2018年6月20日水曜日

6月16日 花形新派公演「黒蜥蜴 全美版」

期待してたけど、それを上回る素晴らしさ。河合雪之丞の黒蜥蜴は美しく、妖しく、儚げ。喜多村緑郎の明智 はクールで格好良く、でもどこか屈託がある。犯罪への好奇心を隠そうともしない少年っぽさがいいアクセントになっている気がする。主役の2人のは絵になるだけでなく、緊張感のある駆け引きがスリリングで官能的だ。通天閣での身代のやり取りのあと、警察や他の盗賊たちに追われる黒蜥蜴を明智が逃すところでは立ち回りや早替りでも見せ、2人がたがいの過去を打ち明ける場面など増えていて、関係を丁寧に描く。明智と黒蜥蜴が、裕福な家庭に生まれたよく似た境遇であったと分かり、似たもの同士、生きき別れた双子だと認め合う、。命を救ったお礼をと言う黒蜥蜴に対し、本当の名を尋ねるも邪魔が入って叶わず。「君のことは何も知らない」という明智のセリフがラストにも効いてくる。
冒頭、ラメの黒い着物の裾から覗く黒蜥蜴の足が網タイツなのはいいとして、スリッパのような靴がもっさりしてるとか、顔の輪郭ラインのやけにピンクのきついメイクとか、残念なところもあったけど、そんな欠点が気にならなくなるほどの面白さだった。

他のキャストもはまっていて、波多野警部役の今井清隆の歌や洒脱なセリフ、チンピラっぽいギラギラした感じがはまっていた雨宮役の秋山真太郎、チャイナドレスを着てるなお美しい紅子(河合宥季)の女らしさ。早苗役の春本由香も新派らしい大仰なセリフ回しが板についていた。

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