。忠兵衛は打ち首になったが、梅川は生き残り、再び廓勤めをしている。後を追わないのを薄情だと誹られる梅川を庇って八右衛門が身請けを申し出るが…という筋立て。吉坊は噂話に花を咲かす遊女たちの描写がうまく、途中、梅川忠兵衛の芝居を真似て幇間が踊るところも。芸達者ぶりを堪能した。



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