俊寛の前後を付けた「通し狂言」とのことだが、原作にあるらしい常盤御前や義経の話は入らず。芝翫が清盛と俊寛の二役。
「六波羅清盛館の場」は俊寛が島に残ると決意する要因になる東屋の自害の様子が描かれる。芝翫の清盛は国崩しらしい暴虐ぶり。東屋は孝太郎。この手の役は手に入れている感じ。東屋に同情的な清盛の甥、教経に橋之助。爽やかな風情がいいが、東屋の首を打つとき刀を抜くのがもたつく。もっと手早くやってくれ。有王丸の福之助は動きに稚拙さが残るが、力一杯。
「鬼界ヶ島の場」はやはり好きになれず。俊寛が高僧のわりに潔くないのぎ腑に落ちないのだ。芝翫は船を見送る慟哭の様子が激しく、そんなに後悔するなら始めから島に残るなんて言うなと思ってしまう。最後の最後で諦観した様子で遠くを見ているのはよかった。慎悟の千鳥は健康的な田舎娘の所作なのだが、化粧のピンクがきついのか、ケバく見えたのが惜しい。亀鶴の瀬尾は手足の赤さに比べて顔が白すぎないか?
「敷名の浦磯辺の場 御座船の場」
清盛が後白河院を海に投げ込んだり、千鳥と東屋の亡霊が現れて業火に焼かれたりと、怒涛の展開。千鳥が泳いで後白河院を助ける大活躍。ただの田舎娘が俊寛娘という意識で何でこんなに政情をる知っているのかとは思ったが。
有王丸の立ち回りが水の中。浅瀬なのかもしれないが、倒れた敵は溺れるだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿