2023年9月3日日曜日

9月3日 TTR能プロジェクト「和魂Ⅸ」

 観世流と金剛流の流儀競演。

舞囃子、観世流は大槻裕一のシテで「鏑木」、金剛流は豊嶋晃嗣の「天鼓」。

今回の出演者で最年少と最年長だそう。演目が違うから一概に比較はできないが、金剛の方が手数多いというか、たくさん動いているものの、動き自体は大らか。一方、観世は手数は少なくてもキリッとシャープな動きが印象に残る。

独吟は2曲、弱吟と強吟を聴き比べ。「井筒」のキリは観世流の齊藤信輔、金剛流の宇高徳成、「起請文」は観世流の大江信行、金剛流の宇高竜成。

金剛流の謡がのびやかなのは発見だった。全体的に抑制の効いた観世流に比べて、詞章が聞き取りやすい気がする。比べて聞くと違いがよくわかる。

仕舞は「鉄輪」キリの競演で、観世流の笠田祐樹、金剛流の山田伊純。

実験企画は「乱」を同時に、観世流の大江信行と金剛流の宇高竜成が舞う。同じ曲でもここまで違うかという驚き。金剛流は足で青海波を描くそうで、グッと屈んでから舞い始める。爪先立って舞台上を左右に動き回る金剛流に対し、観世流は移動が少ない。アフタートークによると、ぶつからないよう、大江は少し譲ったのだとか。

最後は「船弁慶」の舞囃子。観世流は「重キ前後之替」の小書が付いて、浦田保親のシテ、金剛流は「白波之伝」の小書で金剛龍謹のシテ。

観世流は扇を預けて最後まで薙刀を持って舞うのに対し、金剛流は後半に薙刀を捨てて扇で舞う違いが。

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