2019年4月23日火曜日

4月21日 四月大歌舞伎 夜の部

「実盛物語」
仁左衛門の実盛はすっきりとした立ち姿が美しく、口跡のよさに聞きほれる。瀬尾が小万の死骸を蹴り飛ばすところでの表情が雄弁で物語の深みが増す。瀬尾十郎は歌六。大きさがあってよい。
九郎助、小よし夫婦は松之助、斉入で、いい老夫婦ぶり。葵御前の米吉は美しいが、少し気品が足りないか。
倅太郎吉の寺島真秀は頑張っていたけれど、ちょっと間が悪いところも。小万の死を知ったところでの反応が早すぎるとか。

「黒塚」
猿之助の岩手。照明を駆使した演出で、凝っていたのだけれど、え?黒塚ってこんなだっけという感じ。しみじみとした哀れさがなくなってしまったよう。
阿闍梨祐慶の錦之助がキリリとした二枚目。山伏は種之助と鷹之資。鷹之資は所作がきれい。強力の猿弥がコミカルな演技だけでなく、踊りのうまさもあって楽しませた。

「二人夕霧」
伊左衛門(鴈治郎)と後の夕霧(孝太郎)、弟子いや風(弥十郎)、てんれつ(萬太郎)、小れん(千之助)のコントのようなやり取りは面白いのだが、中盤からの舞踊要素が多くなったあたりからしんどくなった。先の夕霧の魁春は背が曲がっているようで、若々しい華やぎに欠けるような。二人の夕霧との痴話げんかが、なぜか2人とも妻にすることで収まり、最後は伊左衛門の勘当が許されて大団円。なんだかなあ。

0 件のコメント: