高麗屋三代の襲名はこれでもかという賑々しさ。
「箱根霊験誓仇討」
猿之助の代役で勘九郎が勝五郎、勘九郎に代わって愛之助が奴筆助と敵役の滝口上野。元の役よりもニンに合っているのではなかろうか。初花の七之助も凛とした武士の妻ぶり。
夫のために仇の言うなりになって命を落とす妻とか、妻の献身で病が治るとか、ありがちな話ではあるが、妻の霊?が滝のなかから見守ると言うラストが新作っぽいと思ったら、19世紀の作だとか。
勝五郎の脚が治る場面で、胡座のような姿勢からぽーんと飛び上がるのはどうやっているのか。凄い身体能力だ。
「七福神」
幹部俳優の勢ぞろいで賑やか。なにより、鴈治郎の大黒天がニコニコしてるのが可愛くて、福々しかった。
襲名披露狂言は「菅原伝授手習鑑」。「車引」は新幸四郎の松王丸に力がこもる。梅王の勘九郎、桜丸の七之助との並びもいい。勘九郎は教科書らしい丁寧な演技。七之助は化粧がシャープすぎるせいかロックバンドみたいに見えた。
「寺子屋」は猿之助の涎くりは楽しみだったのだが、期待したほどではなかった。源蔵の許しをえて遊びに行くところで子役たちを世話してあげるなど、賢さや分別が見え隠れして、無邪気なアホには見えなかったせいか。怪我をした左腕はまだ十分に動かせないらしく、力が入っていない様子だった。
新白鸚の松王丸はさすがの大きさがある。首実検では小太郎の首に向かって「でかした」と言ってから「…源蔵」と付け足す様子がはっきり。源蔵の梅玉は派手さはなく落ち着いた様子。戸波の雀右衛門に情があった。魁春の千代は白鸚といい釣り合い。園生の前は藤十郎で、出てくるだけで舞台が大きくなるよう。
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