2019年3月24日日曜日

0323 MONO「はなにら」

火山の噴火で家族を失った遺族たちが疑似家族として暮らす。隣り合う2軒の一方には1人の青年と2人の娘という子ども世代と3人の父親、もう一方には父と娘。災害から20年たって、それぞれの関係性に変化が生まれようとする。結成30年の記念とすると、手放しで喜んでいるばかりではないような。ずっと変わらずにいられたらいいけれど、変わることも悪くない。すれ違いや勘違いで笑わせるのはいつものMONOらしい。 息子役の渡辺啓太がよく目立った。妹の洗濯物を間違えてしまってうろたえたり、すねて部屋に引きこもったり、東京へ行った兄との確執とか、物語のカギとなる役どころ。大きな体で陽性な雰囲気が好印象。父世代の3人、水沼健、奥村康彦、土田英生は幼馴染がそのまま大人になったような関係が、実際のMONOメンバーと重なる。家事一切を引き受けて家族への思い入れが強い娘の高橋明日香、ちょっと拗ねて家族から離れたい石丸真菜美が好対照。
もう一方の父(金替康博)と娘(立川茜)は夫婦みたいとからかわれるくらい仲のいい父娘。こういう関係ってどこかにいそうと思わせる。

2019年3月22日金曜日

0320 狂言風オペラ「フィガロの結婚」

昨年上演の好評をうけての再演を大槻能楽堂で観た。 正直、昨年の初見のほうが面白かったのは、能楽堂の舞台が一因か。後座のあたりに衝立替わりの白い布を張って視界が遮られ、義太夫の床は笛柱の前あたり、管楽八重奏は橋掛かりにズラリと並ぶ。狭い空間に押し込められているようで、窮屈に見えた。冒頭、山本善之が黒子の格好で拍子木を打ちながら登場するのだが、音色が安定しなくて、音響のいい能楽堂ではちょっとうるさかった。
再演でこなれてきたせいか、蘭丸(山本)が吉本興業の「こんにちは」のギャグをやって、お花(茂山茂)に「そのクオリティーでようやった」と突っ込まれたり、三味線の友之助と役者の絡みが増えていたり。

3月17日 三月大歌舞伎 夜の部

「盛綱陣屋」
仁左衛門の重厚な義太夫狂言を堪能した。口跡の良さ、位取りの確かさ、心情表現の的確さ。スリリングな展開に息を呑む。圧巻は首実検。表情だけで雄弁に心情を語るのは、ト書きが聞こえてくるよう。
小四郎の勘太郎が健闘。多くのセリフ、所作を良くこなした。願わくば、セリフの先に健気さとか、哀れさが滲み出れば。名子役というには一歩足りなくて思った。今日初めて気づいたのだが、微妙に自害を勧められたときに、せめて武勲を立ててから、もっと生きたいとせがんだのは、高綱の身代わり首を成功させるため?恐ろしい子だ…。
微妙の秀太郎はさすが。小四郎を気遣い、優しく撫でてあげるところにグッときた。
寺島眞秀の小三郎はかわいいが、小四郎ほど難易度は高くなさそう。
四天王で一人誰だろうと思ったら、米吉だった。立役はあまりしないので見違えた。

「雷船頭」
猿之助の女船頭は踊りの名手らしく軽快。雷は弘太郎だが、あの化粧では誰だか分からず。

「弁天娘女男白浪」
幸四郎の弁天は、うーん…。出だしから可愛らしくなく、女に見えない。「尻尾を出しちまうぜ」からの豹変ぶりが際立たず、台詞回しもスカッとした気持ち良さが足りない。
猿弥の南郷に期待したのだが、猿弥らしさがなくてつまらない。高麗屋にセーブされたのかしら。
白鴎の日本駄右衛門はごにょごにょするセリフが聞きづらい。
勢揃いは一同並んで捕手が向かってくるところで幕。立ち回りはなかった。




3月16日 三月大歌舞伎 昼の部

「女鳴神」

本編の鳴神は上人の煩悩、人間の弱さを突くが、女鳴神は女の純情に付け入って騙すというのが。雲絶間助が酷い男にしか見えない。
孝太郎は生き別れた恋人に再開してからのいじらしさ、可愛らしさがあるものの、残念かな美男美女ではないので接吻が色っぽくない。
ぶっかえり後は口元がへの字に結んでいるようで、どこか悲しそう。

注連縄を切って飛び立つ竜は、そこそこ大きいのが3頭いた。

「傀儡師」
あまり印象に残らなかった。幸四郎は踊りの名手というほどではないので、踊り分けの面白さが出ていない。あの広い舞台を一人で持たせるのは厳しい。

「傾城反魂香」
あまり出ない高島館、竹藪から。後の虎の正体や、雅楽之助が何者かがよくわかる。
鴈治郎の雅楽之助は手足が短いので立ち回りがちょっとバタバタして見える。銀杏の前の米吉が可憐な赤姫。狩野元信の幸四郎は貴公子然としてよく似合う。

土佐将監閑居は白鴎の又平が、ただのどもりでなくて、歯抜けのようなフガフガ発音で何を言っているのか分からず、ちょっと足りない人みたい。同情しにくいのは可愛げがないからか。
猿之助のおとくは、前に観たときよりあだっぽい感じで、ちょっと冷たそう。絵を描き終えた又平が筆を手離せなくなったとき、手をさすってあげるくだりは情が感じられた。
虎は竹藪のところは2人がかりの着ぐるみでよく動いたが、ここでは剥製のような虎。同じ虎に見えないのは逆効果ではなかろうか。



0315 劇団新感線「偽義経冥界歌」

今まで観た新感線の作品の中では一番面白かったのだが、2幕目になるとやはり長いと感じてしまった。物語があまり進まないまま殺陣が延々と続くのだもの。
効果音と照明に惑わされているような気もするが、筋立てが明快で、話に引き込まれた。主役の源九郎義経役の生田斗真は、おバカキャラを作りすぎに感じたが、スピード感のある殺陣を良くこなし、舞台を引っ張った。黄泉津の方のりょうは怪しくも美しい存在感。静歌の藤原さくらの憂いを帯びた歌声が印象的で、舞台を引き立てた。

0314 キューティーブロンド

神田沙也加がキュートな金髪娘を体現。日本人離れした金髪やピンクの衣装が違和感なかった。役に合った可愛い声で、歌唱にも安定感がある。
冒頭の女性陣のキンキンした声に閉口したが、物語が進むにつれましにはなってきた。が、金髪への偏見を覆す話なのに、ゲイや郵便配達のマッチョ男の描き方がステレオタイプなのはいかがなものか。

2019年3月12日火曜日

0311 唐版 風の又三郎

詩的なセリフ、登場人物が入り乱れる混とんとした展開は唐十郎らしいのだが、アングラらしい淫靡な雰囲気が乏しく、とても健康的だったのは、エリカ役の柚希礼音のキャラクターゆえか。赤いスリップ姿になっても、女っぽくならず、中性的というか、色気を感じなかった。又三郎を名乗るところは元男役を生かしたのかもしれないが、背が高いせいもあって少年ぽくはない。
織部役の窪田正孝は飄々とした雰囲気がよく、エリカにひかれて別世界に迷い込んでしまったよう。唐の世界観に合っていた。ラストの飛行機に乗り込むところで足を引きずり、柚希が助けていたのは演出かと思っていたら、どうやらケガをしたらしい。カーテンコールでは柚希に肩を借り、片足飛びで登場していたので、結構重症なのかと心配。
2幕の航空学校のシーンで高田(丸山智己)に特別な感情を抱く少年役が目を惹くなあと思ったら、大鶴美仁音だった。3幕の花嫁姿でも存在感があった。
教授役の風間杜夫、三腐人の石井愃一、金守珍、六平直政というシニア組は紙おむつを履いたり、尻に菊の御紋をつけたりと振り切った演技でよくやるよと思った。北村有起哉の夜の男、山崎銀之丞の風の商人はちょっともったいない感じ。江口のりこの桃子も。

0310 狂言五笑会 特別公演

「雁礫」は山下守之の大名、増田浩紀の道通りの者、井口竜也の仲裁人。山下が弓を射るために肩衣を脱ぐところでもたついて、ちょっとハラハラ。
「鎌腹」は鈴木実の男に千三郎の女、七五三の仲裁人。鈴木は師匠の胸を借りて力いっぱいという感じ。女から逃げわめきながら橋掛かりを登場する出だしから、しゃべりっぱなし、動きっぱなしの熱演だった。
最後は島田洋海の「釣狐」の披き。漁師の茂、後見に千作と千五郎がつく。
釣狐って難しいんだなあというのが感想。決まり事が多くてこなすのでもたぶん一杯いっぱい。狐の仕草や言葉の面白さを出すところまでは至らなかった。島田は緊張のためか、はじめの20分ほどのところで衿元が汗でびっしょりになるほど。

0309 清流劇場「壁の向こうのダントン」

ダントンの死を翻案。赤い椅子を積み重ねて壁を表現し、後方には青い門、白い床でトリコロールの舞台装置。白シャツにデニム 男優はジーパン、女優はデニムスカートという衣装はトリコロールの色ということと、民衆らしさの表現か。
ダントン役の田村K-1は滑舌がやや悪いのが難点。カリスマ性のある知的な政治家というより、肉体労働の兄ちゃんみたい。陰のロベスピエールに対して陽のダントンという明るさは体現していた。
ロベスピエールは高口真吾。比較のせいか、セリフの上手さが際立ち、弁の立つ政治家らしい。
民衆が蜂起する場面などで合唱が用いられたのがよかった。コーラスに厚みがあり、ミュージカルの一場面のような説得力があった。レミゼの民衆の歌を思った。

0308 KUTO10「ふるえて眠れ」

蟷螂襲の脚本にわかぎえふの演出というので期待したのだが、正直退屈だった。予告なくリーディングで、役者たちが脚本を手にしながら演じていたのに戸惑ったのが一つ。(ホンの上りが遅かったから?)そのせいか、セリフが十分に入っていない感じで、気持ちが乗り切っていないのか、響いてこなかった。90分ほどだったのに、とても長く感じた。場面転換のときに役者がゆっくり動く演出は面白く、照明は効果的だった。

0308 OSK「新撰組コンチェルト」

楊琳の土方歳三が格好いい。ダンスのキレの良さは以前からだが、歌も明朗な良く通る声で聞かせた。トップに近くなって、風格が出てきたのか堂々たる主役ぶり。永倉新八役の栞さなもよかったな。
新撰組だから仕方ない部分はあるものの、娘役の役柄がかなりら残念。祇園の芸妓なのだが、隊士らに黄色い声をあげるファンのような位置付け。たまたま一緒になって鴨川端を歩いたのが唯一の思い出って、関係が薄すぎる。どうせフィクションなのだから、何かで恩があるとか、きちんと絡みを作ってもいいのでは?単なるファンが、死んだ隊士に思いを馳せるとか、必然性ないでしょう。3人とも流暢な京言葉で、セリフも上手いのに、つくづく残念。

0307 ヘンリー五世

前作のヘンリー四世の映像から、王となったヘンリー(=松坂桃李)一行が、かつての仲間フォルスタッフ(吉田鋼太郎)らが出会い、ヘンリーの変貌振りを見せつけるところはよかった。フォルスタッフの衣装から早変わりで進行役となった吉田が舞台をすすめていくのだが、「皆様の想像力で補って」と繰り返すのはいかがなものか。舞台の上で場所が変わったり、少人数で大軍を表したりというのは、演劇の約束事や前提で、誰も舞台が現実そのままだなんて思っていない。改めて言及しなければならないくらい、まずいできなのかと演出力に疑問符がついた。
目まぐるしく場面が変わる割に、言葉で説明するところが多くて、退屈に感じるところも。移動が多いとはいえ、客席降りを多用するのも安易。心配事があったこともあり、芝居に入り込めなかった。ネギとか変な笑いを狙うのもなんだかなぁ。
松坂はセリフが薄っぺらく、身体表現も洗練されておらず、舞台俳優としての魅力に乏しかった。フランス皇太子役の溝端淳平は発声がよく、よほど目を惹かれた。フランス王の横田栄司も存在感が際立った。

0304 坂東玉三郎特別公演

「阿古屋」
玉三郎の阿古屋は花道の出で場を圧倒。新調の打掛を存分に見せる。三曲の演奏では長唄を舞台上手の2階部分に置く。阿古屋の下手に居ると同じ方向から音が聞こえるので一体化して聞こえるが、阿古屋との距離があると役者の演奏のアラが目立つような…。(舞台に近い席だったからかもしれないが)竹本との合奏は耳に楽しかった。
彦三郎の忠長はちょっと風格が足りない気がした。亀蔵の岩永は人形振りとしては十分の上手さだが、玉三郎の岩永と比べると人間臭く、滑稽さに欠けた。

「太刀盗人」
踊り上手の彦三郎、亀蔵兄弟の本領発揮で可笑しみが十分。

「傾城雪吉原」
紙吹雪の雪の中、白地に雪輪模様の打掛が映える。小品ながら、美意識の詰まったひと時。

3月2日 文楽京都公演 Aプロ

解説は芳穂。淀みないトークは年の功だが、梶原平三景時の名前が出てこなくてプログラムをカンニングするのはいいとして、らつこさんの漫画ページをみるのはいかがなものか。ネタか?

「義経千本桜」
椎の木の段の口は南都・燕二郎。南都の語りは堅実。情景を過不足なく描く。燕二郎も丁寧な演奏に好感。
奥は咲・燕三。咲は2月よりもさらに声が出て、復活といっていいくらい。権太は仁左衛門のような愛嬌はないけれど。

すしやの段は前が津駒・宗助。こちらも珍しい組み合わせだが、津駒と組むと宗助は寛治の系譜なのだと分かる。前半の1時間ほどはあまり見せ場がないようにも思うのだが。
後は織・清志郎。語り出しが維盛一行が隠れ家に落ちていくのを知った権太が飛び出してくるところから。のっけからアクセル全開な感じ。暑苦しいほど濃厚な床だった。

人形は玉男の権太に和夫の維盛。人間国宝をもったいなくないか?若葉の内侍の紋臣に目が行った。権太女房は紋吉、倅善太は簑悠だったが、歌舞伎と違って身代わりになるところは出遣いではないのね。

3月2日 文楽京都公演 Bプロ

解説は小住。ジーマークの弄りもあっさり

「義経千本桜 道行初音旅」
芳穂、靖、碩に清馗、寛太郎、錦吾、燕二郎という、若手会のような顔ぶれ。シンの力不足かガチャガチャした印象。二枚目の音がクリアに聞こえた。
人形は文昇の静に清五郎の忠信。清五郎の狐がぎこちなく、忠信になってからも間を持て余しているよう。鼓に擦り寄るところが、静の耳元に顔を寄せているようで、ドキリとした。

「新版歌祭文 野崎村の段」
中を碩・富助。異例の組み合わせだが、のびのびした語りは好印象。たまに声が大きすぎるのと、クセが強いところがちょっと気になった。
前は小住・勝平。勝平の三味線はおおらか。小住はおみつやお染など、女性の語りに難あり。
後の靖・錦糸はこの布陣の中では抜群の安定感。ツレの寛太郎は間合いが取りにくそうだった。

2019年3月2日土曜日

0302 第三回瑠璃の会

前半は「仮名手本忠臣蔵」から3段。
「殿中刃傷の段」は呂秀、呂響に駒清。呂秀が師直、呂響がそのほかという役割分担で全体的に呂秀のほうが目立った。呂秀はよく通る声で、ビブラートの利いた語りだが、声がとんがっている感じで耳に触る。呂響は全体的に苦しそうだった。とはいえ、2人とも去年に比べると各段の進歩(←えらそう)。
「裏門の段」は住年・住静。住年はブランクのためか硬いようだったが、「刃傷」の2人に比べると義太夫節らしい。住静はミスタッチも散見されたが、鳴りがいいというか、音がよく出ている。
「早野勘平腹切の段」は土佐恵・駒清。土佐恵の語りは与市兵衛女房が秀逸。女流の強みなのか、老母の心情が浮き出て聞こえた。一方、腹切りの場面などはあっさり気味。駒清の三味線は手はよく回るが、音が遠慮がちに聞こえる。
後半は増補忠臣蔵の「本蔵下屋敷の段」で住蝶・住輔に住静の琴。住蝶の語りはバランスが取れていて聞きやすい。クライマックスの琴が入るところで、不協和音?

0301 サファリP「悪童日記」

女性キャストを加えて再構成。題材は同じだが、脚本から初演時とはだいぶ違っている。初演時よりセリフに重きがおかれた印象で、ダンス要素も増していた。初演ほどの衝撃度はなかったが、これはこれで一つの在り方。
6つのローテーブルのような装置を移動させて家や路などを表現するシンプルな舞台美術、役柄がくるくる入れ替わり、言葉より体で語らせる演出は初演を踏襲。赤、青、紫のTシャツを着せて色彩を加えたところは、モノトーンだった初演時とは違う印象だが、色彩が過剰にも感じた。
ストーリーの明確さでは初演時のほうが伝わったが、余白が多いというか、観客にゆだねる部分が多く、想像力を刺激された。

2019年3月1日金曜日

0227 上方伝統芸能フェスティバル「船弁慶三体」

大阪城公園に新設されたクールジャパンパークオーサカのオープニング企画で、講談の旭堂南龍を進行役に、能、文楽、筑前琵琶、落語が出演。この日は「船弁慶」をテーマにそれぞれの芸能が競演する趣向。 劇場の真ん中に能舞台をしつらえ、四つ角には短い柱を立てた構造。三方を客席が囲み、舞台の後ろには桜が活けてある華やかさ。ただ、椅子は会議室にあるようなもので、座り心地はよくない。
半能「船弁慶」は山本章弘のシテに福王知登のワキ。子方が脇柱のあたりで座る場面で、後見(父親?)の人が手首をつかんで何か小声で注意していたのでびっくりした。普段の能舞台よりも客席との距離が近く、しかも普段は壁で隔たれる地謡座のあたりも客席になっているので、細かい仕草も丸見え…。天井が抜けているせいか、声の響きがよくなかったように感じた。地謡が舞台の後方にいたせいかも。
文楽は「義経千本桜」の「渡海屋」の一部。呂勢・宗助の床に玉男の知盛。舞台を大きく使っての人形はダイナミック。こういう人形で足遣いの動きが良く見えるのは興味深かった。足をさっと出して力強く足踏みするところとか。
筑前琵琶「船弁慶」は奥村旭翠。派手さはないが、深みのある声がよく通る。船弁慶という曲の特徴か、同じような節が繰り返され、あまり起伏がなかったように感じた。
落語は月亭文都。初めて聞いたが、マクラがやたら長く、あまりうけない小咄をいくつも続けたうえ、本編が早口でせわしない。あんまり早口だと間が悪くなって面白くなくなるのだなあ。
進行役の南龍の役割は、それぞれの芸能の特徴や他の芸能と比べてみる際のポイントなどを指摘することだと思うのだが、ピンと外れの話が多かった。受けを狙っていろいろ小ネタを挟むのだがセンスがいまいちで、笑いも取れず。講談は久しぶりに聞いたが、そしてそれは古典ではなくてこの公演のために俄作りしたものだが、テンポが悪く、ちっとの面白くなかった。口裁きはいいのになあ…。

0224 システィーナ歌舞伎「TAMETOMO」

30分の休憩を挟んで3時間20分の長丁場。オープニングや場面転換のところで度々元歌劇のダンスや歌が入るのが冗長て退屈に感じたところもあったが、最後の立ち回りが迫力あって面白かったので、まあいいかという気持ちになった。
物語の運びは粗く、嵐を鎮めるために白縫姫は海に身を投げたはずなのに、どうやら皆遭難したらしかったり、為朝がいつのまに琉球へ来たの?とか、乗り移った白縫姫が急に大立ち回りを演じるので、え?姫は武術の達人だったっけ?となったり、アーサー王のごとく岩から剣を抜いて琉球王となった為朝が敵を倒すや息子に剣を譲ってしまったり、えー⁉︎という展開が多々あった。
上方歌舞伎チームの立ち回りが少人数の割に見応えあり。愛治郎は愛之助と一対一で斬りむすんだり、バク転を披露したりと活躍。折之助が女形だけでなく、立ち回りでも健闘してたのも頼もしい。千次郎は出てくると芝居が引き締まり、もはや安定感がある。
壱太郎は立ち回りだ刀流で剣を振り回す奮闘ぶり。対して愛之助は特筆すべきものがなかったような…。弓だけ持って立ち回りしたって、敵を倒せるわけないじゃん。
吉弥の毒婦ぶり、猿弥のラスボス感、国矢の小悪党と役者が揃ったので、楽しめた。
愛一郎はお笑い担当というか、怪我をした愛之助を介抱する場面での胸や尻に詰め物をした不細工な女やプロレスシーンでのオネエの覆面レスラーなど。これで喜ぶ客もいるのかもしれないが、いい加減辟易した。翫政の珍しい女形は面白かったけど。

0222 若手素浄瑠璃の会

「尼崎の段」は碩・清允。少々固いところも含めてフレッシュな演奏。碩はいい声で、光秀の家臣の語りなどは勢いがあってよかったが、拍手が出るほどではなかった。女義のクセがついてると聞いたせいか、ところどころ女義っぽいと感じるところがあった。三味線の手数が多く弾きがいがありそうなので、三味線メーンの配役なのかも。清允は時折音がこもるところもあったが、よく弾いていた。

「堀川猿回しの段」
芳穂・友之助に燕二郎のツレ。
熱演なのだが、今ひとつ面白くないのは真面目すぎるからか。世話物なので、手練れ感というか、力を抜いたところも必要なのかも。友之助も緊張感か感じられた。バランバランと激しく弾くところも。
ツレ弾きは最初と最後なので、中盤は舞台袖に引っ込んでいた。

0219 夫婦漫才

大地真央の若いこと!夫役の中村梅雀と同い年とは役の上では5歳下の設定だったが、10は離れているように見えた。
夫婦げんかがすでに漫才になっていて、テンポのいい掛け合いが本職の漫才師よう。立て板に水の大阪弁もさすがネイティブというか。途中、ミュージカル風に子供と歌って踊る場面もあり、大地の衰えぬ魅力を堪能した。

0218 ベルサイユのばら45

初演のアントワネット、オスカルから平成までのキャストが揃い、宝塚のベルばらの歴史を振り返る。VTRの名場面もあり、昔のキャストのほうが芝居に厚みがあり、ベルばらの世界を体現していたように思った。逆にいうと、最近のキャストは芝居が軽すぎて、小恥ずかしさが増してしてしまう。大仰に演じて、しかもその間を保てないと。歌舞伎や新派に近いのかも。