2019年7月18日木曜日

0711 青龍劇場「アルケスティス異聞」

ダブルキャストの白組。
突如死を迎えることとなったアドメトス(髙口真吾)はアポロンの計らいで、誰かを身代わりとすることで命を永らえることができるやうになる。が、年老いた両親に断られ、妻のアルケスティスが身代わりを名乗り出る。死を迎える日のアドメトスの狼狽ぶりは、笑いにもなりそうだが、案外シリアスに進む。
アルケスティス役の永津真奈が凛とした美しさ。淡々とした様子は何を考えているか分からず、ミステリアス。上海太郎が無邪気?なアポロンと老練な父の二役で存在感。ヘラクレスの倉増哲州は男前だが、アドメトス家の状況が分からないのはあまりに察しが悪く、アホみたい。
黄泉の国から戻ったアルケスティスは穢れのため3日間口がきけない。創作した3日後の場面で、生まれ変わった人生を自由に生きたいという。夫のために命を捨てた素晴らしい妻として賞賛される一方、妻を犠牲にしたアドメトスには負い目や周囲からの非難があるはずで、「鬱陶しいと思うようになる」というアルケスティスの指摘は至極もっとも。全てなかったことにして、元の生活を喜ぶことができるのだろうか?

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