2021年2月28日日曜日

2月27日 ロームシアター京都 舞台芸術としての伝統芸能Vol.3 人形浄瑠璃文楽

昨年の上演予定が、コロナ禍で1年延期、ようやく実現できて何より。

「端模様夢路門松」
勘十郎が簑太郎だった30歳の頃に作ったという新作。ツメ人形の門松が三人遣いになりたいと夢見る。ツメ人形や動物がたくさん出てきて、賑やか。舞台裏(廊下)、劇中劇の戦場(ツメ人形の日常、侍役の三人遣いに投げ飛ばされ踏みつけられる)、夏祭りの長町裏、と3場面を展開して意外とお金がかかっている。オチは門松に想いを寄せる女中役のツメ人形といい仲になってハッピーエンドの可愛らしい作品。
床は碩に清介、清公、清允。清允は細棹、胡弓も。初演が嶋太夫だそうで、碩の語りに面影を感じたような気がした。

「木下蔭狭間合戦 竹中砦の段」
人形付きでは87年ぶりという復曲上演。桶狭間の戦いと、竹中官兵衛家のドラマが交錯し、物語が二転三転する怒涛の展開に息つく暇もないほど。床は錣・藤蔵。錣は大汗かいての熱演。藤蔵は激しい撥使いで、気づいただけで4回も糸を繰っていた。終始、ほとんど1音ごとに唸っていて、糸を繰りながりも掛け声をかけていたのには感心した。


2021年2月25日木曜日

2月25日 金春会定期能

 昨年4月に開催予定の代替公演。

「西王母」

梅井みつ子のシテ、アイではなく子方は見吉麻由、ワキは高井松男。

梅井は小柄で声はしゃがれ気味。足遣いがぎくしゃくしてみえたのは、一歩ずつ足をそろえるせいか。子方の登場は後場のみで、木に生った実を持ってくるのが金剛流と違うところ。


「秀句傘」

三宅右近のシテ、アドは三宅近成、三宅右矩。

愛嬌があって朗らかなシテ。秀句はよくわからなかったが。


「井筒」

長谷川順子のシテ、則久英志のワキ。地謡の5人と笛方も女性だった。

長谷川は詞が聞き取りやすいが、声の響きが少し物足りなく感じた。面とのバランスがいい背丈で、等身大な感じ。地謡もだが、女性の声だと地を這うような響きはないので、少し違って聞こえる。

則久はテノールのよく響く声で、女性のキーとは相性がいいのかも。


「鵺」

森瑞枝のシテ、ワキは村瀬堤。

橋掛かりを歩くとき、一歩ずつ足をそろえるようにするのは流儀なのだろうか。ぎこちなく見えてしまう。前シテはちょっと小柄な妖怪といった風情だが、後シテになると鬘とのバランスか四頭身のように見えて、恐ろしさが減じる。舞は手足が短く、ちょこまかした動きで、面が横に大きく口を広げてにやりと笑っているように見えたこともあって、どこかコミカルな印象。

3曲ともシテを女性が勤めるというのに興味を引かれて観劇。総じて体が小さいので面や装束とのバランスに違和感があったのと、謡の声の浮いた感じ(聞き取りやすい面もあるが)、足拍子の弱さが気になった。女性ならではの魅力はどういうことなのだろうかと考えさせられた。

2021年2月24日水曜日

2月23日 赤坂文楽#23 ワカテ名作チャレンジ

 千歳・碩の師弟トークに続いて、「壺阪観音霊験記」。トークでも言っていたが、碩の沢市は第一声で目が見えると分かる。盲目の人の詞は語尾を浮かせるということだが、感情を入れて語ると技術がおろそかになってしまうのだとか。三味線の燕二郎は音があまり鳴っていない様子で、精彩に欠けた。新しい曲だけに、派手な手がついているので、余計に気になったのかも。若手にとって世話ものは難しいのだなと再認識。清方がツレ。

人形は簑紫郎のお里に簑太郎の沢市。沢市も目が見えるようだった。                                     

2021年2月21日日曜日

2月21日 第六十一回 式能 第一部・第二部

第一部 

金剛流「翁」

金剛永謹の翁、大倉弥太郎の三番三、大倉基誠の千歳。

永謹の声に包容力を感じた。深みのあるいい声。

弥太郎は掛け声や動きが武道家のようい勇ましい。高い位置で束ねた髪がちょんまげのようで、烏帽子にフィットすると思った。


「西王母」

翁から引き続き。シテは今井清隆、ツレ今井克紀、ワキ野口能弘、ワキツレ大日方寛、野口琢弘、アイ大蔵教義。

桃の実がちょっとくすんだ色?


大蔵流「宝の槌」

善竹大二郎のシテ、アドは善竹十郎(果報者)、野島伸二(すっぱ)。

大二郎は声がよく、朗らかでいいのだが、野島がちょっと棒読みっぽいというか…。


喜多流「東岸居士」

シテ粟谷明生、ワキ工藤和哉。

粟谷はテノールの美声で穏やかな舞が荘厳。


和泉流「魚説法」

野村万作のシテ、裕基のアド。


第二部

観世流「胡蝶 物著」

梅若紀彰のシテ、ワキは福王和幸、ワキツレ村瀬堤、矢野昌平。

小書きにより中入りせず、後見座で後シテの扮装に。


大蔵流「土筆」

山本東次郎のシテ、アドは山本則俊。

東次郎の本領を見た。周囲を見渡す視線で青々と広がる野辺が見え、土筆を袂に入れる様子のリアルさ、友人に言い負かされていたたまれない様子など、ほのぼのとしたおかしみが漂う。相撲をとのが微笑ましく、負けて拗ねるのがかわいい。


金春流「俊寛」

櫻間金記のシテ、ツレは政木哲司、柴山暁、ワキは福王茂十郎。

平判官康頼と丹波少将成経は直面で、判官は頭巾を被っている。清水で酒盛りと戯れるところへ、恩赦の使者が現れて…という展開は、文楽や歌舞伎と同じだが、沖へ出ようとする船の艫綱に俊寛がとりつくと、綱を断ち切って振り払う。絶望感が際立つ演出。

茂十郎の声が能楽堂に響き、重厚感を増す。

地謡は布のマスク着用。


和泉流「痩松」

野村万禄のシテ、河野佑紀のアド。


宝生流「野守」

今井泰行のシテ、村山弘のワキ。

地謡がマウスガードをしているのは初めて見た。

2021年2月20日土曜日

2月20日  イキウメの金輪町コレクション 乙

 「輪廻TM」

輪廻転生の過去や未来を見られるというタイムマシンを発明したという、寺に住む怪しげな路上生活者(大窪人衛)と元大学教員(盛隆二)の元へ、来世を確かめたいという男(安井順平)が訪れる。なぜか女性もののハンドバッグを手にし、女言葉なのは…??という疑問は次の作品で明かされるという上手い演出。


「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」

女(松岡依都美)がひとり、ビルの屋上から飛び降り自殺しようとしていると、スーツ姿の2人の男(森下創、浜田信也)が現れる。自殺を止めはしないけれど、なにやら知っているようで…。どこかで見たと思ったら、MONOの「涙目コント」に提供された作品だった。演者が違うと印象が変わるものだ。(女の魂が、自らが殺した男・安井順平の体に移って天寿を全うすることで、来世で女性天皇になるというオチが「輪廻TM」につながる)


「許さない十字路」

何だかよくわからないけれど、「許さない」と言われ続けって怖い。


「賽の河原で踊りまくる『亡霊』」乙バージョン

安井順平の鬼、亡者は大窪、盛、森下、浜田。同じ脚本でも役者が変わると雰囲気が変わる。初見のせいか、鬼は松岡のほうが好みだった。奪衣婆は同じく瀧井公美。事務員風の衣装は色違い?ちょっとのぞかせるエスっぽさがいい。

2月20日 新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」

小野絢子のオーロラ、福岡雄大のデジレ。
小野は姫タイプと思っていたが、オーロラはちょっと違うかも…。2幕の登場、17歳の誕生日にしては落ち着きすぎていて、もっと初々しさやこぼれるような多幸感がほしいと思ってしまった。ローズアダージョもミスなく、立派だったのだが、もうちょっと余裕が見たかったというのは、高望みしすぎ?フィナーレの福岡とのパドドゥは圧巻。息の合った様子で、確かなテクニックを見せつけた。

カラボス(本島美和)とリラの精(木村優里)の対立が軸になるというウエイン・イーグリング版は初見。王子と出会う夢の場面など、主役の踊りが多く見応えがあった。

3幕の青い鳥に奥村康祐。フロリナ王女(池田理沙子)の回りで小鳥が羽ばたくようだった。

2021年2月19日金曜日

2月18日 イキウメの金輪町コレクション 丙

 「インタビュー」

笑いのツボが今一つ、と思っていたら、その後に続く町の節分祭で役所の地域課の職員が出し物としてやっていたという設定。だからわざといまいちにしたのかは不明。相槌が失礼で相手をいらっとさせるというのは面白いのだが、間なのか、セリフのチョイスなのか、あまり笑えなかった。会場の客はよく笑っていたけど。


「弁明」

町のジオラマを作ったのがすごい。内輪ネタぽくて、金輪町の作品をよく知っている人ならともかく、ちょっとついていけなかった。


落語「高速ジジババ」

柳家三三と前川知大が組んだらどうなるのか、というのが一番の興味だったのだが、結論は今一つ…。体調もあるのかもしれないけれど、途中何度かうとうとしてしまった。三三が町の理髪店の店主で、趣味で落語をやっているという設定。ネタだと思ったらマクラだったり、SF的な設定を表現するのに落語はあまり向いていないのではと思った。


「賽の河原で踊りまくる『亡霊』」

河原の石の代わりに段ボールを積んでは鬼に崩され…と体を張った芝居。鬼の松岡依都美のちょっとうんざりした様子がいい味出してた。奪衣婆の瀧内公美のクールな様子がいい。