「女殺油地獄」
徳庵堤の段は靖の与兵衛、希のお吉・小菊、小住、亘、碩に錦糸。錦糸町の三味線が若手を的確に率いている印象。靖の語りは頼もしさを増しているが、与兵衛にしてはしっかりしすぎているというか、真面目過ぎるというか。小住が力強い。碩が娘お清と花車。女性の高音が意外によい。
河内屋内の段の口を咲寿・団吾。ぎょーてーぎょーてーはともかく、終始甲高い一本調子の語り。のびのび語るのは結構だが、元気ならいいという時期ではないと思うのだが。
奥は津駒・清友。清友の三味線は淡々としていて、エモーショナルな津駒の語りが引き立たない気がする。
人形は、玉男の与兵衛は二枚目。母に勘当を言い渡されるところで、戸口にもたれて足を組んでいる姿がモデルのよう。簑助のおかちは15歳より老けて見えた。
豊島屋油店の段は呂・清介。そろりそろりと足を進めるような慎重な語りは声が通らないせいか、感動が薄い。「不義になって貸してくだされ」とか、脇差を抜いてからとか、狂気も色気も感じられない。
逮夜の段は呂勢・宗介。艶のある声が心地よい。七左衛門が母を亡くした娘たちを嘆くところでは涙が出そうになった。
0 件のコメント:
コメントを投稿