2018年3月17日土曜日

0316 ムサシ

蜷川幸雄の三回忌追悼公演で、もうこんなに時間が経ったのかと思う。 巌流島の戦いの後日談で、卑怯な手段で勝った宮本武蔵(藤原竜也)を追って、佐々木小次郎(溝端淳平)が再戦を挑む。鎌倉に新しく建てられた禅寺の寺開きの参籠禅のため、徳川家指南役の柳生宗矩(吉田鋼太郎)、寺の大檀那である木屋まい(白石加代子)と筆屋乙女(鈴木杏)、武蔵らが集まったところへ、小次郎がやってくる。 謡や舞の場面があったり、生者と死者の邂逅だったりと、能仕立ての演出。殺し合いの虚しさを説くというテーマは大切だし、憎しみの連鎖を断ち切るというメッセージはいいのだが、無駄死にしてしまった死者たちが「命大事に」という展開で力が抜けた。 不意打ちを防ぐため、それぞれの足を結んで5人6脚にしたところでは、吉田の足を藤原と溝端が両側から引っ張るなど、ふざけ合うところもあって、カンパニーの雰囲気が垣間見えて楽しかった。

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