2018年7月16日月曜日

0714 エイチエムピー・シアターカンパニー「忠臣蔵・序 ビッグバン/抜刀」松組

男ばかりの松組は舞台の反対側(表側)。亀甲型のパネルの前に広い舞台空間があり、移動可能な短い柱を並べて場面転換を表現する趣向。アフタートークによると、総体的に小柄な女性と違って、大柄な男性のほうが舞台空間で存在感を発揮できるのだとか。 浅野内匠頭の佐々木誠は生真面目というか、原理原則にこだわる青さ。吉良の殿村ゆたかは恰幅がよく、小心さというよりは老獪な印象。柳沢の竹内宏樹はアサーティブな役人といった風情、大納言の坂本正巳は俗っぽい。大石の岸本は若さや行動力のあるリーダー。キャストだけでも亀組とはずいぶん印象が異なる。 刀による武力で争った戦国時代が終わり、金や気遣い、忖度で物事が決まる時代への移行期。武士ならではの刀の力にこだわる浅野と、新しい価値観を推し進める柳沢らの対立という構図がはっきりする。ここで刀を抜いたらまた関ヶ原に戻ってしまう。大納言が「武士らしいのは浅野」と言うのが象徴的だ。浅野の辞世の句「このたびのことやむをえざることにてもはやここまで」に、武士の面目、様々な思いが込められている。肉親への復讐ではなく、主君のための仇討ちは、将軍や朝廷に楯突く反逆になってしまうが、「忠臣」と名乗ることで汚名をすすぐ。 アフタートークで、「仮名手本忠臣蔵」の恋愛要素を除いて「権力の構図の中で起こる人間ドラマ」を描いたとの説明を聞いて納得。

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