昨年4月に開催予定の代替公演。
「西王母」
梅井みつ子のシテ、アイではなく子方は見吉麻由、ワキは高井松男。
梅井は小柄で声はしゃがれ気味。足遣いがぎくしゃくしてみえたのは、一歩ずつ足をそろえるせいか。子方の登場は後場のみで、木に生った実を持ってくるのが金剛流と違うところ。
「秀句傘」
三宅右近のシテ、アドは三宅近成、三宅右矩。
愛嬌があって朗らかなシテ。秀句はよくわからなかったが。
「井筒」
長谷川順子のシテ、則久英志のワキ。地謡の5人と笛方も女性だった。
長谷川は詞が聞き取りやすいが、声の響きが少し物足りなく感じた。面とのバランスがいい背丈で、等身大な感じ。地謡もだが、女性の声だと地を這うような響きはないので、少し違って聞こえる。
則久はテノールのよく響く声で、女性のキーとは相性がいいのかも。
「鵺」
森瑞枝のシテ、ワキは村瀬堤。
橋掛かりを歩くとき、一歩ずつ足をそろえるようにするのは流儀なのだろうか。ぎこちなく見えてしまう。前シテはちょっと小柄な妖怪といった風情だが、後シテになると鬘とのバランスか四頭身のように見えて、恐ろしさが減じる。舞は手足が短く、ちょこまかした動きで、面が横に大きく口を広げてにやりと笑っているように見えたこともあって、どこかコミカルな印象。
3曲ともシテを女性が勤めるというのに興味を引かれて観劇。総じて体が小さいので面や装束とのバランスに違和感があったのと、謡の声の浮いた感じ(聞き取りやすい面もあるが)、足拍子の弱さが気になった。女性ならではの魅力はどういうことなのだろうかと考えさせられた。
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