2018年10月23日火曜日

1017 ミュージカル「タイタニック」

セリフが少なく、歌唱で物語が進行するので、歌の上手い役者を揃えたのは正解。二等客のキャロライン役な菊池美香が多彩な表現力があってよかった。夫婦やカップルが救命ボートとデッキに分かれるシーンは感動的だったけれど、泣けるほどではなかった。前の席の客は盛大なすすり泣いていたのでびっくり。ただ、後味の悪い物語だ。タイタニックの史実に基づいている以上仕方ないのではあるが、最大の山場がオーナーと船長と設計士が責任のなすり合いをするところというのがなんともやりきれない。誰にも感情移入できないし。記録にこだわるオーナーは当然だとして、船長が押し切られるというより自ら進んで速度をあげようとしているように見えるのが不可解だった。設計士が主役というのもよく分からない。最後に設計上のミスに気づいて歌い上げるソロはあまりに後の祭りすぎて、蛇足にすら思える。オーナー役の石川禅が船長や船員への居丈高な態度から我先に救命ボートに乗ってしまう卑劣さまで、嫌な奴ぶりが際立った。
大掛かりな舞台装置はなく、不穏な音楽で危機が迫るようすを暗示したり、音と照明のみで氷山の衝突や船が沈む様子が伝わった。

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