2017年12月5日火曜日

1204 吉例顔見世興行 昼の部

「寿曽我対面」
橋之助の五郎は若々しく、動きが大きいのがいい。足を踏み出す一歩が大きく立派。ただ、内から溢れ出す気迫のようなものはあまり感じられず、十郎に止められるのが形ばかりに見えたのが惜しい。七之助の十郎はシュッとした男前。朝比奈の勘九郎ははじめ誰だか分からず、声を聞いて勘三郎に似ているなあと。どんな役も器用にこなす。進之介が鬼王新左衛門でちょこっと登場。梅玉の仕切りで劇中の口上。役の拵のままなので、名乗りはなし。勘九郎が「天国の祖父、勘三郎も喜んでいると思う」という一言でホロリとさせる。

「義経千本桜」
渡海屋から大物浦。
芝翫の銀平実は知盛は、姿は悪くないし、口跡もまずまずなのだか、内から滲み出る情感が薄いのか迫力不足。多分仁左衛門の教えを受けているのであろう、セリフ回しはそれらしいところが多々あるものの、気持ちがこもっていないよう。時蔵のお柳は町人らしい軽さがなく、夫自慢も今ひとつ。典侍の局になってからは気品があってしっくりきた。
鴈治郎の相模五郎は、銀平に曲げられた刀を戻すところで、中途で放り出して、勘九郎の亀井六郎に「後は任せた」というのに笑った。ご注進では動きが重たく、ドタドタしてた。外見はパタリロみたいだし。
秀太郎の義経の気品、弥十郎の弁慶の大きさ。安徳天皇(多分、大西啓翔くん)のセリフがたどたどしいのだが、それが返って哀れを誘う。

「二人椀久」
仁左衛門の椀久に孝太郎の松山。椀久が美しいのはいうまでもないが、スッポンがなく、舞台後方の紗幕の後ろから登場した松山が美しくて驚く。横顔もきれいに見えた。

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