2017年8月7日月曜日

0806 あべの歌舞伎晴の会「東海道四谷怪談」

晴の会初の古典は上出来で見応えあった。何より千壽のお岩が哀れさが際立っていて、伊右衛門に着物を剥がれて足蹴にされたり、「これが私の顔かいな」と嘆くところでは思わず涙が出た。宅悦とのやり取りでは怖がらせることに力点を置いて芝居をする人が多いのだが、千壽のお岩はただただ哀れ。四谷怪談で泣いたのは初めてかも。与茂七は珍しい立ち役で、スッキリとした男前の好演だった。松十郎の伊右衛門は一幕は凄みがたりず物足りなく感じたが、二幕の非道ぶりは仁左衛門を彷彿とさせる色悪ぶり。講釈師の千次郎が狂言回しで長い物語をコンパクトにまとめ、直助の小悪党ぶりも嵌ってた。三幕で真相を知った直助の一人語りもたっぷり見せた。やはりこの3人が中核なのだなと思う。りき弥はお袖とお梅の2役なのだが、美声だし可憐な女形ではあるのだが、役の違いとか感情の表現はもう一つ。休憩をはさんで3時間10分ほどと、当初の予定より伸びたようだが、長いとは感じなかった充実の舞台だった。

0 件のコメント: