「盛綱陣屋」
仁左衛門の重厚な義太夫狂言を堪能した。口跡の良さ、位取りの確かさ、心情表現の的確さ。スリリングな展開に息を呑む。圧巻は首実検。表情だけで雄弁に心情を語るのは、ト書きが聞こえてくるよう。
小四郎の勘太郎が健闘。多くのセリフ、所作を良くこなした。願わくば、セリフの先に健気さとか、哀れさが滲み出れば。名子役というには一歩足りなくて思った。今日初めて気づいたのだが、微妙に自害を勧められたときに、せめて武勲を立ててから、もっと生きたいとせがんだのは、高綱の身代わり首を成功させるため?恐ろしい子だ…。
微妙の秀太郎はさすが。小四郎を気遣い、優しく撫でてあげるところにグッときた。
寺島眞秀の小三郎はかわいいが、小四郎ほど難易度は高くなさそう。
四天王で一人誰だろうと思ったら、米吉だった。立役はあまりしないので見違えた。
「雷船頭」
猿之助の女船頭は踊りの名手らしく軽快。雷は弘太郎だが、あの化粧では誰だか分からず。
「弁天娘女男白浪」
幸四郎の弁天は、うーん…。出だしから可愛らしくなく、女に見えない。「尻尾を出しちまうぜ」からの豹変ぶりが際立たず、台詞回しもスカッとした気持ち良さが足りない。
猿弥の南郷に期待したのだが、猿弥らしさがなくてつまらない。高麗屋にセーブされたのかしら。
白鴎の日本駄右衛門はごにょごにょするセリフが聞きづらい。
勢揃いは一同並んで捕手が向かってくるところで幕。立ち回りはなかった。
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