「女鳴神」
本編の鳴神は上人の煩悩、人間の弱さを突くが、女鳴神は女の純情に付け入って騙すというのが。雲絶間助が酷い男にしか見えない。
孝太郎は生き別れた恋人に再開してからのいじらしさ、可愛らしさがあるものの、残念かな美男美女ではないので接吻が色っぽくない。
ぶっかえり後は口元がへの字に結んでいるようで、どこか悲しそう。
注連縄を切って飛び立つ竜は、そこそこ大きいのが3頭いた。
「傀儡師」
あまり印象に残らなかった。幸四郎は踊りの名手というほどではないので、踊り分けの面白さが出ていない。あの広い舞台を一人で持たせるのは厳しい。
「傾城反魂香」
あまり出ない高島館、竹藪から。後の虎の正体や、雅楽之助が何者かがよくわかる。
鴈治郎の雅楽之助は手足が短いので立ち回りがちょっとバタバタして見える。銀杏の前の米吉が可憐な赤姫。狩野元信の幸四郎は貴公子然としてよく似合う。
土佐将監閑居は白鴎の又平が、ただのどもりでなくて、歯抜けのようなフガフガ発音で何を言っているのか分からず、ちょっと足りない人みたい。同情しにくいのは可愛げがないからか。
猿之助のおとくは、前に観たときよりあだっぽい感じで、ちょっと冷たそう。絵を描き終えた又平が筆を手離せなくなったとき、手をさすってあげるくだりは情が感じられた。
虎は竹藪のところは2人がかりの着ぐるみでよく動いたが、ここでは剥製のような虎。同じ虎に見えないのは逆効果ではなかろうか。
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