2017年8月17日木曜日
8月13日 杉本文楽「女殺油地獄」
冒頭、近松門左衛門による口上という体で杉本氏?が解説。女殺が衝動殺人を描いた意欲作というのはいいとしても、徳庵寺堤で与兵衛を裸にして泥を拭いてやったというのは??着物の泥を洗うために脱がせたけど、襦袢や下着まで脱がしたわけではなかろうに。豊島屋の段で自分を好いていると思っていた女に裏切られて殺意を抱いたというのも承服しがたい。お吉が気を持たせるような態度をとるのが悪いと言わんばかりなのは、男の身勝手ではないか。いろんな解釈があるのだろうけど、これが定説みたいな言いぶりで、普段文楽を観ない人も多い公演なので誤解を与えないか心配だ。
人形は玉佳(左は玉翔)で、執筆に疲れた近松がラジオ体操のような動きをするのが面白く、拍手が出てた。
続いて清治、清志郎、清馗による序曲、殺しのテーマ。ブルースギターのような演奏で、テクニックを駆使しているのがよく分かる。メガネをかけて譜面を繰る清治も珍しい。
豊島屋の段は前後に分けて、前は千歳・藤蔵の素浄瑠璃。お沢、徳兵衛の情は流石に聞かせたが、声の調子が悪そうだったのが惜しい。
奥は上手、下手に分かれて掛け合い。下手が与兵衛で、呂勢・清治に清馗のツレ。上手はお吉で靖・清志郎。呂勢は与兵衛にしては声が高すぎる気がしたが、靖が意外に良かった。掛け合いにすると話は分かりやすくなるのかも。
人形は手摺がないので浮遊してるみたい。舞台下駄なしだったので、足遣いだ大変そう。油で滑るところは、左右に加え、奥行きも活かして立体的なのはいいが、いかんせん、もともと浮いて見える人形なので滑っている感じがしなかった。
いろいろ書いたけど、悪いとまでは言わないが、時間物足りない短く物足りない。まあ、フェスティバルホールで観た「曽根崎心中」ほと酷くはなかった。人形もちゃんと見えたし。
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