「翁」
面箱の茂山忠三郎が似合ってた。
翁の舞が終わったあたりで、舞台の下から鹿が乱入。
湿気のせいかびっくりするほど大鼓が鳴らなくて気の毒なほど。力が入るあまりか前屈みになって烏帽子が外れそうになり、後見が支えていた。三番三の鈴も鳴らなくて、イマイチ締まらなかった。
「養老」
シテは大江広祐。後シテの舞がキリッとして良かった。手足が長いせいか、動きがダイナミック。舞い終わったところで、橋掛りの奥の楽屋の屋根に鳥の群れが横切る影が映る。偶然だが、計ったようなタイミングだった。
「雁礫」
茂山茂のシテに、井口竜也、千五郎。茂山家の人々が出てくるとなんだか落ち着く。狂言になると客席がざわざわするのはいつものことだが、よく笑いも起きていた。
「俊寛」
シテは素人さん?足取りが覚束なく、後見が度々体の向きを直してあげていた。
ワキは福王和幸、間の忠三郎と船に乗って、喜界島に流された流人の恩赦を伝える。仲間2人は許されたのに、ただ一人島に残される俊寛。船の綱を掴んで引き留めようとする俊寛の前に、ぷっつりと切れた綱が投げられる。呆然とした俊寛の哀しさがつのる。
「土筆」
(パス)
「羽衣」
羽衣だからかギャラリーは多かったのだけど、正直残念な出来。
「茫々頭」
(パス)
「三輪」
ワキの福王和幸の横顔に見惚れる。声よし、姿よしの人よな。
シテが素人さんだったらしく、後見だけでなく、地謡からも詞章や動きの指示が飛んでハラハラした。思いのほか前に出すぎた時なんか、慌てて飛び出そうとしてたものなあ。
この時点で終演予定の16時。このままいくと、18時くらいまでかかるんじゃないかと思って、「清水」と「融」は失礼した。
自然光での能公演を見てみたいと行ってみたが、朝方は舞台の上手側前方から差してた光が舞台の前方3分の1ほどまで届いていたが、正午頃には真上からになり舞台全体が日陰に、午後はだんだんと舞台下手に光が差してくる。多分、面の見え方も違ってくるのだろうけど、どう違うのかまでは判断できず。鳥のさえずりや、鹿の乱入、潮の満ち引きで後方の景色が変わるのが興味深かった。
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