「東の旅」の前半を一気に上演するという。休憩を挟むものの、5時間半近く。なかなかの苦行だった。
聞くと、「東の旅」という続き物として作られたわけではなく、伊勢参りの道中にはまる噺を集めたものらしい。道理で、喜六と清八がほとんど出てこない噺もあるわけだ。
「東の旅発端」を月亭秀都。緊張していたのか、間違えて同じセリフを繰り返していたような。見台を打つ音がやかましく、声が良く聞こえない。後で文我が話したところによると、小拍子や張扇をリズミカルに打って噺のテンポを掴んだり、発声を訓練したりするそうだ。
桂文我「奈良名所」は奈良の名所を羅列したような噺。森乃石松「野辺」(記憶にない…)、桂福丸「煮売屋」、月亭文都「七度狐」、桂文三「軽業」、桂文我「軽業講釈」は露店で軽業屋の隣になってしまった講釈師があまりうるさくしないよう軽業師に抗議して…という噺。文我は実際に東の旅の道中を歩いて旅した経験を交えて、噺にリアリティを加える。他の出演者は時間の制約があるのか、マクラなしで慌ただしかった。
仲入りを挟んで、桂宗助「うんつく酒」、桂米平「常大夫儀大夫」、桂文我「鯉津栄之助」と続く。このあたりに来ると、キャリアのある噺家なので聞きごたえがある。「うんつく酒」は田舎者に「どんつくめ」と言ったのを聞きとがめられた清八と喜六が適当なことを言って酒席にありつく。常大夫、義大夫は浄瑠璃語りの振りをした2人のドタバタ。「鯉津栄之助」はお殿様の名前で、「こいつはいい」と言ってはいけない集落。
再度の仲入り後は林家染吉「三人旅」、笑福亭生喬「浮かれの尼買い」、桂文我「宮巡り」。
冒頭と仲入りのあとは、伊勢神宮のおかげ茶屋の人とのトークを挟んで、ちょっと気分転換。だがそのせいで長くなった面もあり、痛しかゆしというか。
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