2019年7月27日土曜日

0726 宝塚月組「ON THE TOWN」

古き良きアメリカンコメディ。珠城りょう演じるゲイビーがポスターで一目惚れしたミス・サブウェイのアイヴィ(美園さくら)を探す。ゲイビーの仲間、オジーの鳳月杏はクールな外見が珠城と好対照。チップの暁千星はキュート。
美園は写真より舞台のほうが大人っぽく綺麗に見える。人類学者クレア役の夢奈瑠音が落ち着いた雰囲気でよかった。

2019年7月24日水曜日

7月23日 夏休み文楽特別公演 第3部

「国言詢音頭」 大川の段は睦・清志郎。新しく作曲されたためか、三味線の手が凝っている。睦が健闘。
五人伐の段は中が織・藤蔵、奥が千歳・富助に清允の胡弓。
織はあまり見せ場のない場面で、ちょっともったいない。三味線はそれなりに弾き甲斐がありそう。
奥は殺しの場面もあり、おどろおどろしい。千歳の語りが怖い(表情も)。
首を落とした菊野の唇を舐りまわすとか、女郎の胴を真っ二つとか、残忍な殺しの表現は人形ならでは。玉男の遣う初右衛門が顔色一つ変えず(人形だけど)手当たり次第に殺していく。にもかかわらず、肝心の仁三郎をみすみす逃がしてしまうのはすっきりしない。許嫁には罪はないとはいえ、2人して逃げ延びてしまうとは。最後に本水がすだれのように降って、初右衛門の傘で受ける演出。

29日に再見。お客は増えている印象。あまりできのいい作品ではないと思うけど、B級ホラーみたいに楽しめると言えなくもない。
船頭役の玉延。役替わりの初日だからか、船の動きについていけてないように見えた。そのままだと船から落っこちちゃうとハラハラ。

7月22日 夏休み文楽特別公演 第2部

「仮名手本忠臣蔵」の五段目から七段目。都合で「身売りの段」から観劇。 盆が回って咲太夫と燕三が現れると、いつもよりも温かい拍手が。人間国宝認定をうけて祝福ムード。
肝心の語りは、テクニックに裏打ちされた安定感の一方、体力の衰えからか高音部の発声が粘つく。 「勘平腹切」は清治・呂勢。呂勢は調子が悪いのかしきりと鼻をかんでいて、思ったほどではなかったのが残念。勘平の悲哀より、残された与市兵衛女房の哀れさが印象に残った。
人形は和生の勘平が落ち着いた様子。一輔のおかる。 七段目は由良助の呂、おかるの津駒以下、総勢12人の太夫で、2~3人が入れ代わり立ち代わり。三味線も前半の宗助と後半の清友と入れ替わるので、慌ただしい。仲居の亘と碩は簾内から。声に個性が出て面白かった。
藤太夫の平右衛門は下手から「暫く、暫く」と駆け付けるはずが、声が近づいたり遠ざかったりするよう。ちょっと田舎っぽく、シュッとした二枚目ではない。
簑助のおかるは2階にいる間だけで、はしごで下に降りてからは一輔が代役。短い出番ながら、柱にしどけなくもたれかかっているところなど、色気にあふれる。勘十郎の由良助、平右衛門の玉志。

8月4日、5日に再見。
山崎街道出合いの段は小住・勝平。堂々とした語りを大らかな三味線が引き立てる。
二つ玉は靖・錦糸に燕二郎の胡弓。全体的に声が高いように感じた。与市兵衛は婆?という感じだし、斧定九郎は低音のほうが悪人らしい。
身売りは咲・燕三。祝福ムードはすでになく、淡々と。
勘平腹切の呂勢・清治が一番の出来。続けて聞くと物語に入り込めるのと、若手とは違った充実の語り。和生の遣う勘平は下を向いてじっと耐える様子。

7月21日 マシュー・ボーン「白鳥の湖~スワン・レイク ~」

マシュー・ボールのスワンが素晴らしかった。ロイヤルのプリンシパルだけあって、確かなテクニックに裏打ちされた踊りはため息のでる美しさ。可愛い顔を裏切る筋肉質な身体で、それがまた彫刻のような造形美。スワンのメークも意外によく似合っていた。白鳥の羽ばたきとか、クラシック出身のダンサーのほうが、動きにしなやかさがあっていい。2幕で王子の入水を止めたあと、ソロで踊り出すまでの間が長かった気がするのは、気持ちを整えていたから?
ストレンジャーは野性味は少なく、ノーブル。だけどサドっ気は十分で、危険な魅力を振りまく。2幕とはまるで別人。リフトはあまり得意ではないのか、スムースではないように見えたのが、唯一マイナスポイント。
王子のドミニク・ノースは気が弱そうな王子を造形。ああ、でもマシューにばかり目がいってしまって、あまり覚えていないかも。
今日初めて気づいたのだが、4幕のクライマックス、王子がベッドの上のスワンと見つめ合うところ、振りが鏡合わせのようになっているのね。2人の絆が感じられて切ないさが増す。
女王はニコル・カペラ。威厳があって、ちょっと冷たそうなところがらしくていい。それだけに、ラストの悲嘆とのギャップが痛々しい。ガールフレンドはカトリーナ・リンドン。キュートな感じで、女王より似合っていた。執事のグレン・グラハムも、計算高そうでよかった。

7月20日 マシュー・ボーン「白鳥の湖~スワン・レイク~ 」

ウィル・ポジアーのスワンは動物的。アティチュードが甘かったり、片足でのターンがぐらついたりとテクニック面で不足はあったが、ジャンプは高く躍動感があった。何より、2幕の王子とのパドドゥが幸福。ストレンジャーでは動物ぶりが発揮され、女王の手に口付けるところなど、食べちゃいそうな勢い。
王子のジェームズ・ラヴェルは表情豊か。2幕の幸せから転落していく様がつらい。
王女のカトリーナ・リンドンはちょっと威厳が足りないか。
新演出で、オープニングで幕に飛翔するスワンのシルエットが投影され、スワンクバーのラストで看板のスワンが飛び立って王子を湖に誘う。スワンクバーのマスターのシーンは振り付けも変わり、簡素化された印象。パンフレットによると、王子とガールフレンド、執事の行動をよりわかりやすくする狙いだとか。湖のシーンでは、白鳥たちに応じが担ぎ上げられる場面などが加わった。

7月19日 エイフマン・バレエ「ロダン」

ダンサーの肉体で彫刻を表現する写真に惹かれてチケットを買ったのだけど、正直「アンナ・カレーニナ」ほどの衝撃はなかった。
幕開きは精神病院の場面。ギョロついた目付きの女たちに混じって、狂気に堕ちたカミーユがもがく。セリフなしの演劇的表現が雄弁。
ロダンの工房では、創作に苦しんでいるロダンのもとに現れたカミーユが刺激となり、傑作が生まれる。粘土をこねるようにダンサーの手足を動かし、不自然なポーズをとらせ、彫刻が出来上がっていく様が面白い。カミーユとローズ、2人の女の間で揺れるロダンだが、終始どっちつかずなというか、むしろカミーユは利用しているだけみたいなところがあって、感情移入を妨げる。ローズは家に帰ったロダンに食事を、与え餌付けして離れられなくしているよう。
2幕のカミーユとロダンのパドドゥはドラマチックだったが、すぐにローズが割り込んで泥沼のようなパドトロワに。ラストは精神を病んだカミーユを患者たちが誘う背景で、創作に打ち込むロダンで幕。ただただ、カミーユが哀れ。
タイトルロールはロダンだけど、主役はカミーユと思った。
ロダン役のオレグ・ガブィシェフは一見普通の男のようで、芸術のためには犠牲を厭わない秘めた狂気をにおわせる。カミーユのリュボーフィ・アンドレーエワは長い手足をが美しいが、狂気に陥るにつれ捻じ曲げるようにした身体表現が哀れを際立たせる。ローズのリリア・リシュクはカミーユへの嫉妬をにじませながら淡々と妻の立場を主張して空恐ろしい。

2019年7月18日木曜日

7月18日 OSK SAKURA REVUE

「海神別荘」
幕開き前、薄絹を重ねたようなベールが海底の神秘を現し、衣装も洗練され、目に楽しい舞台。桐生麻耶のの公子は浮世離れした様子が役にあい、陸の美女役の城月れいははかなげな美しさ。約1時間の舞台で、陸と海の価値観の違いを超えて愛し合うまでを過不足なく描いたのは、演出の広井王子の力か。

「STORM of APPLAUSE」
春のおどりでも見た演目だが、より洗練されたような。スピード感のある展開で、黒いロングコートをまとって四季の「冬」で踊る場面はコンテンポラリーとしても見ごたえあり。楊琳がダンスで見せる場面が多かった印象。桐生は娘役としっかりデュエットする場面は少なく、複数の娘役を代わる代わる。リフトは少なく、腰をサポートする程度。あの体格だったら、もっと大胆なリフトが見たいきもする。桐生の魅力は踊りよりは、低音部の歌声の艶にあるのかも。
翼和希がロケットで新人の紹介をするなど、印象を残した。

7月16日 OSK SAKURA NIGHT「夢見ていよう」

「サクラ大戦」とのコラボで、帝国歌劇団の真宮寺さくら(横山智佐)が南座で公演中のOSKを訪ねるという設定。
横山ら声優陣は総じて歌が上手く、セリフも聞かせる。ダンスも意外に(失礼!)動きにキレがありびっくり。
前半はリハーサル風景で、名曲をつづり、後半はフランス革命を題材にした、貴族の男オンドレ(楊琳)と平民の娘(さくら)の恋物語。ベルばらを思わせる設定で、主人公のオンドレ(楊琳)を腹心の部下のラスカル(翼和希)が庇って銃弾に倒れるシーンが見どころ。どこか「愛あればこそ」を思わせる歌もあり。

0715 エイチエムピー・シアターカンパニー「女殺油地獄逢魔辻」

格子状の映像を投影し、登場人物たちが行き合う、交差点=辻を表現。
黒い衣装、顔の中心を丸く残した白塗りのメイク。スタイリッシュで時代を感じさせない。
お吉を与兵衛の実の母とし、河内屋の先代徳兵衛の妻で養母のおさわはお吉の姉ですでに亡くなっているという改変。義父と実の母、それぞれの与兵衛への愛情が描かれず、与兵衛は自分が本当は武士の子ではないかと疑い、現状を受け入れようとしない。肝心の殺しも、母殺しとなっては意味合いが変わってくる。
与兵衛の水谷有希、お吉の原由恵。豊島屋七左衛門のナカメキョウコが好演。
天井から張られたゴムに役者たちが絡まり、人形芝居だったというラスト。傍観者の男(田口翼)が結末は?と聞き、観客にも疑問を投げかける。能勢の法印(有北雅彦)、比丘尼(高安美帆)が、人形遣いのような役どころ。
ストップモーションで始まり、ラストもストップモーション。1人1人舞台からはけていくのだが、とても長く感じた。ゆっくりな動きで間を持たせるのは身体性が相当高くないと厳しいかも。


0715 ミュージカル「ピピン」

サーカスとミュージカルが一体となったよう。サーカスのテントの中のような舞台に、空中プランコやエアシルクなどアクロバットの装置。キャストの半分ほどはアクロバットの演者で、玉乗りやポールの演技などを繰り広げる。驚いて眼を奪われる一方、主人公の成長物語という本筋や登場人物の心情が霞んでしまうような。
ピピン役の城田優、リーディングプレーヤーのクリスタル・ケイら歌が達者。クリスタルはダンスも検討していたが、足のステップがもっと大きかったらなおよかった。継母ファストラーダ役の霧矢大夢が体のラインをあらわにしたレオタード姿を披露。一番印象的だったのは、ピピンの祖母、バーリ役の前田美波里。惜しげもなく美脚を披露し、空中ブランコに興じる。これで70歳代だというのだから。


0714 京都バレエ団「ジゼル」

カール・パケットのサヨナラ公演。2幕終盤の連続ジャンプではだいぶしんどそうだったが、最後の花を見せてくれた。
ジゼル役のビアンカ・スクダモアが、1幕の無垢な少女らしい笑顔と打って変わって、2幕では虚ろな無表情が印象的。ウィリーになって感情もないということなのか。アルブレヒトとのパドドゥのときも、ミルタに助命を乞うときもずっと表情が変わらず、凄みがあった。
藤川雅子のミルタは悪くはないが、期待したほどではなかった。ジゼル役と違って、冷酷な感じ。

7月13月 清流劇場「アルケスティス異聞」

青組を所見。泉希衣子のアルケスティスはアルカイックスマイルの中に皮肉が感じられる。ラストの旅立ちはしがらみから解き放たれ、スッキリした様子。
ヘラクレスの立花裕介は無邪気。大らかさから、アドメトスの隠し事に気づかなかったように見えた。

0713 エイフマン・バレエ「アンナ・カレーニナ」

小説が原作だが、ある意味芝居よりもドラマティック。アンナが出会う場面で、一目で恋に落ちたのが分かったし、夫との確執、恋人との歓喜、手のひらを返したように冷淡になる社交界の人々に傷つき、狂気に落ちる様がどれもリリカルに描かれる。アクロバティックなリフトには眼を見張った。群舞も高度なテクニックで、テンポの速い難しい振りに息つく暇もない。ダンサーが皆スラリとしていると思ったら、長身の人ばかりを集めているそう。ダイナミックで、絵画のようなポーズが印象に残る。

0711 青龍劇場「アルケスティス異聞」

ダブルキャストの白組。
突如死を迎えることとなったアドメトス(髙口真吾)はアポロンの計らいで、誰かを身代わりとすることで命を永らえることができるやうになる。が、年老いた両親に断られ、妻のアルケスティスが身代わりを名乗り出る。死を迎える日のアドメトスの狼狽ぶりは、笑いにもなりそうだが、案外シリアスに進む。
アルケスティス役の永津真奈が凛とした美しさ。淡々とした様子は何を考えているか分からず、ミステリアス。上海太郎が無邪気?なアポロンと老練な父の二役で存在感。ヘラクレスの倉増哲州は男前だが、アドメトス家の状況が分からないのはあまりに察しが悪く、アホみたい。
黄泉の国から戻ったアルケスティスは穢れのため3日間口がきけない。創作した3日後の場面で、生まれ変わった人生を自由に生きたいという。夫のために命を捨てた素晴らしい妻として賞賛される一方、妻を犠牲にしたアドメトスには負い目や周囲からの非難があるはずで、「鬱陶しいと思うようになる」というアルケスティスの指摘は至極もっとも。全てなかったことにして、元の生活を喜ぶことができるのだろうか?

7月9日 七月大歌舞伎 夜の部

「葛の葉」
時蔵の葛の葉姫。子どもへの愛情に溢れ、子役も可愛らしく、哀れさが増す。歌を書き残すことろは、上の句を右手で、子どもの手を引いて左手で鏡文字、最後は口に咥えて。実際に墨で書いているようだった。道行の花道で狐の面をつけていたのは萬屋の型か?保名は萬太郎。身長といい、年齢差といい、バランスの悪い組み合わせ。

「芝居前」
鴈治郎、孝太郎ら上方の中堅が江戸からの客人、時蔵や芝翫らを迎える趣向。梅枝や隼人ら若手が一指し踊った後、仁左衛門、秀太郎が現れて口上。40年前には竹三郎が47歳だったとか。

「上州土産百両首」
菊之助の牙次郎は好演していたが、顔立ちが綺麗すぎる。正太郎の芝翫とのやり取りが妙にいちゃいちゃしていて、男の友情でなく、同性愛に見えた。

2019年7月9日火曜日

0705 ディミトリス・パパイオアヌー「THE GREAT TAMER」

断片的なモチーフを繋いだような作品。起伏のある傾斜に艶のない黒い板を並べた舞台。開演前から1人の男が佇み、客席に時折視線を走らせる。
開演のベルが鳴ると、男は靴を脱いで(靴は床に固定されているらしい)、おもむろに服を全て脱ぎ、ひっくり返した板の上に横たわる。まるで日光浴をするように。後方から現れた男が白い布で覆うと、前方から現れた別の男が、横たわる男の隣の板を立て掛け、倒すときに生じる風で白布を吹き飛ばす…というやりとりが何度も繰り返される。
床の穴から全裸の若者が生まれるように現れたり、掘った穴に落ちていなくなったり。全身黒の衣装で、ある人は胴体、ある人は左足といった風に体の一部だけを肌ぬぎにし、複数人でまるで1人の人のように形作るのが面白い。上半身は女の裸、下半身は2人の男が片脚ずつというのもあった。
テンポを変えながら、「美しく青きドナウ」のメロディーが流れる。「未知との遭遇」を思わせる場面も。



0705 壱劇屋「PICKAROON!」

セリフありの殺陣芝居。ワードレスにこだわっていた時よりも物語の深みや広がりがあり、見応えがあった。初日だということで、殺陣がこなれていないところもあったが、よく動くキャスト達が迫力ある舞台を作っていた。
御姫(池未来実)はセリフまわしが拙いが、記憶をなくした役らしさの演出?可憐で、盗賊達がこぞって守ってあげたくなるキャラにはぴったり。
7人の盗賊のキャラが立っていて、戦隊もののような格好良さ。フラフープのような輪の刃を仕込んだ武器や、似顔絵で描いた人物に変身する技などが面白い。陸上飛(西分綾香)が飛んだり跳ねたり躍動的なキュートなさ。紙研(立花明依)はショートヘアのクールな役で宝塚の男役のよう。
敵役の佐久間(岡村圭輔)は体格が良く立ち姿が立派で、よく通る声で存在感がある。先帝亡き後、他人の身体に先帝の顔を貼り付けて傀儡にしているという設定は面白いが、そもそも帝自体が虚構だというのは如何に?その娘と思われた姫もどこぞから調達してきた、縁もゆかりもない赤児だったというのも、意図がよく分からない。臣下のものが帝を殺して実験を握り、帝位継承者である娘を巡って争うというほうが、筋が通る気がするのだが。最後、自ら首を切って死ぬというのも???だった。
民衆は目に見えるシンポルを欲しがるとか、時代を突くような台詞もあっただけに、もったいない。

7月4日 七月大歌舞伎 昼の部

「色気噺お伊勢帰り」
松竹新喜劇の喜劇。喜六と清八が出てきて、上方落語みたいだったり、伊勢の油屋の遊女でお紺とお鹿が出てきたり、清八に危険を知らせようと喜六が駆け出すところで夏祭のようなやり取りがあったりと、上方歌舞伎のパロディーのようなところも。
喜六が頓珍漢な受け答えをするところは笑いどころなのだろうが、少々くどくも感じたが、鴈治郎は三枚目のキャラが微笑ましい。
芝翫の清八は江戸から流れてきた大工という設定で、江戸弁で通したのも無理がなくてよかった。
喜六女房お安の扇雀、清八女房お咲の壱太郎はそれぞれ役によく似合う。お紺の梅枝があだっぽく、そのイロの隼人が二枚目風。

「厳島招檜扇」
我当が久々の舞台復帰。ほぼ座っているだけで、台詞は明瞭でないところもあり、プロンプに頼るところもあったが、まずは元気そうで何より。ラストや扇を掲げるところで、後ろから後見が腕を支えていたように見えたが…。

「義経千本桜」
渡海屋から大物浦。
仁左衛門の知盛が気迫溢れる。安徳帝に諭されて戦意を失うところとか、芝居が深まっているよう。安徳帝役の子役も達者だった。
孝太郎は渡海屋の世話っぽいところは秀太郎に及ばないかと思ったが、内侍の局になってからは凛とした美しさがあった。
鴈治郎の相模はご注進のとこらが流石にしんどそう。猿弥とのコンビはいい。
3階席にしたのは、知盛の最期がより近くで観られていいかと思ったのだが、見なくてもいいものまで見えてしまった…。