2023年9月23日土曜日

9月23日 「妹背山婦女庭訓」

春日野小松原から吉野川まで。両花道を使った華やかな舞台。

梅枝の雛鳥が可憐で。小松原で久我助を見初めるところで恥じらう初々しさ。それでいて、あざとはなく、良家の娘らしい品を保っている。

時蔵の貞高も素晴らしく、凛とした気品のなかに母の情愛を滲ませる。文楽と違って、雛鳥を打つところでは幾度も逡巡し、いざ手にかけると激しく慟哭する。心を大きく揺さぶられ、涙を誘われる。

一方の大判事家は、萬太郎の久我の助は背の低さが仇になって子どものようなのが惜しい。大判事の松緑は年齢的に難しい役とはいえ、くりっとした目鼻立ちがアニメキャラのよう(化粧のせいもあり?)周囲に比べて不釣り合いなくらい声が大きかったのも、そぐわない感じがした。セリフを通すのと大声は違うと思う。 そしてやはり、「覚悟の切腹、急くでない」の頓珍漢さにどうしても笑ってしまう。

というわけで、全体的に妹山の方に軍配をあげてしまう次第。

そういえば、床も両床なのだが、前半と後半で入れ替わる形。前半の妹山側は若い太夫で、声もよく検討していたけど、音楽的な情緒は文楽の方があると思った。三味線がね、なんか音が硬いのだ。
「抱き合い」のところは、(妹山)い〜、(背山)だ〜、(合わせて)きあいとなり、少しあっさり。

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